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■行政トピックス
1.厚労省医薬品審査管理課 2月17日 エディロールやメマリーなどの後発品を承認
■セミナー便り
1.ʻRebalance coagulationʼコンセプトの新規治療薬に注目-東京医科大学:天野景裕教授-
2.リティンパ「日本発の画期的な薬」-慶応大学医学部・医学研究科耳鼻咽喉科教室:小川郁教授-

■行政トピックス
1.厚労省医薬品審査管理課 2月17日 エディロールやメマリーなどの後発品を承認
■セミナー便り
1.ʻRebalance coagulationʼコンセプトの新規治療薬に注目-東京医科大学:天野景裕教授-
2.リティンパ「日本発の画期的な薬」-慶応大学医学部・医学研究科耳鼻咽喉科教室:小川郁教授-

 

■行政トピックス

1.厚労省医薬品審査管理課 2月17日
エディロールやメマリーなどの後発品を承認

厚労省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課は2月17日、年2回(6月、12月)のうち、次回6月の後発品薬価収載に向け、352件を承認した。後発品として初めて承認された有効成分数は14成分に上った。

中外製薬と大正製薬が共同販売している骨粗鬆症治療薬エディロール(エルデカルシトール)の後発品の承認を沢井製薬と日医工の2社が取得した。大正製薬HDの決算資料によると、エディロールは、19年3月期の年間売上げが262億円、20年3月期には277億円を予想する同社の売上げトップ製品だ。21年3月期には、6月に見込まれる後発品参入の影響を受ける見通しだ。

一方、中外製薬の決算資料によると、エディロールの19年12月期の年間売上げは、前年比11.6%増の367億円。しかし、20年12月期には、6月の後発品参入の影響を見込み、28.9%減の261億円を予想している。

第一三共エスファは同日、アルツハイマー病治療薬メマリー(メマンチン)のオーソライズド・ジェネリック(AG)の承認を取得したと発表。この日、第一三共エスファ以外に、21社がGEの承認を取得した。第一三共の決算資料によると、メマリーの19年3月期の年間売上げは502億円に上り、20年3月期は500億円を予想するが、21年3月期はGEの影響を受ける見通し。

武田テバファーマも同日、アレルギー性鼻炎治療薬ザイザル(レボセチリジン)と前立腺肥大症治療薬アボルブ(デュタステリド)のAGの承認を取得したと発表した。両先発品はグラクソ・スミスクライン(GSK)が販売している。

武田テバが承認を取得したのは、ザイザル錠5mgのAGだが、この日承認を取得したGEの中には、錠5mg以外に、OD錠2.5mg(日新製薬、陽進堂、高田製薬)、OD錠5mg(日新製薬、陽進堂、高田製薬、沢井製薬)、錠2.5mg(高田製薬、セオリアファーマ、小林化工、陽進堂、キョーリンリメディオ、ニプロ、日医工、小財家興産)、ドライシロップ0.5%(日本臓器製薬、陽進堂、キョーリンリメディオ、高田製薬、辰巳化学)が含まれている。

なお、GSKは同日、既存のザイザル錠5mg、同シロップ0.05%に追加して、先発品としてザイザルOD錠2.5mg、同OD錠5mgの承認取得を発表した。6月に収載予定。

アボルブに対しても、武田テバのAG以外に15社のGEが承認を取得した。先発品はカプセル剤だが、GEには錠剤も含まれている。

この他、ファイザーは消炎・鎮痛剤セレコックス(セレコキシブ)のAGの承認を取得したことを明らかにしている。ファイザーのAG以外に19社がGEの承認を取得している。

第一三共エスファが19年8月に承認を取得した高コレステロール血症治療薬ゼチーア(エゼチミブ)のAGは12月の収載を見送り、6月の収載・発売を予定しているが、この日、18社がGEの承認を取得し、6月に収載される見通しになった。

【後発品として初めて承認された有効成分】
▼エルデカルシトール(先発品名エディロール)
▼ガドテル酸メグルミン(マグネスコープ)
▼ガランタミン(レミニール)
▼セレコキシブ(セレコックス)
▼タダラフィル(ザルティア)
▼デュタステリド(アボルブ)
▼ナラトリプタン(アマージ)
▼バゼドキシフェン(ビビアント)
▼ピルフェニドン(ピレスパ)
▼フェキソフェナジン/プソイドエフェドリン(ディレグラ)
▼メマンチン(メマリー)
▼モキシフロキサシン(ベガモックス)
▼レパグリニド(シュアポスト)
▼レボセチリジン(ザイザル)

 

■セミナー便り

1.ʻRebalance coagulationʼコンセプトの新規治療薬に注目
-東京医科大学:天野景裕教授-

Rare Disease Day(RDD)日本開催事務局とファイザーは2月4日、2月29日の「世界希少・難治性疾患の日(RDD)」に先立ち、プレスセミナーを都内で開催。登壇者の一人、東京医科大学の天野景裕教授が「血友病を取り巻く現状」について講演した。

血友病とは血液凝固第Ⅷ因子あるいは第Ⅸ因子が生まれつき不足している疾患で、第Ⅷ因子が不足しているのが血友病A、第Ⅸ因子の場合が血友病Bである。血友病では、血液が固まりにくいために止血までに時間がかかるのであって、出血が固まらない、止まらないわけでない。ただし、普通であればいつの間にか止まっているような出血であっても、血友病の人は止血までに時間を要するので出血しやすいように見えてしまう。

世界で血友病Aと血友病Bを合わせた患者数は約40万人。国内では18年5月31日時点で血友病Aは5301人、血友病Bは1156人いる。

血友病の出血症状の中心は関節内出血、筋肉内出血であり痛みを伴う。出血が積み重なると慢性化して関節が動かしにくくなる関節拘縮などの血友病性関節症になり障害が残る。「そうならないようにすることが治療の目的」(天野教授)であり、治療法は凝固因子製剤の補充療法が基本になっている。

出血時に注射する「出血時補充療法(オンデマンド治療)」、スポーツや旅行など出血する可能性のある行動をするときにあらかじめ投与する「予備的補充療法」、重症の患者を中程度から軽症の状態にして血友病性関節症の発症を防ぐ目的で行われる「定期補充療法」が実施されている。

天野教授は、血友病を取り巻く課題の1つとして、「血友病保因者」に関する問題を指摘する。血友病保因者とは、血友病の子供が生まれる可能性がある遺伝を受け継ぐ立場にある女性を指す。血友病保因者は凝固因子が健常人と比較して少ない傾向にあるため、人によっては出血しやすい。

分娩するときは保因者自身の出血リスクを、さらに血友病児を分娩するときには血友病児の頭蓋内出血の危険性について十分に情報提供して、経腟分娩に加え、計画かつ管理された帝王切開も選択肢に入れるべきとし「重要なことは母親自身が保因者であることを知ること、医療関係者とその情報を共有することで保因者と胎児がより安全な分娩をすることである」と語った。

また、血友病の子供が生まれた時に母親が罪の意識を持ってしまうことがあり、母親のケアが必要になる場合があるという。

さらに、天野教授は、血友病治療法のこれまでの進化についても触れ、大きな転換点として1983年の家庭輸血(自己注射)の承認を挙げた。この承認によって出血時に病院に行かずに直ちに止血治療ができるようになり、通院回数が減少し患者のQOLを高めたという。

近年では半減期が長い凝固因子製剤が誕生して血友病Aでは2日に1回の投与が3日に1回へ、血友病Bでは週に2回投与が週に1回にまで減少。また、製剤が要冷蔵から常温保存となったことで社会生活への適合性が向上した。

さらに、新しい概念の治療薬として18年5月に発売となった二重特異性抗体ヘムライブラ(エミシズマブ)を紹介。その特徴として静脈内注射ではなく皮下注射製剤であること、インヒビターの保有患者にも有効であることなどを挙げた。

さらに、治療の基本は血液製剤としながらも、注目する血友病治療薬候補として、抗凝固因子を低下することによって出血に傾いた不均衡を平衡化するコンセプト「Rebalancing coagulation」に基づいた抗アンチトロンビンのRNAi治療薬fitusiran(サノフィ)や組織因子経路阻害因子(tissue factor pathway inhibitor:TFPI)に対する抗体concizumab(ノボ ノルディスク)を紹介した。

遺伝子治療の現状にも言及。武田薬品(シャイアー)、スパーク・セラピューティクスとファイザーなど欧米を中心に治験が開始しており、好結果が報告されているとその有用性に期待を込めた。ただし、国内では血友病A、血友病Bともに準備段階であり、治験は開始されていない。

 

■セミナー便り

2.リティンパ「日本発の画期的な薬」
-慶応大学医学部・医学研究科耳鼻咽喉科教室:小川郁教授-

慶応大学医学部・医学研究科耳鼻咽喉科教室の小川郁教授は2月13日、ノーベルファーマ主催の鼓膜穿孔(鼓膜に開いた穴)治療剤リティンパ(一般名トラフェルミン)に関するメディアセミナーで「難聴の治療薬は私が医者になってから1つも新薬が出ていない。難聴を直接治すわけではないが、鼓膜穿孔を閉鎖する新しい薬が日本発として出てきたことが非常に画期的だ」と語った。

リティンパは19年9月に鼓膜穿孔の効能・効果で承認を取得し、12月に発売された。鼓膜穿孔は中耳炎や外傷などが原因で生じる疾患で、鼓膜に穴が開くことで難聴になる。小川教授によると、難聴はコミュニケーションを障害し、社会活動の減少につながり、無介入の高齢難聴者には認知症やうつといったさまざまな不利益が生じるという。小川教授は「難聴はただ聞こえないというだけではなく、認知症やうつの原因になるということで、社会的に大きな問題になっている」とした。

セミナーには鼓膜穿孔に同剤を使うことを考案した北野病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の金丸眞一主任部長も登壇し、難聴が認知症を加速する単独要因の1つとなることから「鼓膜穿孔など治療可能な難聴は積極的に治療することが望ましい」と語った。

金丸主任部長によると、鼓膜穿孔のこれまでの治療法は鼓室形成術や鼓膜形成術といった手術療法だったが、(1)皮膚外切開(耳の後ろの皮膚を切ること)や自己組織採取(鼓膜の代わりとなる組織を取ること)など侵襲が大きい(2)数日から2週間程度の入院や頻回の通院が必要(3)正常な鼓膜はできず、聴力回復がさほど良くない-などの課題があった。

一方、リティンパは(1)20分間程度の外来処置で入院不要(2)外切開や自家組織採取が不要(3)鼓膜全欠損でも正常構造の鼓膜再生が期待できる(4)理想的聴力改善が得られる可能性がある-などの特長がある。

金丸主任部長は同剤が保険適用となったことを受けて「今後、鼓膜形成術の9割程度が無くなる。鼓室形成術も今後さらにこれを進めることによって30%が無くなるのではないかと考えている。補聴器もある程度の割合で不要になる。認知症の増加率も抑制することができる」と見通しを示した。加えて、「実はいままで手術をしなさいと言っていたのに全く応じない患者がたくさんいたが、この鼓膜再生が新聞発表されるや否や、ものすごい数が来た。私たちの病院に1日で80人治療患者が殺到し、現在、正直なところ、1年待ちといった状況だ」と話した。

セミナーには同社の島崎茂樹副社長も登壇し、今後の展望として海外展開を挙げた。内転型痙攣性発声障害における症状の改善を適応とした医療機器のチタンブリッジ、結節性硬化症に伴う皮膚病変を適応としたラパリムスゲル、そしてリティンパの3製品を海外で上市することが第一の目標とした。

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