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■行政トピックス
1.厚労省オンライン診療検討会 3月11日 新型コロナ対策で、オンライン診療巡り議論
2.社会保障審議会医療保険部会 3月12日 薬剤自己負担引き上げ論議は依然として平行線

■行政トピックス
1.厚労省オンライン診療検討会 3月11日 新型コロナ対策で、オンライン診療巡り議論
2.社会保障審議会医療保険部会 3月12日 薬剤自己負担引き上げ論議は依然として平行線

 

■行政トピックス

1.厚労省オンライン診療検討会3月11日
新型コロナ対策で、オンライン診療巡り議論

新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、厚生労働省医政局医事課は3月11日の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で、かかりつけの患者の症状が変化した場合、オンラインで「新たな医薬品の処方を可能としてはどうか」と提案し、了承を得た。患者が医療機関の外来を受診して感染するなど、二次感染を防ぐのが狙い。

対象となるのは、かかりつけ医等が既に診断している定期受診患者で、期間は「新型コロナウイルス感染拡大の時期」に限る。感染流行の終息時期については「別途通知を発出する」としている。

厚労省はこれに先立つ2月28日に事務連絡を発出。慢性疾患等を有する定期受診の患者等に継続処方されていた慢性疾患治療薬について、電話や情報通信機器を用いた診療で処方することを認めた。

今回はこれを一歩進め、「同一の疾患による病状に変化が生じた場合(例えば血圧が上昇した場合等)」については、電話による診療や情報通信機器を用いた診療で新たな医薬品の処方を可能とする考えを示した。

新たな医薬品を処方する際には、「可能な限りで想定し得る範囲の症状の変化をあらかじめ患者やその家族等に伝え、その内容について、診療録に記載しておくことが望ましい」としている。

「オンライン診療では困難」と厚労省担当者

新型コロナウイルスの感染が世界的な拡大を見せる中、この日の会合前日の日経新聞には「『コロナ』を変革の契機に」との論説が掲載され、経済界などからオンライン診療の解禁を求める声が上がっていた。

こうした状況の中、厚労省は同検討会を開催し、「新型コロナウイルス感染症対策としてのオンライン診療について」と題する資料を示した。

冒頭の資料説明で厚労省の担当者は、「初診は対面診療に限られる」という原則を改めて確認。継続した発熱があるなど、新型コロナウイルス感染の疑いがある患者の治療について「オンライン診療では困難」と断じた。

さらに厚労省の担当者は「治療薬が出来た場合においても、検査精度や他の疾患を見逃すリスク、副作用のリスク等々の課題がある」と指摘し、オンラインで対応できる場面は極めて限定的であることを説明した。

「生まれ変わるチャンス」「着実に進める」

質疑では、日本医師会(日医)の幹部をはじめとする医師から厚労省案に賛同する声が相次いだが、オンライン診療の普及を推進する立場の委員が異論を展開。「わが国はデジタル化が遅れている。中国はあれほどのピークを迎えたのに収束しており、日本は対応が遅れているといわれている」と語気を強め、「今回、生まれ変わるチャンスだと思う」と厚労省側の見解をただした。

これに対し、元外科医で厚労省の医系技官である審議官は「うまく普及できていないとの指摘もあるが、一方で『そこは慎重に』という意見もある」とかわし、「やはり適切な整理や合意形成を積み重ねていくことが重要だと思う。『これを機会に』というよりは、着実に進めていくべきだ」と一蹴した。

「誤解を与えてはいけない」と日医幹部

厚労省審議官の発言に、日医の幹部が続いた。「あたかも何か、オンライン診療ができたら、このコロナ対策ができるというような誤解を与えてはいけない」と強調した上で、「電話再診等でも、うまく活用すれば対応できる。オンラインでの『診療』ではなく、オンラインの『受診勧奨』を徹底することも大事だ」と理解を求めた。

議論を踏まえ、呼吸器内科の専門医でもある座長の山本隆一氏は「新型コロナウイルスによる感染症では、肺炎になるかどうかを判断するのが非常に重要な局面なのだが、これを問診と視診でやれるとは絶対に思わない」と対面診療の重要性を指摘。ほかの医師らもこれに賛同した。

この日の会合では、感染が今後さらに拡大した場合への対応として、自宅待機の軽症患者をオンラインでフォローする方針も示された。反対意見はなかった。

 

■行政トピックス

2.社会保障審議会医療保険部会 3月12日
薬剤自己負担引き上げ論議は依然として平行線

社会保障審議会医療保険部会は3月12日、「薬剤自己負担の引き上げ」をテーマにフリーディスカッションを行った。同テーマを取り上げたのは2016年10月、17年11月に続き3回目となるが、健康保険組合連合会や全国健康保険協会など保険者の委員を中心に自己負担の引き上げはやむを得ないとの立場で、その方向で検討を求めたのに対して、日本医師会をはじめ日本薬剤師会など医療提供者側の委員は慎重姿勢を崩しておらず、議論は引き続き平行線をたどった。

この日、厚労省の担当者は、(1)薬剤の種類に応じて償還率を設定する(フランスの事例)(2)薬剤費の額に応じて自己負担を設定する(スウェーデンの事例)(3)初診料と検査料とOTC化済医薬品のうち、初診料と検査料を保険給付としつつ、OTC化済医薬品の薬剤費のみ保険外併用療養費として全額自己負担とする-といった案が19年11月1日の財政制度等審議会財政制度分科会において検討課題になったことを説明。

「こういったものを踏まえながら検討していくことが本件の課題と認識している」と述べ、委員に意見を求めた。佐野雅宏委員(健保連副会長)は「皆保険制度の維持を考えた場合、大きなリスクは共助、小さなリスクは自助でという方向に進まざるを得ない。市販品類似薬については、保険給付範囲からの除外や償還率の変更を考えざるを得ない。また、生活習慣病治療薬の適正な処方を推進するために診療報酬制度の中でフォーミュラリを導入すべき」と主張。安藤伸樹委員(協会けんぽ理事長)は「諸外国の例も参考にしつつ十分な財政効果が得られるような見直しを図ってほしい」と同調した。

これに対し、石上千博委員(日本労働組合総連合会副事務局長)は「OTC類似薬に関して、医療上の必要性による適切な医薬品の選択の担保という意味では、財政問題だけで議論することは適当ではない。医療アクセスにおける所得格差問題につながるのではないか。リスクの大小に応じて給付率を変える考え方については、リスクを評価する明確な指標を作るのは難しいのではないか」と指摘した。

森昌平委員(日薬副会長)は、薬剤の種類に応じて償還率を設定する案について「フランスでは医療上の有用性と対象疾患の重篤性に基づいて判断していると聞いているが、仮に日本で導入した場合、2万品目近くの医薬品の評価を全て見直して分類して、何かあればメンテナンスしていくことを考えると、実行可能性はかなり低いのではないか」と指摘。初診料+検査料+OTC化済医薬品のうち、OTC化済医薬品のみ保険給付から外すことについては「患者から保険で使えるものをと求められ、結果として高い薬剤にシフトしてしまうこともあるのではないか」と問題提起した。

松原謙二委員(日医副会長)は「国民皆保険は必要なものは医療として給付するという約束の下に、国民全員に保険に入ってもらうということで始まった制度と理解しているが、医師としてこの薬が必要だと判断したときに、スイッチOTCだから保険で使えないということがあるとすれば患者に大変説明しにくい」と述べた。

昨年末の「全世代型社会保障検討会議中間報告」に後期高齢者の自己負担割合の在り方や、大病院への患者集中を防ぎ、かかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大などが盛り込まれたことを受け、同部会では、これらとともに、改革工程表に盛り込まれた項目について議論し、今夏までに取りまとめを行う方針。改革工程表の中に「薬剤自己負担の引き上げ」が含まれている。

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