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■行政トピックス
1.医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議 7月31日 「安定確保医薬品」選定・個別対策など議論
■記者会見
1.フロンティア事業「売上げ1000億円を目指す」-大日本住友製薬:野村博社長-
■セミナー便り
1.ニュベクオで「ライフスタイルに合った治療選択が可能」に-群馬大学大学院医学系研究科泌尿器科学:鈴木和浩教授-

■行政トピックス
1.医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議 7月31日 「安定確保医薬品」選定・個別対策など議論
■記者会見
1.フロンティア事業「売上げ1000億円を目指す」-大日本住友製薬:野村博社長-
■セミナー便り
1.ニュベクオで「ライフスタイルに合った治療選択が可能」に-群馬大学大学院医学系研究科泌尿器科学:鈴木和浩教授-

 

■行政トピックス

1.医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議 7月31日
「安定確保医薬品」選定・個別対策など議論

厚労省医政局は7月31日、抗菌薬を含め、医療用医薬品全体としての安定確保のための方向を決める関係者会議の3回目の会合を開き、提言取りまとめに向け「骨子案」を提示した。今後、「安定確保医薬品(仮称)」の選定がワーキンググループ(WG)で進められることになっている。その在庫積み増しや複数ソース化、国内生産移行など個別対策や薬価の在り方などが提言の焦点となる。

骨子案では、基本的考え方として「医療用医薬品の安定確保の責務は、一義的には、製造販売業者が負っているが、これまで安定確保に関する法令上の裏付けはなく、国は、各企業が行う安定確保の取り組みに対して、助言や行政指導などを行うなど、あくまでその補助的な関与にとどまってきた」と現状を指摘。

その上で、抗菌薬セファゾリンの安定供給が滞り、医療現場に深刻な影響が出た事案の発生や、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う医療物資の国内供給不足を踏まえ、「医療現場で重要な役割を担う医薬品については、民間企業の取り組みに対し、国としてもより踏み込んだ関与が必要であると考えられる」と明記した。

すでに厚労省は、日本医学会に属する学会を対象に医療上必要不可欠な医薬品をそれぞれ10品目程度選定するよう依頼。その結果、58学会から、551品目が検討対象として提案された。

そのリストによると、提案した学会が多い品目は▼プレドニゾロン(11学会)▼ヘパリン(9学会)▼ワルファリン、シクロホスファミド(7学会)▼スルファメトキサゾール・トリメトプリム、ミダゾラム、ナファモスタット、メトトレキサート、フェンタニル、セフメタゾール(6学会)▼シクロスポリン、タクロリムス、アルガトロバン、アドレナリン、ノルアドレナリン、シスプラチン、バンコマイシン、セファゾリン、タゾバクタム・ピペラシリン、メロペネム、人血清アルブミン(5学会)- の順となっている。

今後、関係者会議の下にWGを設置し、安定確保が求められる「安定確保医薬品(仮称)」の選定および個別の対策を行うための優先順位の設定を行うこととした。

リストに関して委員からは「古い重要な薬が多く、企業に要請する際にも1成分について該当する企業が多く、協力するスキームが要るだろう。責任が分散されないように考え方を整理しておくことが必要」との指摘が出された。

個別の対策として厚労省は、例として(1)原薬等の在庫積み増し(2)出発物質を含めたサプライチェーンの複数化(複数ソース化)(3)原薬等の国内製造への移行(4)原薬等の共同購入(5)原薬製造企業との適切な契約の締結-を挙げた。

委員からは「現実的にすぐにできることは原薬等の在庫積み増ししかないと考えている」との意見が出された。清田浩座長(日本化学療法学会理事長、慈恵医大教授)は「これは到底無理だからやめておこうという表現は避けたい。お金がかかるから無理だろうという発想ではなく、これを実現するためにはこういったことが必要という提言にしたい」との考えを示した。

「安定確保医薬品」の薬価の在り方について、これまでメーカーサイドからは「製造コストを考慮した薬価設定の必要性」の声が挙がっている。この日の会合では、日本薬剤師会の委員から「リストをしっかり分析する中で解決するには薬価で対応するのが妥当なのかどうかをしっかり議論し、中医協の中で各側が納得するような理由付けが必要」との意見が示された。

現行薬価基準制度では、(1)基礎的医薬品(2)不採算品再算定(3)最低薬価-といった薬価を下支えするルールがあるが、「安定確保医薬品」に特化した薬価設定に関する新たなルールが最終取りまとめに盛り込まれるかどうかが注目される。

 

■記者会見

1.フロンティア事業「売上げ1000億円を目指す」
-大日本住友製薬:野村博社長-

大日本住友製薬の野村博社長は8月6日、記者懇談会・社長会見で、ヘルスケアソリューションを事業領域とするフロンティア事業において、売上げ1000億円を目指す考えを示した。同事業は次期中計期間中(23年~27年度)での成長エンジンとしての確立が目指されている。野村社長は米国での可能性に期待を示し、日本と米国で同事業を育てる方針を示した。

野村社長は会見で「23年にすぐに成長エンジンになるかというと、なかなかそこは難しいと思う。多くのテーマを集めて、その中で見極めをつけることをしつつ、成長していきそうな物に対して資源を投資していく形で進めていきたい」とし、その上で「規模としてはある程度の大きさを目指すということで、1000億円ぐらいの売上げは目指していきたい。それが次期中計期間で全部達成できるかはなかなか分からないが、我々としては十分トライしていくことが可能な領域かなと思う」と語った。

大日本住友製薬は現在、認知症の非薬物療法に特化した研究開発型ベンチャー企業Aikomiと認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)を緩和させる医療機器の開発を目指して共同研究を実施中である他、Aikomiおよび損保ジャパンと介護用デジタル機器(非医療機器)の開発と事業化の提携に関して基本合意を締結した。また、デジタル療法(DTx)を開発する国内ベンチャー企業Save Medicalとは2型糖尿病管理指導用アプリ(DTx)の共同開発を実施中で、22年度中に医療機器プログラムとして日本での承認取得を目指している。また、サノビオンとBehaVRは社交不安障害を緩和するためのVRコンテンツを共同開発中で、22年中に医療用ではない一般向けとして米国で商品化し、将来的に医療機器としての製品化を目指すとしている。

大日本住友製薬の馬場博之常務執行役員(フロンティア事業推進担当)は会見でここに挙げた以外にも初期段階ではあるが可能性のある多くの候補品にも取り組んでいるとした他、「米国で行動変容を起こすようなアプリなのかVRなのか分からないが、そういう物で画期的な製品を開発することによって、なるべく早いタイミングで大きな事業にできると思っている」とした。

国内2領域でナンバーワンへ

会見で野村社長は国内営業の取り組みに関しても紹介し、精神神経領域と糖尿病領域においてナンバーワンを目指す方針を示した。

精神神経領域では、日本で6月に統合失調症および双極性障害におけるうつ症状の改善を適応症として非定型抗精神病薬ラツーダを発売した。加えて、統合失調症治療薬ロナセンテープは10月に長期処方が解禁となる。その中で野村社長は「精神神経領域におけるプレゼンスを上げる大変良いチャンスだと思うので、専任MR350人体制でしっかりやっていく」とした。

糖尿病領域はDPP-4阻害薬エクアやエクメット、GLP-1受容体作動薬トルリシティ、ビグアナイド薬メトグルコなど多くのラインナップがある。野村社長は売上げナンバーワンだけでなく医師や患者に信頼される会社を目指すとして「名実ともにナンバーワンになれるよう頑張っていきたい」とした。7月には2型糖尿病治療薬イメグリミンの国内承認申請を行っており、承認されると糖尿病治療薬のラインナップがさらに強化されることになる。

小田切斉取締役によると、国内の精神神経領域では売上げ500億円を目標としており、ラツーダやロナセンがピークを迎えるまでにはその規模を達成したいとしている。また、国内糖尿病領域の売上げは1000億円規模を維持ないし大きく伸ばしていきたいという。

 

■セミナー便り

1.ニュベクオで「ライフスタイルに合った治療選択が可能」に
-群馬大学大学院医学系研究科泌尿器科学:鈴木和浩教授-

群馬大学大学院医学系研究科泌尿器科学の鈴木和浩教授は8月6日、バイエル薬品主催のオンコロジープレスセミナーで前立腺がん治療薬ニュベクオ(一般名ダロルタミド)の特長に関して(1)併用注意薬が2種類である(2)14.1時間という短い半減期が有害事象発現時の対応を容易にすることが期待される-などを挙げ「前立腺がんはおしなべて高齢者。色々な薬を飲んでいる方々に対する安全性が比較的優れた薬剤として発売されたということになるので、ライフスタイルに合わせた治療選択が可能になるのではないかというふうに治験を担当した私たちとしては考えている」と語った。

ニュベクオの併用注意薬は(1)強いCYP3A誘導薬(リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタールなど)(2)乳がん耐性タンパク(BCRP)、有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1およびOATP1B3の基質となる薬剤(ロスバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチンなど)となっている。鈴木教授は「数が2つなので非常に少ない薬剤ということが分かる。通常の薬剤だとかなり多いのだが、今回の薬剤は2つに絞られた。飲み合わせの点で特長かと思う」と話した。

半減期の短さに関しては「1日2回飲まなければならないという煩雑さはあるが、高齢者が対象なので、有害事象が起こった時のマネジメントは重要。ウォッシュアウトがはやいというのはこういったところで期待できるだろう」と述べた。

ニュベクオは1月に遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん(M0CRPC)の効能・効果で承認を取得し、5月に発売された。M0CRPCに対する経口アンドロゲン受容体阻害薬としてはイクスタンジ(エンザルタミド)、アーリーダ(アパルタミド)に続く3剤目の上市となった。

鈴木教授はセミナーで国際共同第3相ARAMIS試験の結果を解説。ニュベクオはプラセボと比較し主要評価項目の無転移生存期間(MFS)を統計学的に有意に延長した。ASCO2020では副次評価項目の全生存期間(OS)を統計学的に有意に延長したことが発表されている。

鈴木教授はニュベクオの特長として「安全性をご理解いただくのが一番いいかと思う」として、投与中止に至ったAEs(有害事象)がニュベクオ群で8.9%、プラセボ群で8.7%であったことを紹介した。疲労の少なさに関しても1つの特長として挙げた。

セミナーには横浜市立大学附属市民総合医療センター泌尿器科・腎移植科の上村博司教授も登壇。上村教授によると、M0CRPCとはアンドロゲン除去療法(ADT)施行中にPSA上昇が認められたが、画像検査(CT、MRI、骨シンチなど)で遠隔転移が検出されない病態。CRPC(去勢抵抗性前立腺がん)患者のうちM0CRPC患者は約3割を占める。

上村教授は、M0CRPCは無症候性の患者が多くQOLも比較的保たれているが、そのような患者を積極的に治療することの意義は何かとして、遠隔転移が発生すると、死亡リスクの増加、QOLの低下、合併症の追加介入、医療費の負担の増大が認められると説明。「患者は転移を恐れており転移までの期間を延長することが非常に重要だ」と話した他、「合併症の多い高齢者には相互作用の少ない治療薬の選択が重要だ」とした。

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