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■行政トピックス
1.副反応部会・安全対策調査会合同開催 7月17日 被接種者・保護者等向けHPVワクチン情報提供見直しへ
■セミナー便り
1.対象群を分けた緊急事態宣言の発出が必要-川崎市健康安全研究所:岡部信彦所長-

■行政トピックス
1.副反応部会・安全対策調査会合同開催 7月17日 被接種者・保護者等向けHPVワクチン情報提供見直しへ
■セミナー便り
1.対象群を分けた緊急事態宣言の発出が必要-川崎市健康安全研究所:岡部信彦所長-

 

■行政トピックス

1.副反応部会・安全対策調査会合同開催 7月17日
被接種者・保護者等向けHPVワクチン情報提供見直しへ

接種後に持続的な疼痛などが特異的に見られたことから、定期接種を継続しつつも、国民に適切な情報提供ができるまでの間、積極的勧奨が差し控えられているHPVワクチン。厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会および薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)は7月17日、厚労省が提示した被接種者・保護者/医療従事者向けの3種類(青・オレンジ/緑)リーフレットの改訂版(案)を大筋で了承した。

リーフレットの改訂は、2018年1月以来、2年半ぶり。従来版について評価するため、厚労省が市区町村や一般国民を対象に調査を行ったところ、▼厚労省がHPで示しているリーフレットを活用した情報提供(Webページ掲載や窓口設置・配布)を行っている自治体数は限られており、リーフレットに関する国民の認知は十分ではない▼リーフレット内容については、HPVワクチンのベネフィットとリスクを伝えるものとして理解されているが、表現についてはより分かりやすい表現が求められている-といった課題が浮かび上がった。

委員からも「現在のものは目的や字が多過ぎて何が書いてあるのかよく分からないということが、正直なところ」といった意見があった。

そこで、改訂版では、3種類のリーフレットについて、対象者・目的を改めて整理し、構成の変更を行うとともに、読みやすさ、分かりやすさ(行政用語・専門用語を極力排除、簡潔な文章等)を重視し、手にとって読んでもらえるものを目指したとしている。

具体的には、従来の接種を検討している者および保護者向けの「青リーフレット」について、接種の検討の有無に関わらず、接種対象者および保護者全てを対象とすることにした。

また、HPVワクチンを受ける者と保護者向けの「オレンジリーフレット」については、HPVワクチン接種後の者および保護者を対象とすることにした。青は「接種前」、オレンジは「接種後」と明確に分けている。

従来の青およびオレンジ版に記載されていた「HPVワクチンは、積極的におすすめすることを一時的にやめています」との文言は削除。「このことがどういう行動を示しているかということをはっきり具体的に書くということが、最大の重要な点かと思う」「この行政用語を分かりやすくするというところが、最もポイントになる」との指摘が委員から出ていた。

代替案として厚労省は、改訂版に「子宮けいがんやHPVワクチンについてよく知っていただいた上で、希望される方に接種していただけるよう、おすすめするお知らせをお送りするのではなく、みなさまに情報をお届けするものです」と記載。

ただ、この文言に対しても、7月17日の合同会合で委員から「相変わらず良く分からない。お勧めするお知らせを送るわけではないということを一番言いたいのか。一般の方もよく分からないのではないか」と再検討を求める意見が示された。

情報提供の方法については、接種対象者およびその保護者が情報に接する機会を確保し、接種をするかどうかについて検討・判断ができるよう、自治体からリーフレットまたは同様の趣旨の情報提供資材の個別送付を行うことにした。

なお、合同会合では「日本において極めて低い接種率が、今後もさらにずっと続いていくということは、国民にとって大きな不利益である。接種率を高くする必要があるが、その最も有効な方法は積極的な接種勧奨を再開することだと思う」(2019年11月22日)との意見が委員から示されるなど、積極的接種勧奨の再開に向けた議論を始める流れになっている。

7月21日付で9価HPVワクチンが承認されたが、リーフレットへの反映に関して厚労省は「承認されても発売までに時間がある。また定期接種化するかどうかの議論を承認後に検討すると思う。リーフレットの見直しについてその時点で検討していきたい」と述べた。

 

■セミナー便り

1.対象群を分けた緊急事態宣言の発出が必要
-川崎市健康安全研究所:岡部信彦所長-

日本医学ジャーナリスト協会は7月14日、川崎市健康安全研究所の所長であり、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の構成員を務める岡部信彦氏を迎え、「新型コロナウイルスの第2波、第3波にどう備えるか」と題したオンライン講演会を開催した。

登壇した岡部所長は冒頭、過去のインフルエンザ・パンデミックとされる1918年のスペインインフルエンザ、1957年のアジアインフルエンザ、1968年の香港インフルエンザ等の事例を示しながら、現在、日本国中で新型コロナウイルス感染者が再拡大している状況ではあるが、「第2波、第3波というのは、起きてから少し経って、全体を振り返ってみて初めて分かるので、例えば、今が第2波であるとは、定義上、言い切れないと思う」と説明。そのように表現した方が分かりやすいことは認めつつも、「要は感染再拡大が防げるかどうか。どうやら感染がゼロにはならない病気であるならば、それを徐々に落ち着かせながら、どうやって共存していくかという形が重要である」と語った。

そして、主に2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)発生以降、感染症の拡大を防止するために取り組んできた施策を紹介した。当時はまだ、世界の一地域で新たに発生した病気に関して、世界各国で情報をシェアするシステムが確立されていなかったため、WHOは2005年にIHR(国際保健規則:International Health Regulations)を改正。それまではWHOへの報告はコレラやペスト、黄熱、天然痘のみが対象となっていたが、「原因を問わず、国際的に公衆衛生上の脅威となりうる、あらゆる健康被害事象」へと報告の対象範囲を拡大した。

報告するかどうかの判断基準となるのは、「重篤性」「予測不可能、あるいは日常みられるものではない」「国際的な伝搬の可能性」「国際交通規制の必要性」の四点であり、このうち二点以上に該当する事象をIHRに従って報告。WHOが評価し、世界中への拡大が危惧されると判断されれば、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC:Public Health Emergency of International Concern)」に該当すると宣言され、情報を共有することとなる。

以後、2009年に発生した新型インフルエンザをはじめ、2014年の野生型ポリオ流行、同年のエボラ出血熱、2015年のジカウイルス感染症の時にPHEIC宣言が出されている。今回の新型コロナウイルス感染症も2020年1月にPHEICの対象となっているが、岡部所長は「まだ世界中に拡大していない状況ではあったが、発展途上国へと広がらないようにすることが重要であり、そのためには資金も必要だし、注意喚起が大切だったので、WHOはあのタイミングで出したと思う。しかし、その後、欧米に急速に拡大してしまった」と説明した。

また、岡部所長も構成員の一人であった新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では、2月以降の同会議および政府の感染症拡大防止への取り組みを踏まえて、6月24日に「次なる波に備えた専門家助言組織のあり方について」と題した提言を発表。専門家会議の責務は「医学的見地から助言等を行う」ことであり、「政府と連携をとりながらも客観性があって、政治的中立性と医療関係の専門家としての誠実さは確保しながら活動してきたつもり」(岡部所長)であったものの、これまでの活動を通して見えてきた課題として、<1>専門家助言組織そのものの在り方<2>専門家会議の活動と関連して見えてきた課題-があると指摘した。

まず、<1>に関しては政府と専門家会議の関係性について振り返り、状況が刻々と変わって迅速な対応が求められるなか、専門家として補足的な説明をするために記者会見等の情報発信を頻繁に行ったものの、その結果、あたかも専門家会議が政策を決定しているかのような印象を与えてしまっていたのではないかとしている。そして、一般市民に行動変容をお願いすることに至り、「新たな生活様式」などの具体的な提案を続けたことで、専門家会議に対して本来の役割以上の期待と疑義の両方が生じてしまったことが反省点であるとした。

そのような点を踏まえた上で、<2>では政府に対して、(1)次の感染拡大に備えて喫緊で対応すべき課題(2)中長期的な課題として対応をお願いしたいこと-を提案。「今後は目の前に追われていることをやるのではなく、何よりも研究体制をきちんと整備しなくてはいけないし、人材の育成をやらなければいけないということを主な骨子」(岡部所長)として、(1)では「危機対応時における市民とのコミュニケーションの体制整備」「専門家助言組織が設定した研究課題に関する対応」「データの迅速な共有」、(2)では「研究体制の計画的な整備等」「感染症疫学の専門家の人材育成等」を挙げている。

しかし、これらの提言を発表後の7月3日に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が廃止となり、新たに新型コロナウイルス感染症対策分科会が発足。この件について、岡部所長は「我々は発展的な解消と捉えている」と説明。これまでは新型コロナウイルス感染症対策本部の下に専門家会議が位置付けられてきたが、今後は新型インフルエンザ等対策閣僚会議の傘下にある有識者会議を構成する諮問委員会や分科会の一つとなることによって、「これからは検査方法や感染動向のモニタリング、ワクチン接種の在り方など、小回りでもっと専門的な議論になってくる」(岡部所長)としている。

今後、日常生活において感染拡大を予防するための対策としては、飛沫感染を避けるための身体的距離の確保やマスク着用および手洗い・消毒を改めて要請。加えて、クラスター感染を発生させないためにも、いわゆる三密の条件が重ならないような取り組みなどの継続を求めた。ただし、夏場を迎えることから、熱中症などの健康被害とのリスクバランスを考慮しながら対策する必要性を説明していた。

最後に、もし感染者がさらに拡大していくような状況になったとしても、岡部所長は「私は一般市民の生活を制限するための非常事態宣言と、医療体制の危機を防ぐことを目的に医療機関へ対して発出する非常事態宣言を分けても良いのではないかと考えている。子供と大人が同じ対処法で良いのかということもあるし、人によって状況は異なってくるので、そのように部門別のアラートが必要だと思っている」とコメント。医学的な“病”から、社会・経済・政治など「社会の“病”」に変容していくことを防止するためにも、総合的にさまざまな人々の力を結集しなければならないとしており、「感染症には、差別や偏見、誹謗・中傷などがどうしてもつきまとってしまう。隔離する必要があるほどの症状の患者と、周囲と共同生活を送れるくらいの症状の人をきちんと見極めていくことで、ウィズコロナと言えるのだと思う」と語った。

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