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■セミナー便り
1.臨床開発の効率化・コスト削減は急務-厚生労働省:森和彦審議官-
2.ドラッグストアや薬局でまずは周知を-厚労省医政局経済課:阿部幸生課長補佐-
■記者会見
1.毎年薬価改定に懸念示す-ファイザー:梅田一郎社長-
■セミナー便り
1.FOURIER試験の結果を待ちたい-東邦大学医療センター大橋病院:中村正人教授-

■セミナー便り

1.臨床開発の効率化・コスト削減は急務
-厚生労働省:森和彦審議官-

厚労省の森和彦審議官(医薬担当)は医療情報学連合大会で講演し、 1.臨床開発の効率化・コスト削減は急務である 2.画期的新薬が真価を発揮するため、開発と臨床現場の「つながり」は重要であることを強調した。

森氏は、新薬開発の成功率が低下し、慢性疾患を対象とする大型新薬を持続的に創出し続けることが困難となっている一方で、分子レベルで病態メカニズムが解明されたがんや難病などの新薬は、患者数は少なくても、高価であっても確実に医療ニーズがあると述べた。

さらに、「このようなタイプの新薬開発は基礎研究から臨床現場までの距離が近く、開発のペースも格段に速いことが多く、開発企業と研究者、医療従事者、患者相互がコミュニケーションを良好にすることによって全体が見渡しやすくなり、効率的に実用化が進められる」とした。

一方で、臨床開発の膨大なコストが持続的な新薬開発を阻害する要因になりかねないと指摘。「既存の臨床試験の方法だけでなく、全国的あるいは国際的な患者レジストリーを構築し、このレジストリーに登録された患者を対象に有効性、安全性を評価する方法がコスト的にもメリットがあり、今後活用されることが見込まれる」とした。

 

■セミナー便り

2.ドラッグストアや薬局でまずは周知を
-厚労省医政局経済課:阿部幸生課長補佐-

日本一般用医薬品連合会主催のセミナーで厚労省医政局経済課の阿部幸生課長補佐がセルフメディケーション税制について講演し、「小さく産んで大きく育てるには周知が必要だ」とドラッグストアや薬局などに協力を求めた。政府広報という手段もあるが、「ドラッグストアでポスターを貼って薬剤師さんがこういう制度があると説明するのが一番広がる方法と思う」と述べた。

セルフメディケーション税制は対象となるOTCを年間1万2000円を超えて購入した場合、所得控除が受けられる制度。対象のOTCは医療用から一般用に転用されたスイッチOTCで82成分1525品目。具体的な品目リストは厚労省のホームページに掲載されている。例えば、課税所得400万円の人が対象のOTCを2万円購入した場合、8000円(2万円-1万2000円)が課税所得から控除され、減税額は所得税で1600円、個人住民税で800円となる。減税額は所得に応じた所得税率によって異なる。ただ、受けるにはその年に特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診のいずれかを受診していなければならない。加えて、 1.商品名 2.金額 3.その商品がセルフメディケーション税制対象商品であること 4.販売店名 5.購入日が記載されている領収書やレシートを保存しておいて確定申告しなければならない。また、通常の医療費控除との併用はできない。

セルフメディケーション推進のためには今後の対象品目の拡大も必要になってくるが、阿部課長補佐は「確定申告の結果が試算したのと近い実績になっているかどうか。その実績が積み上がっていけば拡大も見えてくるのではないかと思う」とし、セルフメディケーションの姿については「お医者さんからするとおそらく医療機関にかかってほしいというところもあって、健康診断を入れたりというところがあるが、ちょっと風邪をひいたくらいなら、まず薬剤師さんに相談してというところ」と語った。

 

■記者会見

1.毎年薬価改定に懸念示す
-ファイザー:梅田一郎社長-

ファイザーの梅田一郎社長は、12月2日の記者懇談会の挨拶で、毎年薬価改定およびオプジーボに対する薬価緊急改定について遺憾の意を示した。毎年薬価改定については「仮に市場実勢価に基づいて毎年5〜6%の薬価改定が実施されると、中長期的に医薬品市場の大幅な縮小が見込まれ、多くの製薬企業の経営に甚大な影響を及ぼし、急激に不況産業に陥る恐れがある」と懸念を示し、患者への医薬品供給に障害が出るリスクがあると警告した。

緊急改定については、「こうした政策は薬価の予見性を低下させ、日本での新薬開発や効能追加への意欲を削ぐことにもつながる」と懸念を示した。そのうえで、社会保障費の適切なコントロールの必要性には理解を示したが、「画期的な新薬にペナルティを課すのは適切な政策とは言えない」と批判。さらに現行薬価制度を評価したうえで、「ひとつひとつの制度の意味合いをもっと十分に考慮しながら、製薬企業や患者さんを巻き込んだ慎重な議論が展開されること」を求めた。

なお、同社の主力品となりうるHR+HER2-転移性乳がん治療薬イブランス(一般名パルボシクリブ)は10月に手術不能または再発乳がんの効能・効果で国内承認申請した。来年中には上市される見通しだ。

米国ではCDK4/6阻害薬のファースト・イン・クラスとして、15年2月にHR+HER-閉経後進行乳がんに対する初回内分泌療法(レトロゾールとの併用)で承認を取得。その後16年2月に内分泌療法後に疾患が進行したHR+HER2-転移乳がんに対するフルベストラントとの併用治療の承認を取得した。イブランス+フルベストラント群とプラセボ+フルベストラント群を比較した第3相PALOMA3試験では、イブランス+フルベストラント群は、口内炎などの患者が嫌がる副作用が少なく、QOLを保ったまま無増悪生存期間を2倍に延長したという特長を示している。

中村誠オンコロジー部門長によると、イブランスが対象にする国内の乳がん患者の数は様々な調査があるが、1万5000人程度とみられるという。「ファイザーはこれまで比較的レアキャンサーを取り扱ってきたが、イブランス、がん免疫療法と今後、メジャーキャンサーを取り扱うことになる」(中村オンコロジー部門長)ことから、それに合わせてMRの増員を含めた営業体制の見直しを検討している。

 

■セミナー便り

1.FOURIER試験の結果を待ちたい
-東邦大学医療センター大橋病院:中村正人教授-

東邦大学医療センター大橋病院循環器内科の中村正人教授は11月28日、アステラス・アムジェン・バイオファーマ主催のメディアセミナーでPCSK9阻害剤レパーサ(一般名エボロクマブ)のGLAGOV試験の結果を解説。この試験はスタチン療法で治療中の患者において、月1回のエボロクマブ420mg皮下投与を78週間行い、低下したLDL-コレステロールによってアテローム容積率(PAV)がプラセボと比較してベースラインから大きく変化するという仮説を検証するもの。

結果、LDL-C値はスタチン単独療法で平均93mg/dLであったのに対し、スタチン+エボロクマブ併用群で平均36.6mg/dLを達成した。一方、78週時点におけるベースラインからのPAVの変化はスタチン単独療法で0.05%、エボロクマブ併用療法で-0.95%で退縮を示した(P<0.001)。退縮を認めた患者の割合はスタチン単独療法で47.3%、エボロクマブ併用群で64.3%であった。

LDL-Cを低下させることにより退縮がみられたが、退縮が1%程度だったことに対して中村教授は「もともとのベースラインのプラークが多くないところを見ているため」と説明。ベースラインのPAV はプラセボ群で7.2(95% CI:36.4〜38.0)、エボロクマブ群で36.4(35.6〜37.2)と既に低いところからスタートしているためSAVの変化率が1%程度になったとみられる。

この退縮が実臨床にどのような影響を与えるかということについては「FOURIER試験の結果を待ちたい」とした。FOURIER試験は最適用量のスタチンに上乗せしたレパーサとプラセボの心血管イベントの再発リスクの低下を評価する試験。主要な結果は3月の米国心臓病学会(ACC)で発表される予定だ。

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