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■行政トピックス
1.中医協総会1月22日 市場拡大再算定の対象品目が決定、中外製薬は3成分が該当
■記者会見
1.医薬品「社会的な価値の認識を広げたい」 -製薬協:中山讓治会長-
■記者懇談会
1.便秘症治療剤の浸透を図る-持田製薬:持田直幸社長-
■セミナー便り
1.2剤レジメン「治療改善に向けた一歩」 -日本エイズ学会:松下修三理事長-

■行政トピックス
1.中医協総会1月22日 市場拡大再算定の対象品目が決定、中外製薬は3成分が該当
■記者会見
1.医薬品「社会的な価値の認識を広げたい」-製薬協:中山讓治会長-
■記者懇談会
1.便秘症治療剤の浸透を図る-持田製薬:持田直幸社長-
■セミナー便り
1.2剤レジメン「治療改善に向けた一歩」-日本エイズ学会:松下修三理事長-

 

■行政トピックス

1.中医協総会1月22日
市場拡大再算定の対象品目が決定、中外製薬は3成分が該当

厚労省は1月22日の中医協総会に、「市場拡大再算定品目および効能変化再算定品目」を提示、了承された。最も対象品目が多かった企業は中外製薬で3成分だった。MSDの免疫チェックポイント阻害剤キイトルーダは2月1日に続く再度の引き下げとなる。具体的な引き下げ幅は3月初旬の薬価告示の際に明らかになる。

「市場拡大再算定」に該当したのは14成分40品目に上った。このルールは▼原価計算方式で算定された新薬の場合、市場規模の拡大(年間販売額150億円超・予想年間販売額の2倍以上または100億円超・10倍以上)を理由に最大25%▼類似薬効比較方式で算定された新薬の場合、効能追加等による市場規模の拡大(150億円超・2倍以上)を理由に最大15%―薬価を引き下げるもの。

今回、原価計算品目では、▼ビンダケル(ファイザー)▼サムスカ(大塚製薬)▼フェブリク(帝人ファーマ)とその類似品ウリアデック(三和化学研究所)およびトピロリック(富士薬品)▼リムパーザ(アストラゼネカ)▼フェソロデックス(同)▼デュピクセント(サノフィ)▼アクテムラ(中外製薬)とその類似品ケブザラ(サノフィ)▼ジクアス(参天製薬)―が該当。

類似薬効比較方式で算定された品目では、▼レブラミド(セルジーン)▼ステラーラ(ヤンセンファーマ)▼パージェタ(中外製薬)▼ヘムライブラ(同)―が該当した。

なお、中外製薬は1月30日に19年12月期通期決算を発表した中で、個別品目の20年12月期の年間売上予想を開示しており、4月に市場拡大再算定を受けるヘムライブラこそ67.1%増の421億円と伸長するものの、パージェタは6.2%減の288億円、アクテムラは8.6%減の382億円と減少に転じる予想を立てている。

キイトルーダ・リクシアナ・ゾレアに特例ルール適用

また、キイトルーダ(MSD)と経口抗凝固薬リクシアナ(第一三共)の2成分8品目は「市場拡大再算定の特例」に該当すると判断された。このルールは、原価計算方式、類似薬効比較方式による算定にかかわらず、▼市場規模の拡大(年間販売額1000億円超・予想の1.5倍以上)を理由に最大25%▼市場規模の拡大(1500億円超・1.3倍以上)を理由に最大50%―薬価を引き下げるもの。

キイトルーダについては、既に「薬価改定の際以外の再算定(四半期再算定)」の対象となり、19年6月診療分のNDBデータを基に「年間販売額1000億円超かつ基準年間販売額の1.5倍以上」の「市場拡大再算定の特例」に該当すると判断され、11月13日の中医協で17.5%の薬価引き下げが決まり、20年2月1日に施行されることになっていた。

1月22日の中医協で厚労省は、19年9月取引分の薬価調査を基に、キイトルーダが「年間販売額1500億円超かつ基準年間販売額の1.3倍以上」の「市場拡大再算定の特例」に該当するとして、4月に改めて薬価を引き下げることを報告、了承された。4月の薬価は、2月1日の薬価から、さらに引き下げられることになる。

リクシアナについては「1000億円超・1.5倍以上」の「市場拡大再算定の特例」に該当するとして、4月に最大25%薬価が引き下げられることになる。

一方、19年12月に「季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症または再重症患者に限る)」の効能追加承認を取得したゾレア(ノバルティスファーマ)については、主たる効能・効果が変化したことに伴い、「効能変化再算定の特例」を適用して薬価を引き下げることが決まった。

このルールは、「薬理作用類似薬がない場合」であっても、治療上の位置付け等が類似する既存薬と比較して著しく1日薬価が高く、市場規模が著しく大きくなると考えられる場合に、薬価を引き下げるもので、「特例」として20年4月に導入されるものだ。

 

■記者会見

1.医薬品「社会的な価値の認識を広げたい」
-製薬協:中山讓治会長-

製薬協の中山讓治会長は1月27日の記者会見で19年1月に公表した製薬協の政策提言2019について進捗や今後の取り組みを報告した。薬価制度に関しては「一番進めたいのは(医薬品の)社会的な価値の認識を広げたい」とした。一例として抗がん剤が著効する患者を同定する診断薬を挙げ、こうした診断薬が「社会保障全体にとっていかに価値があるかと認識していただきたい」と語った。提言では、イノベーションの推進を通じ、国民の健康寿命の延伸や経済成長を実現し、そのことがまた次のイノベーションを生み出すといった好循環を目指し、(1)イノベーション推進の環境整備(2)イノベーションの適切な評価―を求めている。

イノベーションの適切な評価に関して、中山会長は「22年度の薬価制度改革に向けて、新薬の評価体系の再編と国民に分かりやすい評価システムの確立を求めていく」と語った。新薬の評価体系の再編では、具体的な検討課題として、(1)社会的価値の評価(2)収載後のイノベーションの評価(3)類似薬選定の基準見直し―を挙げた。

社会的価値の評価では、中山会長は「経済や社会の支える側を増やす、あるいは医療資源消費の効率化につながることで、社会保障の持続性に寄与することができる医薬品があると考えている」と強調。社会保障の持続性に寄与する価値を持つ医薬品は、価値を認め、評価しても、最終的には社会保障の持続性へと還元されることになるため、一定の評価がなされるべきとした。その上で医薬品の社会的価値の定義や測定方法に関して検討課題があると指摘。医薬品の持つ多様な価値を明らかにするために、アウトカム指標や測定方法などに関する研究調査を開始しているとした。

収載後のイノベーションの評価に関しては、薬価制度上、効能追加は再算定による薬価引き下げリスクとしての意味合いが強いと指摘し、「効能追加への開発意欲の低下につながることが懸念される」と強調。効能追加は薬剤治療の選択肢を増やす観点から医療の質を向上するものとした上で「革新性・有用性の高い効能追加を促進していく観点からも次期薬価制度改革において薬価収載後のイノベーション評価の充実について検討を進め改善を求める」とした。

イノベーション推進の環境整備では、予防・先制医療の早期実用化に向けて、長期健康調査などを行っている東北メディカル・メガバンク機構と連携した健常人を含めた前向きコホート研究を企画。東北メディカル・メガバンク機構と製薬協とで小規模・短期間のパイロット研究を実施し、その後、本研究を開始する計画で、パイロット研究に関しては20年3月ごろの契約締結を目指している。国立高度専門医療研究センターとの疾患コホート研究では、精神・神経領域と免疫炎症領域において、20年度中に研究を開始する予定だ。

また、政策提言2019の実現に向け20年4月頃を目指し、業界主導型のプロジェクトを運営する法人を設立する。

 

■記者懇談会

1.便秘症治療剤の浸透を図る
-持田製薬:持田直幸社長-

持田製薬の持田直幸社長は1月29日の記者懇談会で、抗うつ剤レクサプロおよび潰瘍性大腸炎治療剤リアルダについて引き続き売上げ拡大に努めたいと話した他、EAファーマと共同開発し共同販売している慢性便秘症治療剤グーフィスおよびモビコールについて「たかが便秘、されど便秘。疾患としてなかなか認識いただけない状況だが、きちんと薬を使うことで便秘が治療できるということを浸透していきたい」と語った。

富士薬品創製の痛風・高尿酸血症治療剤ユリスは1月23日に承認取得。4月薬価収載の見通し。持田社長は薬価が決まり次第、上市をしていきたいとした。帝人ファーマのフェブリクなどと競合する。

後発品に関しては、今年度、売上高200億円を達成する予定。バイオ後続品ではフィルグラスチムBS、エタネルセプトBSに続いて、国内では初となるテリパラチドBSを19年11月に発売した。「後発品では事業性・戦略性の高い品ぞろえをしていく」と語った。パイプラインでは韓国LG Chem社から導入したアダリムマブBSを開発している。

早期開発品に関しては、オープンイノベーションの推進を通じた早期開発候補品の導入に取り組んでいるとした他、共同研究公募プログラム、さまざまなアカデミアや研究機関との協力関係の構築を進め創薬研究を強化するとした。

 

■セミナー便り

1.2剤レジメン「治療改善に向けた一歩」
-日本エイズ学会:松下修三理事長-

日本エイズ学会理事長で、ヒトレトロウイルス学共同研究センター熊本大学キャンパス臨床レトロウイルス学分野の松下修三教授は1月31日、ヴィーブヘルスケア主催の抗HIV薬ドウベイト(ドルテグラビル+ラミブジン)に関するメディアセミナーで講演し、「1日1回で簡単に飲めて副作用が少ない薬はすでに他にもある。それで(患者の)寿命が延びているわけだが、長期になると薬剤数が多いことが問題になってくるだろうと考えられている」との認識を示した上で「現在、合併症がある方、例えば、腎臓が悪い方には真っ先に適応となる可能性が十分にある」と語った。

ヴィーブヘルスケアは1月31日、未治療の成人および小児(12歳以上)のHIV感染症患者を対象とした初めての2剤レジメンであるドウベイトを発売した。HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班による抗HIV治療ガイドライン(19年3月発行、7月改訂)によると、初回治療として推奨されるART(抗ウイルス療法)は「核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)2剤+インテグラーゼ阻害薬(INSTI)1剤」、「NRTI2剤+リトナビル(rtv)を併用したプロテアーゼ阻害薬(PI)1剤」、「NRTI2剤+非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)1剤」のいずれかとなっている。3剤もしくは4剤レジメンが標準治療となっている中で、初回治療から使用できる2剤レジメンはドウベイトが初となる。

松下教授は▼ARTの進歩によりHIV-1(エイズウイルス)に感染しても普通に生きられる時代になった▼感染早期に治療開始、継続できれば、パートナーへの感染も起こらない-と解説。その上で「エイズを発症して判明する症例もある。こうした方々を何とか早期診断をするのが我々の一番のテーマになっている」と指摘。加えて「もっとよい治療を研究することが必要だし、今回の2剤療法はその1つのステップと考えられる改善だと考えていい」と語った。

セミナーでは同社メディカルアフェアーズ部門の古賀一郎部門長も登壇し、「生涯、抗HIV薬の服薬が必要なHIV陽性者にとって必要な薬剤を必要なだけ服薬することは、副作用、長期服用の影響、他の薬剤との薬物相互作用などの観点から重要と考える」と語った。また、同社の3剤レジメンであるトリーメク(ドルテグラビル+アバカビル+ラミブジン)の年間薬剤費が255万円、ドウベイトが173万円になることを示し、トリーメクに比べ年間82万円の削減になるとした。

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