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提供:国際医薬品情報 編集部

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■セミナー便り
1.薬剤費負担「高リスクは保険で、低リスクは家計で」-法政大学経済学部:小黒一正教授-
■医療トピックス
1.「病院薬剤師の評価が全く不十分」-日医総研:前田由美子研究部専門部長-
■記者会見
1.業界内や異業種との産産連携を推進-製薬協研究開発委員会:上野裕明委員長-
■セミナー便り
1.血友病凝固因子補充療法の変わらぬ重要性-大阪医療センター感染症内科:西田恭治医長-
■行政トピックス
1.薬食審医薬品安全対策調査会 5月31日 抗コリン薬の禁忌を「閉塞隅角緑内障」に限定
2.中医協総会 5月29日 2つのがん遺伝子パネル検査を保険適用

■セミナー便り
1.薬剤費負担「高リスクは保険で、低リスクは家計で」-法政大学経済学部:小黒一正教授-
■医療トピックス
1.「病院薬剤師の評価が全く不十分」-日医総研:前田由美子研究部専門部長-
■記者会見
1.業界内や異業種との産産連携を推進-製薬協研究開発委員会:上野裕明委員長-
■セミナー便り
1.血友病凝固因子補充療法の変わらぬ重要性-大阪医療センター感染症内科:西田恭治医長-
■行政トピックス
1.薬食審医薬品安全対策調査会 5月31日 抗コリン薬の禁忌を「閉塞隅角緑内障」に限定
2.中医協総会 5月29日 2つのがん遺伝子パネル検査を保険適用

 

■セミナー便り

1.薬剤費負担「高リスクは保険で、低リスクは家計で」
-法政大学経済学部:小黒一正教授-

米国研究製薬工業協会(PhRMA)は5月15日に「日本の難病の現状と課題」と題するプレスセミナーを開催した。小黒一正法政大学経済学部教授は、新しいイノベーションを医療保険制度の中でどのように取り扱っていくべきかについて財政の立場から講演し、医薬品への保険給付について家計軸を取り入れて見直すことを提案した。

厳しい医療保険財政下で、どのようにイノベーションを取り入れていくかを考える際、重要になるのが、「予見可能性が担保されていること」と指摘した上で、「場当たり的なパッチワークで制度を改正し、今保険収載されているものが保険から外れていくというようなことがあってはならない」と述べた。

医療資源全体から見た場合に各薬剤がどのような位置付けにあるのかを議論するためのテーブル作成を提言。具体例として、代替薬があり、有用性が高いとは言えない薬剤として湿布薬、ビタミン剤、漢方薬を、代替薬がなく有用性が高い薬剤としては薬価収載されたばかりのキムリアを取り上げた。

キムリアについては単回使用で薬剤費は3349万円に上り、保険でカバーされていなければ大抵の国民は支払えない薬価であるのに対して、湿布薬などは、市場規模は大きいものの、家計で見れば低コストである。

キムリアの保険収載はまさに公的保険の原理に適ったものであると解説。一方、「家計で負担できるリスクは自助で負担していく。分かち合いの中で吸収できるものについては、それらの財源を本当に必要なところに回していくことも検討すべきだ」と提言した。

 

■医療トピックス

1.「病院薬剤師の評価が全く不十分」
-日医総研:前田由美子研究部専門部長-

日本医師会総合政策研究機構(前田由美子研究部専門部長)は5月28日、「調剤報酬と医薬分業の現状-医科と調剤の関係に注目して-」と題した日医総研ワーキングペーパーを発表した。「医薬分業が進められてきたが、何年かかっても患者にとってメリットが感じられていない」一方で、「医科院内処方の評価は極めて低い。病院薬剤師の評価が全く不十分」と指摘。診療報酬本体の各科配分の固定化(「医科:歯科:調剤=1:1.1:0.3」)を撤廃して、患者が真に必要とする医療に財源を優先すべきと訴えている。

診療報酬本体は「医科:歯科:調剤=1:1.1:0.3」で配分されている。この配分は、医療費に占める技術料の割合がおおよそ「医科80%、歯科90%、調剤20%」=「1:1.1:0.3」であることから定められており、18年度の診療報酬本体改定率は本体0.55%、「医科0.63%:歯科0.69%:調剤0.19%=1:1.1:0.3」となっている。

例えば、改定前の17年度の医科の医療費は31.4兆円であり、技術料はその80%なので25.1兆円。18年度は改定率が医療費ベースで0.63%なので、医療費は0.2兆円増の31.6兆円。この0.2兆円は技術料の増加になるため、18年度の技術料は25.3兆円となり、前年度比0.8%増である。この計算を歯科と調剤で同様に行うと、技術料増加率は「医科0.8%:歯科0.8%:調剤0.8%=1:1:1」で、各科とも同じになる。

しかし、「医科では技術の高度化が著しく進み、技術導入コストが上昇している一方、調剤業務などは自動化による効率化の余地がある部分もあり、必要な技術料は医科・歯科・調剤で決して同じではない」と主張している。

2017年度の入院外の調剤関連技術料は、医科、歯科、調剤全体で2兆6900億円と推計。全て院内処方だとして院内処方の点数に置き換えて計算した調剤関連技術料は約8400億円となり、その差の約1兆9000億円が医薬分業の付加価値になると試算した。

調剤報酬に医薬分業を進めるためのインセンティブが付与されてきた結果だが、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会の取りまとめでは、薬局の服薬指導とそのコストについて、「薬剤師による薬学的管理・指導が十分に行われているとは言えず」、「患者にとってのメリットが感じられないとの指摘」があると述べている、としている。

一方、病院薬剤師や診療所院内処方の評価が不十分であると指摘。病院薬剤師常勤換算1人当たり調剤関連報酬を計算したところ226万円にとどまるとした。また、減算ルールのない通常の院内処方の処方料(42点)は、院外処方の処方箋料(68点)よりも26点低いとした。

 

■記者会見

1.業界内や異業種との産産連携を推進
-製薬協研究開発委員会:上野裕明委員長-

製薬協研究開発委員会の上野裕明委員長(田辺三菱製薬常務)は5月28日、研究開発委員会の19年度活動方針発表記者会見で、製薬協が1月に公表した政策提言2019に基づき、継続的な医薬・医療イノベーション創出に向けた環境整備に取り組む他、「業界内ならびに異業種との産産連携を推進する」と述べた。特に異業種との連携については「これまで研究開発委員会で議論されてこなかったが、今後一層重要になるのではないか」と見通しを示した。IT企業やデバイスメーカーとの連携を図ることで、新薬開発の成功確率向上や新しい製品・サービスの創出につなげる構えだ。

一方、業界内の産産連携では、データ駆動型創薬に資する企業間データシェアリングを重点課題の1つとして挙げた。政策提言2019によると、製薬企業の間でデータシェアリングを行うべき分野、領域、枠組みなどを議論し、データシェアリングポリシーを策定する。そして持続的な基盤データベースを構築するとともに、それを学習したAIシステムを開発する。例えば、低分子創薬の分野で各社が前臨床データを持ち寄り化合物データベースを構築。自社研究に自由に活用することで各社の低分子創薬の強化や効率化が図れるという。

企業間データシェアリングの現状について上野委員長は「研究開発委員会の企業間でも温度差はすごくある。ただ、従前に比べデータシェアリングのハードルは下がっている」と言う。その上で「何を提供したらどういうものが得られるかをより明確にすることによってその枠(参画企業)が広がっていくと考えている」と話した。

 

■セミナー便り

1.血友病凝固因子補充療法の変わらぬ重要性
-大阪医療センター感染症内科:西田恭治医長-

サノフィは5月29日に血友病の特徴と治療の変遷についてメディアラウンドテーブルを開催した。講演した大阪医療センター感染症内科の西田恭治医長は、日本でも治験が始まろうとしている遺伝子治療について期待感を示す一方、既存の治療法である凝固因子補充療法の果たす役割の重要性を強調した。

凝固因子の補充によらない治療法も登場しつつある。西田氏は、凝固因子を自分で作れるようにするために凝固因子の遺伝子を導入するという治療法が、日本でも年内に治験が開始される見込みであると話した。もし1ショットで長期間にわたって凝固因子が生産され、凝固因子活性が30%程度保たれるならば、「治癒に到達したということになるのかもしれない」と期待感を示した。

しかし、その価格は「1ショット数億円」になるといわれており、効果の持続性によって患者が一生涯に2ショット、3ショットと使うとなれば、薬剤費はさらに膨れ上がる。また、現在の凝固因子補充療法でも出血ゼロを達成できつつあることなどから、「どれくらいの患者が遺伝子治療を受け入れるのかという心配もある」と述べた。

血友病治療が多様化する中で、「凝固因子補充療法は必ず必要な治療法であり、なくなっては困る」と述べて、その果たす役割の重要性を強調。インヒビター発現が少ない製剤、皮下注製剤、半減期がより長い製剤の開発が行われているとして、さらなる改良に期待を示した。

 

■行政トピックス

1.薬食審医薬品安全対策調査会 5月31日
抗コリン薬の禁忌を「閉塞隅角緑内障」に限定

薬食審医薬品安全対策調査会は5月31日、抗コリン薬の添付文書を改訂し、禁忌を「閉塞隅角緑内障」に限定することを了承した。現行では多くが禁忌として「緑内障」と記載。日本眼科学会が緑内障の大部分を占める「開放隅角緑内障」の患者に本来安全なはずの抗コリン薬を服用できなくなる不利益が生じるなどとして、改訂を要望していた。厚労省では、改訂は当初医療用にとどめ、OTCに広げていく方策を検討していく考えだ。

日本眼科学会では、該当すると考えられる医薬品として▼アトロピンやブチルスコポラミン(腸管鎮痙薬)▼イミプラミンやクロミプラミン(抗うつ薬)▼オキシブチニン(過活動膀胱治療薬)▼クロルフェニラミンやジフェンヒドラミン(第一世代抗ヒスタミン剤)▼ジソピラミド(抗不整脈薬)▼トリヘキシフェニジルやビペリデン(パーキンソン病治療薬)-など102成分を挙げている。

また、安全対策調査会は、メトホルミン含有製剤の添付文書を改訂し、中等度の腎機能障害患者への投与を可能とすることを了承。乳酸アシドーシスの副作用のリスク最小化のため、現行ではメトグルコ等は中等度以上の腎機能障害が、グリコラン等は軽度を含め腎機能障害が禁忌となっている。最新の科学的知見に基づき重度の腎機能障害(推算糸球体濾過量:eGFRが30未満)のみを禁忌にする。また、eGFRに基づき腎機能障害患者に係る1日最高用量の目安を記載することも了承した。

 

■行政トピックス

2.中医協総会 5月29日
2つのがん遺伝子パネル検査を保険適用

中医協は5月29日の総会で、2つのがん遺伝子パネル検査について保険適用を了承した。中外製薬の「Foundation One CDxがんゲノムプロファイル」と、シスメックスの「OncoGuide NCCオンコパネルシステム」-。標準的な治療が終わった、あるいは標準的な治療ができない固形がん患者を対象とし、包括的ながんゲノムプロファイリング検査を行い、診断・治療方針の決定につなげるもの。

4月24日の総会に示された「NCCオンコパネル」の臨床試験結果によると、治療薬の選択に到った割合は13.4%(187例中25例)にすぎない。現時点で治療に直接つながる遺伝子情報は限定的だが、検査によって得られる遺伝子情報およびパネル検査前後における臨床情報が国立がん研究センターの「がんゲノム情報管理センター」(C-CAT)に収集、解析されることによって、新しい治療法や予後予測等の情報が患者に提供されること、また将来的に新たな治療法の開発につながることが期待されている。

ピーク時の市場規模を中外製薬は2023年度に75億円(使用患者数1万3532人)、シスメックスは23年度に73億円(同1万3127人)と予測している。

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