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提供:国際医薬品情報 編集部

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■行政トピックス
1.予防接種・ワクチン分科会 10月2日 GSKとMSDのロタワクチンを定期接種化、来年10月から
2.厚労省監視指導・麻薬対策課 10月3/4日 NDMA混入でラニチジンの自主回収相次ぐ
■記者会見
1.医薬品支出額「すでに適切に管理されている」-EFPIA Japan:オーレ・ムルスコウ・ベック会長-
2.新薬創出等加算の改善を要求-PhRMA:ジョバンニ・カフォリオ会長-
■セミナー便り
1.オンパットロ「TTR発現を抑制する画期的な治療薬」-長崎国際大学薬学部:安東由喜雄教授-
2.COPD質問表、対策型検診への導入に期待-那覇西クリニック:玉城研太朗診療部長-

■行政トピックス
1.予防接種・ワクチン分科会 10月2日 GSKとMSDのロタワクチンを定期接種化、来年10月から
2.厚労省監視指導・麻薬対策課 10月3/4日 NDMA混入でラニチジンの自主回収相次ぐ
■記者会見
1.医薬品支出額「すでに適切に管理されている」-EFPIA Japan:オーレ・ムルスコウ・ベック会長-
2.新薬創出等加算の改善を要求-PhRMA:ジョバンニ・カフォリオ会長-
■セミナー便り
1.オンパットロ「TTR発現を抑制する画期的な治療薬」-長崎国際大学薬学部:安東由喜雄教授-
2.COPD質問表、対策型検診への導入に期待-那覇西クリニック:玉城研太朗診療部長-

 

■行政トピックス

1.予防接種・ワクチン分科会 10月2日
GSKとMSDのロタワクチンを定期接種化、来年10月から

厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会は10月2日、ロタウイルスによる胃腸炎を予防するワクチンである、グラクソ・スミスクラインの「ロタリックス内用液」とMSDの「ロタテック内用液」を定期接種化することを了承した。これにより、2020年8月生まれ以降の乳児を対象に、同10月1日から定期接種が開始されることが決まった。

地球レベルで、ほぼすべての乳幼児が5歳までにロタウイルスに感染する。主な感染経路はヒトとヒトとの間で起こる糞口感染であり、感染力が極めて高く、感染予防は極めて難しい。主症状は下痢、嘔気、嘔吐、発熱、腹痛であり、通常1〜2週間で自然に治癒するが、脱水がひどくなるとショック、電解質異常、時には死に至ることもある。

今回、定期接種化が決まった「ロタリックス」(生後6週から24週までに2回経口接種)は11年11月から、「ロタテック」(生後6週から32週までに3回経口接種)は12年7月から任意接種が開始された。国内の推定接種率は、14年11月時点で約60%となっている。一連の接種にかかる費用は約3万円に上る。定期接種化により無料で接種を受けられるようになる。

海外において、初回接種1週間以内等の期間に腸重積症の発症率が自然発症率よりも増加するとの報告があり、対応策として定期接種後、研究班が、腸重積症の発生頻度をモニタリングする。厚労省はNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)により、腸重積症に特異的な処置・手術(腸重積症整復術)の実施件数をモニタリングする。また、接種後21日以内に確認された腸重積症を定期接種後の副反応疑い報告の対象とする。

日本において腸重積症の発症率が増加するリスクを否定することはできないが、定期接種化に当たって、このリスクは大きいものではないと考えられている。

 

■行政トピックス

2.厚労省監視指導・麻薬対策課 10月3/4日
NDMA混入でラニチジンの自主回収相次ぐ

10月3日から4日にかけて、後発品メーカー各社からH2ブロッカー「ラニチジン」を自主回収(クラスⅠ:その製品の使用等が、重篤な健康被害または死亡の原因となり得る状況をいう)するとの発表が相次いだ。厚労省の発表資料によると、その数は10社22品目に上る。一部の原薬から管理指標(0.32ppm)を超えた発がん性物質であるN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたため。

EMA、FDAなど規制当局におけるラニチジンの製剤および原楽から微量のNDMAを検出したとの発表を受け、厚労省は9月17日付で発出した事務連絡通知で、関係メーカーに対し分析を指示していた。自主回収を発表した10社22品目は次の通り。

▼小林化工のラニチジン錠75「KN」、同150
▼武田テバファーマのラニチジン錠75mg「タイヨー」、同150 mg、ラニチジン注射液50 mg「タイヨー」、同100 mg
▼沢井製薬のラニチジン錠75 mg「サワイ」、同150 mg
▼鶴原製薬のラニチジン錠75 mg「ツルハラ」、同150 mg
▼東和薬品のラニチジン錠75 mg「トーワ」、同150 mg
▼ニプロのラニチジン注50 mgシリンジ「NP」、同100 mg
▼マイラン製薬のラニチジン錠75 mg「マイラン」、同150 mg
▼日医工のラニチジン錠75 mg「日医工」、同150 mg
▼陽進堂のラニチジン錠75 mg「YD」、同150 mg
▼日本ジェネリックのラニチジン錠75 mg「JG」、同150 mg

また、先発品メーカーのグラクソ・スミスクラインは10月9日にザンタック錠75、同150、ザンタック注射液50 mg、同100 mgの自主回収(クラスⅠ)を発表した。

 

■記者会見

1.医薬品支出額「すでに適切に管理されている」
-EFPIA Japan:オーレ・ムルスコウ・ベック会長-

EFPIA Japanのオーレ・ムルスコウ・ベック会長は9月24日の記者会見で、日本の医薬品市場の18〜23年までの5年成長率がマイナスになる見通しを示し、「日本における医薬品支出額はすでに適切に管理されている」と強調。後発品使用促進により、今後も現在の医薬品支出額が維持されるとした上で、薬剤費以外の領域で医療費の最適化を図るよう求めた。

例としてOECD加盟国の中で日本の1人当たりの年間受診回数が多いこと、平均在院日数が長いことを挙げた。ベック会長は「さまざまな領域、他国の事例を見て、それによって医療費をコントロールしていかなければならない」と語った。

9月に健保連が保険給付範囲の見直し(市販品類似薬の保険除外、償還率見直しなど)を提案した件に関しては、「患者の安全性が最も重要。この手の政策の変更を行うためには医療界の支援が必要で慎重にやらざるを得ない」とコメント。欧州など「他の国の良い事例があるので、こうしたもので日本の医療従事者に対して支援していきたい」とした。

 

■記者会見

2.新薬創出等加算の改善を要求
-PhRMA:ジョバンニ・カフォリオ会長-

PhRMAのジョバンニ・カフォリオ会長(ブリストル・マイヤーズスクイブCEO)は10月3日の記者会見で、18年度の薬価制度の抜本改革を通じ、新薬創出等加算の対象品目が絞り込まれた件を巡って、「新ルールは科学的根拠に基づくものではない」と指摘。「日本政府による新規性・画期性の定義は狭すぎ、イノベーションの複数の側面がきちんと評価されていない」と改善を求めた。世界中で多くの患者に使用されているBMSの経口抗凝固薬エリキュース(アピキサバン)やアッヴィの抗TNF-α抗体ヒュミラ(アダリムマブ)などが新薬創出等加算の対象品目から外れた。

会見でカフォリオ会長は医薬品が社会にもたらす価値を強調。臨床試験を通じた有効性や安全性の評価だけでは不十分で、医薬品が社会にもたらす価値をリアルワールドデータを通じて評価していくことが重要だとした。「イノベーションはリアルワールドのエビデンスで測定されるべきだ。そして私たちはそのために業界として投資を行う。日本ではこの分野はもう少し進歩できるのではないかと考えている。まだリアルワールドエビデンスが医薬品の評価にきちんと使われていないということがあるが、私は医薬品の価値を測定するためには、また保険償還を考えるには、リアルワールドエビデンスが重要であると考えている」と語った。BMSではファイザーと提携し、エリキュースについてリアルワールドデータ解析プログラムACROPOLISを実施している。このプログラムでは世界全体でサンプルサイズが100万人近いデータベースが構築されている。

カフォリオ会長は「将来的には、臨床試験の結果とリアルワールドエビデンスは同じように取り扱われていると思う。現実世界における薬の効果が、承認においても、保険償還制度においても、より重く扱われていくことになるのではないか。薬価の決定においても今後、重要な検討課題になると思う」と見通しを示した。

 

■セミナー便り

1.オンパットロ「TTR発現を抑制する画期的な治療薬」
-長崎国際大学薬学部:安東由喜雄教授-

長崎国際大学薬学部アミロイドーシス病態解析学分野の安東由喜雄教授は9月13日、アルナイラムジャパン主催のトランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー治療薬オンパットロ(パチシラン)に関するメディアセミナーで講演し、「肝移植で外科的に行う治療、それを内科的にできる画期的な治療薬だ」と評価した。

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーはトランスサイレチン(TTR)というタンパク質を作る遺伝子の変異が原因で起こる希少疾患。TTR遺伝子変異に由来する変異型TTRがアミロイドを形成し全身の組織や臓器に沈着し、神経症候、心症候、消化管症候、腎障害、眼症候などを引き起こす。20〜70歳代に発症する。安東教授らの遺伝性トランスサイレチンアミロイドーシスの全国疫学調査によると、日本国内に208人の患者が存在する。日本はポルトガル、スウェーデンに次ぐ世界第3位の患者集積地といわれており、日本全国における推計患者数は700〜1000人とみられている。

治療法には肝移植やファイザーのTTR四量体安定化剤ビンダケル(タファミジス)がある。肝移植はTTRの産生臓器を入れ替えることで変異型TTRの産生を抑える。オンパットロはRNAi治療薬(Si製剤)として世界で初めて承認された薬剤で、肝臓でTTR mRNAを分解し、TTR発現を抑制する。安東教授は、オンパットロの国際共同第3相APOLLO試験の結果を示し「トランスサイレチンのレベルが80%下がり、非常に低いレベルになる」と紹介。その上で「アミロイドーシスの治療は原因タンパク質を抑えることが最も有効なので、このような治療法が良いだろうということで、国際共同治験に参入した」と振り返った。

セミナーにはアルナイラムジャパンの中邑昌子社長も登壇し、スタートアップ企業としてスピード感をもって組織構築を進めていると話した。同社は18年に設立され、MRの採用活動を継続中。そのため現在のMR数は開示していない。中邑社長は「優先順位のトップは患者を見つけることだ。患者を見つけ、できるだけ早く治療薬を届ける」と方針を語った。

パイプラインではオンパットロの適応拡大に向けた国際共同第3相APOLLO-B試験を開始した他、欧米で急性肝性ポルフィリン症の適応でGivosiranを承認申請中。日本でのGivosiranの承認申請は20年中を予定している。

 

■セミナー便り

2.COPD質問表、対策型検診への導入に期待
-那覇西クリニック:玉城研太朗診療部長-

那覇西クリニックの玉城研太朗診療部長(沖縄県医師会・那覇市医師会理事)は9月30日、GSK主催のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に関するメディアセミナーで、那覇市医師会とGSKによる臨床研究OCEAN Studyの中間解析結果を報告した。「質問表の意義が確立された場合、対策型検診に導入できるのではないか」と期待を語った。

OCEAN Studyの主な目的は(1)COPDをスクリーニングするための簡便な質問表であるCAPTUREおよびCOPD-Qの有用性を評価すること(2)呼吸機能検査による気流制限の罹患率を推定すること-。定期健康診断を受ける40歳以上の被験者を対象に、質問票への記入と呼吸機能検査を行った。目標症例数2500人の組み入れは完了し、現在、解析中。今後、国際学会や論文などで結果を発表する予定だ。

1532人のデータセットによる中間解析では、気流閉塞が認められた人(FEV1/FVC<70%、COPD疑い)が全体の約3%、PRISm(気流閉塞は認められていないが、%FEV1<80%、COPDになりそうだという人)が全体の18%を占めた。呼吸機能検査と質問表の整合性に関しては、気流閉塞・PRISmの割合は、CAPTURE質問票高得点群、COPD-Q質問表高得点群で高い傾向にあった。玉城診療部長は「問診票が効果的だろうということが中間解析の段階でも分かってきたかなというところだ」と語った。

GSKの張家銘ガバメント・アフェアーズ&マーケット・アクセス部門長によると、COPDの認知率は28%。これまで認知率の向上に努めてきたが苦戦しているという。そこで認知率に関わらず、「特定検診の中でスクリーニング票を実施し、疑いがある人を専門医に紹介する形が、先生方のネットワークやICTを活用してできるのではないだろうか」との観点で取り組みを進めている。

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