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■行政トピックス
1.医療用から要指導・一般用への転用評価検討会議 7月8日 スイッチOTC化推進へ「中間とりまとめ」に着手
2.薬剤師の養成・資質向上検討会 7月10日 卒後臨床研修の必要性の指摘も
■記者会見
1.ファンド設立でAMR治療薬の上市を支援-IFPMA:手代木功副会長-
■セミナー便り
1.COVID-19ワクチン「一番乗りではなく最良を」-GSK:ポール・リレット社長-

■行政トピックス
1.医療用から要指導・一般用への転用評価検討会議 7月8日 スイッチOTC化推進へ「中間とりまとめ」に着手
2.薬剤師の養成・資質向上検討会 7月10日 卒後臨床研修の必要性の指摘も
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■行政トピックス

1.医療用から要指導・一般用への転用評価検討会議 7月8日
スイッチOTC化推進へ「中間とりまとめ」に着手

厚労省医薬・生活衛生局の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」は7月8日、10回目の会合を開き、これまでの各成分の検討結果および議論となった事項について「中間取りまとめ」の作成に着手した。セルフメディケーションの推進を念頭に、スイッチOTC化の推進を図るため、今後の議論を効果的・効率的に行うことを目的とする。今後、関係者からのヒアリングなどを経て年内の作成を目指す。

同評価検討会議は、2016年4月13日に初会合を開き、19年12月18日まで計9回の会合を重ねた。この間、学会、団体、企業、一般消費者(個人)等から複数のスイッチOTC化候補成分の要望が寄せられ、評価検討会議によってその妥当性が評価された。

しかし、緊急避妊薬レボノルゲストレルやプロトンポンプインヒビター(PPI、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム)といった、特に注目を集めた成分がいずれも見送られた。

これを受け、内閣総理大臣の諮問機関である「規制改革推進会議」は20年7月2日の答申の中で、厚労省の評価検討会議について詳細にわたり言及。「メンバーは医師が大多数を占め、スイッチOTC化された場合のリスク等に議論が偏り、セルフメディケーションの促進という視点から本来されるべき必要性や国民の利便性等のベネフィットについて考慮されているとは言えない状況がある。また、同会議の検討で可とされたものは、全て既存のOTC医薬品と同種同効のものであり、新規の作用・効能がある新しい分野でのスイッチは進展しておらず、PPIや緊急避妊薬など海外の多くの国でOTC化されている成分が日本では承認されていない」などと批判を展開した。

その上で、評価検討会議について(1)スイッチOTC化の可否を決定するものではないことを明確化(2)メンバー構成の見直し(3)全会一致が原則とされている合意形成の在り方の見直し-など、運営方法の見直しを要求した。

厚労省は、前回12月の会合で中間報告の作成が決定したことに加え、規制改革推進会議からの批判を踏まえ、この日の評価検討会議に、議事録から抽出した「これまでの検討会議で挙げられた意見」を提示した。

それによると、レボノルゲストレルのスイッチOTC化の妥当性の評価が行われたのは17年7月26日の2回目の会合。「年間20万人近くの人工妊娠中絶をされている方たちを救える可能性がある」とスイッチ化に前向きな意見が出された。

その一方で、「緊急避妊薬を服用後に避妊効果がなかった場合、知らない間に妊娠が進行してしまう可能性がある」といった医師が管理する必要性や、「日本の性教育が欧米よりかなり遅れており、経口避妊薬の教育が行き届いていない」「緊急避妊薬で簡単に避妊できることを根拠に、避妊具を使うことが減り、性感染症が増えるリスクがある」といった社会環境整備の遅れなど、スイッチ化に否定的な意見が大勢を占めた。

また、「緊急避妊薬を使用する際のリスクについて、産科領域について専門的な教育を受けていないことから、薬剤師がしっかりと説明することは難しい」「高額であることから各薬局が配備することは現実的に難しく、その場合、緊急避妊薬を求めて薬局に行っても、手に入れられないという問題が発生する可能性がある」など、販売する薬剤師の専門知識の不足や、薬局等における販売体制の不備に関する指摘もあった。

4回目(18年3月16日)と5回目(18年8月1日)の2回にわたり議題に上がったPPIについても、構成員の意見が割れた。「短期間であれば、服用はリスクよりベネフィットの方が大きい」とスイッチ化に前向きな意見が上がる一方、「症状の改善により、未分化がんの潰瘍をマスクする可能性がある」「長期使用されたときに懸念される副作用があり、適正使用が確実に守られるとの保証がない限り、OTC化は認められない」との否定的意見も多かった。

結局、厚労省が提示した、一般消費者が調査員となって実施している「医薬品販売制度実態把握調査(2016年度)」によると、36.6%が「乱用等の恐れのある医薬品を複数購入しようとした際、質問されずに購入できた」ことが分かり、薬局等の販売体制に対する不信が決定打となって否決に至った。

こうしたこれまでの経緯を振り返り、この日のフリーディスカッションでは、薬剤師の構成員が「もし薬剤師の力不足であったり、努力不足であったりするところは、きちんと押さえていかなければならないと痛感している。レボノルゲストレルの件を含め対策を取っている。スイッチが「否」になってしまったものをどうしたら「可」にすることができるかという考え方を持って話し合いを進めることができればいいと思っている」と発言。

医師の構成員の中からも「誰かが必要としているものが要望として上がってきている。OTC化するということを前提にしてこの会議があってしかるべきと思う。スイッチ化を「否」とした場合には、今後「可」とできるような条件を明確にすべきだと思う」との発言があった。

この他、「スイッチ化されると、やがてインターネット販売につながる。その際に対面販売と同じようなやり取りができる仕組みをつくることができるかどうかが課題になると思う」との声も上がった。

 

■行政トピックス

2.薬剤師の養成・資質向上検討会 7月10日
卒後臨床研修の必要性の指摘も

厚労省医薬・生活衛生局は「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」を発足、7月10日初会合を開いた。検討会では、対人業務の充実のほか、機械化やICT等の技術の活用により薬剤師に求められる役割や業務内容が変化していることを踏まえ、薬剤師の需給調査を実施。並行して(1)薬学教育や国家試験の現状を踏まえた薬剤師の養成(2)生涯研修、専門性など免許取得後の資質向上-について議論し、21年度中の取りまとめを目指す。

初会合では、厚労省が提示した「薬剤師に関する基礎資料」を基にフリーディスカッションを行った。基礎資料によると、2019年度の6年制入学定員充足率(入学者数/入学定員)が90%以下の大学が、私立大学の57学部中21学部に上った。

薬剤師国家試験の合格率推移(合格者数/受験者数)を見ると、2018年70.6%→2019年70.9%→2020年(20年3月合格発表)69.6%と70%程度にとどまっている。

また、2020年の国家試験の新卒出願者数(新卒の場合、出願時期の段階では卒業見込みとして出願し、卒業できる者が受験)は1万276人だったのに対し、受験者は9194人(未受験者1082人)と、出願者のうち未受験者の割合が約1割に上った。未受験者のほとんどは私立大学だったという。複数の構成委員から、こうした入学定員割れや未受験者のデータに対して問題意識が示された。

一方、薬学教育6年制課程卒業生の就職状況(2019年)を見ると、卒業生1万400人のうち、薬局に就職したのは4455人(42.8%)と最も多く、次いで病院・診療所2240人、企業1043人、ドラッグストアなど医薬品販売業656人-の順となっている。

その就職先別初任給を見ると、30万円超については、一般販売業(ドラッグストア等)で66.1%、薬局で32.6%、病院・診療所1.3%と大きな開きがある。

複数の構成員から、免許取得後の薬剤師の資質向上に関して、卒後臨床研修の必要性が指摘された。日本薬剤師会の構成員は「中長期的な展望という形では、チーム医療や多職種連携に薬剤師がより貢献していくために必要なことだが、薬学教育6年制の歴史や現在の卒前の実習の在り方などを踏まえ、対象範囲、方法論、研修システム、予算などさまざまな議論をしないといけない」と述べた。

 

■記者会見

1.ファンド設立でAMR治療薬の上市を支援
-IFPMA:手代木功副会長-

IFPMA(国際製薬団体連合会)の手代木功副会長(塩野義製薬社長)は7月10日、製薬協主催の記者会見「新型コロナウイルス感染拡大の教訓と薬剤耐性(AMR)への備え」の中で、薬剤耐性菌(AMR)アクションファンド設立の目的について説明した。ファンドは、新規抗菌薬を開発するバイオベンチャーを支援する他、プル型インセンティブの創設などを求め持続可能なエコシステムの構築を目指す。

手代木副会長は「次の10年間、ある程度予測できる脅威に対して時間があると考えられるうちに何とか船を漕ぎだしたい」と語った。現在、AMRによる感染症で亡くなる人は年間70万人以上といわれ、何の手立ても講じない場合、2050年にはその数は1000万人に達すると推定されている。一方で開発費用やビジネスとして持続可能な市場がないために新規の抗菌薬の開発は停滞している。この課題に取り組むためファンドを設立した。

AMRアクションファンドはIFPMAの有志製薬企業による新規抗菌薬候補への投資および開発支援を行うグローバルイニシアティブで、20社以上の大手バイオ製薬企業が参画する。日本では武田薬品、第一三共、エーザイ、中外製薬、塩野義製薬の5社が参加する。その他、WHO(世界保健機関)、欧州投資銀行(EIB)、ウェルカム・トラストが参画する。20年第4四半期にファンドの稼働を全面的に開始し21年第1四半期に初回投資が行われる予定だ。

ファンドの資金総額は10億ドル。WHOやCDCが開発の必要性を強く訴える耐性菌に対する新規抗菌薬の開発に取り組むバイオベンチャーに対し、投資だけでなく業界が有するリソースや専門的な知識・技術を提供する。投資対象は複数の世界的な専門家で構成される独立科学諮問委員会の評価に基づき選定する。10年後までに2~4剤の新規抗菌薬の上市を目指す。

加えて、プル型インセンティブの制定など必要な政策の実現を通じて、持続可能なエコシステムの構築を目指す。

中山会長「マーケット・ベースのリフォームが必要」

会見には、製薬協の中山讓治会長も登壇し、(1)新規抗菌薬を開発しても適正使用が必要(2)事業から見ると開発投資を回収できない(3)研究者や専門家が減り研究開発力が低下(4)新しい抗菌薬がますます生まれない(5)耐性菌の脅威にさらされる-とデビルサイクルがあると指摘。Achaogen社やMelinta社といった新規抗菌薬の承認を受けた企業が19年に相次いで倒産したことに関し、「事業環境は極めて厳しいという証だ」とした上で、「新薬開発に成功した企業が投資に見合う利益を確保できるよう、新たなプル型インセンティブの導入などマーケット・ベースのリフォームが必要だ」とした。

中山会長はプル型インセンティブの事例として(1)製造販売承認取得報奨制度(MER:Market Entry Rewards:製造販売承認を取得した際に当該企業の投資に対して適切な利益を確保できるよう政府または公的機関から適切な報酬(補償)を受け取ることができる制度)(2)サブスクリプションモデル(商品ごとに購入金額を支払うのではなく一定期間の利用権として定額料金を支払う方式)(3)事前買取り保証制度(備蓄)-を挙げ、「こういった形で各国の社会保障のシステムの状況に応じて最も有効なインセンティブを考えて導入していくべきだろう」と述べた。

厚労省医務技監の鈴木康裕氏もビデオメッセージを寄せ、AMRアクションファンドの取り組みに期待を示し、「例えば、市場に出していただくことに対して一定の支払いをする。もしくはサブスクリプションモデルのような市場に一定期間出しておられることに対して1カ月、もしくは半年ごとに一定の額をお支払いするというようなことで、Win-Winの形で官も民もこの新しい感染症に備えることが非常に大切だと思う」と語った。

 

■セミナー便り

1.COVID-19ワクチン「一番乗りではなく最良を」
-GSK:ポール・リレット社長-

グラクソ・スミスクライン(GSK)のポール・リレット社長は7月7日、同社主催のワクチンに関するメディアセミナーで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアジュバント添加ワクチンの開発状況について触れ、「COVID-19に対する世界的な取り組みは、GSKの会社の存在の目的そのものだ。これからも緊急性をもって対応していきたい」とした上で「GSKのワクチン開発の探索の取り組みは、一番乗りになろうというものではなく、最良のもの、ベストのものを開発しようという姿勢だ。理想的なワクチンの開発を目指して邁進する」と意気込みを語った。加えて、今は競争ではなく協働する時と強調した。

同社はワクチン候補を持つパートナー企業や機関にアジュバント技術を提供する形でCOVID-19に対するアジュバント添加ワクチンの開発を進めている。CEPI(感染症流行対策イノベーション連合)、クローバー社、Innovax社、サノフィ、メディカゴなどとの協働や提携があり、クローバー社のSCB-2019は第1相試験を実施中。サノフィとの候補品は9月に臨床試験を開始する予定だ。

アジュバントAS03に期待

セミナーには同社メディカル本部のスージー・バーンズ本部長も登壇し、「このパンデミック下において、より多くの人口に対してワクチンを接種する方法を見つけることが非常に重要だ。この部分において我々のアジュバントの1つが非常に重要な役割を果たせると思う。それがAS03というアジュバントだ」と紹介。AS03は新型インフルエンザワクチンに使用されており、バーンズ本部長は「今回、さまざまな協働の取り組みを行うパートナーに提供していこうと思っているものだ」と語った。

バーンズ本部長は「重要なことにAS03を用いることで短い期間でより多くのワクチンを製造することが可能になる」と強調。アジュバントを添加することで抗原の節約にもつながり、ワクチンに含まれる抗原の量を少なくすることで、より多くのドースのワクチンを製造することが可能になるとした。

また、「インフルエンザで言うと、少しずつ変異するウイルス株などに対してもAS03は交差免疫を幅広い防御として提供できる機能があることが既に示されている。そこが今後、COVID-19のワクチンにとっても非常に重要なポイントになるのではないかと思う」と話した。

ワクチンではなくアジュバントの開発を進めている理由に関して、バーンズ本部長は「GSKの強みや専門性はアジュバント技術にある。これを活用することで効果的なワクチンの開発につなげることができると考えている。そして今は競争するところではなくて、パートナーと協働で取り組んでいくことが必要だと考えている。専門性やサイエンスに基づいて何が貢献できるか。我々が一番インパクトを及ぼせるような貢献ができるところを考えてパートナー機関もしくは企業に対して我々のアジュバント技術を提供することでより早く効率的に有効なワクチンの開発につなげられると考えている」と説明した。

GSKはワクチン事業において世界最大規模の収益を誇る企業。25年以上、免疫応答を増強するアジュバント技術の開発に投資をしている。バーンズ本部長はアジュバントの活用は高齢者を感染症から守る重要な戦略だとも解説した。

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