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■行政トピックス
1.中医協薬価専門部会 7月26日 原価計算方式に委員の批判が集中
2.スイッチOTC化評価検討会議 7月26日 緊急避妊薬ノルレボを「否決」
■記者説明会
1.パルモディア国内売上げ「3ケタ後半」-興和:三輪芳弘社長-
■セミナー便り
1.バイオより優れるRAの経口剤-産業医大第1内科:田中良哉教授-
2.脊髄性筋萎縮症に国内初の核酸医薬-東京女子医大:齋藤加代子教授-
3.フェソロデックスが「先発投手」-愛知県がんセンター乳腺科:岩田広治部長-
4.イーケプラ「高齢発症てんかんに」-朝霞台中央総合病院脳卒中・てんかんセンター:久保田有一センター長-
5.デュピュイトラン拘縮「注射療法にシフト」-名古屋大学手の外科学:平田仁教授-

■行政トピックス

1.中医協薬価専門部会 7月26日
原価計算方式に委員の批判が集中

中医協薬価専門部会は7月26日、昨年末にまとまった政府の「薬価制度抜本改革基本方針」に基づき、年明け1月11日から続けてきた議論の取りまとめを行った。今回の取りまとめは、これまで計12回にわたる議論のうち、前半の7回目まで。特に7回目に取り上げたテーマである「原価計算方式」について、この日の会合で、幸野庄司委員(健保連理事)が「企業の言い値ありきという印象である」と改めて述べるなど、批判的な意見が集中した。

抜本改革論議を開始した1月11日には、改革の大きな柱の一つである「効能追加等に伴う市場拡大への柔軟な対応」がテーマだった。高額薬剤の象徴となったオプジーボ問題を踏まえ、「これまでの市場拡大再算定、特例拡大再算定では、柔軟に薬価対応できていない」との批判に対応するもの。

1月当時、厚労省が「販売数量の把握としてNDBの活用もあり得るのではないか」と提案したのに対し、診療側委員から「IMSのデータを活用する方が効率的ではないか」との意見が示された。これを踏まえ、この日の会合で厚労省は「IMSデータとNDBデータの特徴比較」資料を提示し、「それぞれ良い点、悪い点があるが、IMSデータの利用に当たっては、利用企業・団体ごとのライセンス契約が必要であり、またデータの第三者への開示は原則不可となっており、個別品目の再算定に活用するのは難しい」との認識を示した。

1月25日のテーマは「外国平均価格調整の在り方」。米国の価格を参照価格から外すことで支払側・診療側の意見は概ね一致をみたが、診療側から「英独仏は外国価格調整をしているのか。米国を参照しているのか」との質問が出た。これを踏まえ、この日の会合で同省は「英独仏においては、米国価格を新薬価格決定時に参照していない」と回答。吉森俊和委員(協会けんぽ理事)は「ある程度価格がコントロールされている各国で米国価格を参照していない。わが国でも今後の議論の中でそれをきちんと議論すべき。米国の価格は参考にするにしても、価格調整をする際に参照する価格としては用いるべきではないというのが支払側の意見だ」とコメントした。

そして「原価計算方式」をテーマに取り上げたのは4月12日の7回目のこと。当時、支払側からは「原価計算方式で積み上げる営業利益率は他産業と比較して高すぎる」、診療側からは「算定手順、算定内容について具体的に提示してほしい」などの意見が出ていた。

これを踏まえ同省は、「原価計算方式の薬価算定シミュレーション(仮想例)」資料を提示し、原材料費、労務費、製造経費、研究開発費、研究開発費以外の一般管理・販売費など、それぞれの細目について詳細に確認した上で、算定している現状を説明した。

幸野委員は「原価計算方式は全体的に、企業の言い値ありきという印象。それをどれだけ査定されるか、というやり方で行われていると強く感じた」と発言。その上で「原価計算方式により薬価を算定した当初の患者数見込みについて妥当なものか検証したことがあるか」とただした。

同省の保険局中山智紀薬剤管理官は「その後に振り返ってみた場合に妥当であったかという検証はない。大きく増えた場合には、再算定という形で薬価の見直しで対応していくことかと思う」と答えた。診療側からは、医薬品卸の粗利(売上げ総利益率)が流通経費として薬価に反映されることの是非など、原価計算方式に批判的な意見が出た。

 

2.スイッチOTC化評価検討会議 7月26日
緊急避妊薬ノルレボを「否決」

厚労省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」は7月26日、2回目の会合を開き、個人(一般消費者)などから要望があったスイッチOTC医薬品候補成分について、その妥当性の検討に着手した。この日は、要望があった22成分のうち、5成分の可否を検討し、緊急避妊薬ノルレボを「否」とする一方、ヒアレイン(ドライアイ・角膜保護は「否」)、ムコスタ、モービック、フルナーゼは「可」(留意事項あり)とした。今後、「否」としたノルレボを含め、パブリックコメントを実施し、次回11月に再検討する。要望があった残りの成分についての検討も行う。

厚労省のスイッチOTC化促進に向けた新スキームがようやく動き出した。これは従来の日本薬学会の提案を基に関係医学会と調整する仕組みを廃止し、誰でも候補品を提案できるようにしたもので、同省は16年8月5日、要望受付を開始し、17年5月末までに22成分の要望が集まった。その妥当性を評価する役割を評価検討会議が担う。

この日、評価したのは、緊急避妊薬ノルレボなど5成分。同省の説明によると、ノルレボは、個人から寄せられた要望。同省が整理した「成分情報シート」によると、ノルレボが承認されたのは2011年。用法・用量は「性交後72時間以内に1.5㎎を1回経口投与」で、国内第3相試験における妊娠阻止率は81%だった。禁忌は「妊婦」などとなっている。

また、日本家族計画協会家族計画研究センターが2012年に実施した調査(第6回男女の生活と意識に関する調査)結果によると、緊急避妊法の認知度は33%(男性27.5%、女性38.1%)で、推定使用者数は42万人となっている。海外では、英仏独米加豪など主要国で既に一般用医薬品として承認されている。

対して、OTCとすることの可否について、日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会の見解は、いずれも「否」。仮にOTCとすることを「可」とした際の留意事項として、医学会・医会は「OTCではなく、BPC(ビハインド・ザ・ファーマシー・カウンター)とすべき」「販売時に生殖内分泌や性教育に関して十分な研修を受けて可となった薬剤師のみが対応可能となるような枠組みが必要である」-とした。

一方、日本OTC医薬品協会は、「本剤の対象となる緊急避妊は、避妊措置を講じなかった場合または通常の避妊方法に失敗した場合が想定されることから、薬剤師および生活者がその使用可否を判断できるとともに生活者自らが使用できる。適切な注意喚起をすることにより、スイッチOTC化は妥当と考える」との見解を示した。

こうした厚労省による説明を踏まえ、参考人として出席した矢野哲氏(国立国際医療研究センター病院副院長)は、スイッチOTC化を「否」とする立場から、「妊娠阻止率が100%であればOTC化はすぐさまいいと思うが、必ずしも妊娠を回避できるわけではない。一般の人はOTCになってしまうと、100%妊娠を阻止できるのではないかと誤解するのではないか。それで知らない間に妊娠がどんどん進行してしまったり、いわゆる子宮外妊娠となり生命にかかわったりすることが危惧される」と発言した。

また、評価検討会議の委員からは、「医療機関であれば交付時に適切な性教育を行うことができるが、OTCになってしまうと患者教育の機会を奪うことになる」「偽造品の流通が懸念される」「1類医薬品でもネット販売可能という現状を変える、新たな仕組みを検討すべき」「1錠ずつ売るために各薬局が配備できるだろうか」「避妊具を使うことが減ったり、性感染症が増えたりするリスクがある」など、スイッチOTC化を「否」とする意見しか出なかった。

ヒアレインについては、「ドライアイ・角膜保護」の要望は「否」、目の渇きなどの症状の緩和の要望は「可」とした。ただ、医学会・医会から「ソフトコンタクトレンズまたはハードコンタクトレンズを装着しているときの異物感は効能・効果から除外すべき」といった指摘が出ている。

ムコスタ、モービックについては、OTCとすることは「可」としたが、ムコスタの「胃潰瘍」、モービックの「関節リウマチ」はそれぞれ効能効果から除外すべきとの意見が出た。フルナーゼもOTCとすることを「可」とした。

 

■記者説明会

1.パルモディア国内売上げ「3ケタ後半」
-興和:三輪芳弘社長-

興和の三輪芳弘社長は7月18日、7月3日に国内製造販売承認を取得した自社創製の高脂血症治療薬パルモディア(ぺマフィブラート)の記者説明会で、国内ピーク時売上げについて「少なくとも日本だけで3ケタ後半はいきたい」と意気込みを語った。薬価はまだ決まっていないが、700〜900億円を想定。三輪社長は既存のフィブラート系薬剤とは「まったく違う新しい薬」と強調した。同剤は選択的PPARαアゴニストであり、脂質や糖代謝などにかかわる遺伝子群の発現を調節することにより空腹時血清TGの低下やHDL-Cの増加といった作用を示す。既存のフィブラート系薬剤と標的は同じであるが、PPARαへの選択性が高いことから、安全性の面で肝機能や腎機能への影響が少ないと考えられている。

同社によると国内に治療が必要な高脂血症患者は800万人いると推計され、そのうち150万人がフィブラート系薬剤を使用している。そのためパルモディアの対象患者数は150万人から800万人としている。

パルモディアはグローバル戦略品でもある。実施中の国際共同第3相PROMINENT試験はTG(トリグリセリド)値が高くHDL-C値が低い2型糖尿病患者を対象に心血管疾患の発症・再発抑制の効果を評価する試験で、日本を含む24カ国で1万人の患者を組み入れる。17年3月から開始されており、22年5月に終了を予定。今後はNASH(非アルコール性脂肪肝炎)、胆汁性胆管炎、加齢黄斑変性などへの適応拡大、同社のリバロ(ピタバスタチン)との配合剤の開発を視野に入れている。

会見では白石浩一副社長も「中性脂肪とHDL-Cの治療の第一選択薬にしたい」と意気込みを語った。白石副社長は「TGが下がりHDL-Cの上昇が見られる、現存の薬の中では一番、強いものだろうと思っている。また、この仕事の中で我々がいま感動しているのは従来のフィブラートは肝障害が起こりやすいというのは通説であったが、肝臓の検査値に影響を与えないことが分かっている」と特長を強調。加えて「既存のフィブラート系薬剤が腎排泄であるのに対し、パルモディアが胆汁代謝、糞中排泄であることからその意味でも腎機能への影響は少ないだろう」とした。

なお、国内第3相試験(K-877-09試験、K-877-17試験)ではフェノフィブラート(FF)に対し主要評価項目のTGのベースラインからの変化率で非劣性が示された。安全性はK-877-17試験では治療薬との因果関係が否定できない有害事象がパルモディア0.2㎎群2.7%(2/73例)、同0.4㎎群6.8%(5/74例)、FF106.6㎎群23.7%(18/76例)であった。そのうち肝機能の状態を示すALT増加は1.4%(1/73例)、0%(0/74例)、10.5%(8/76例)、AST増加は1.4%(2/73例)、0%(0/74例)、10.5%(8/76例)、γ-GTP増加は1.4%(1/73例)、0%(0/74例)、13.2%(10/76例)であった。

国内第3相試験ではスタチンとの併用を検討したが、添付文書ではHMG-CoA阻害薬とは原則併用禁忌となっている。白石副社長は「海外では違うが特に日本ではフィブラート系はスタチンとの併用が非常に難しいといわれている。そのためにもすべてのスタチンとの併用試験をこなしてきた。これはこれからもっと数を増やしてしっかりと見せていきたい」と言う。ただ、白石副社長は「初動は大事に育てる。フィブラート系やスタチン系というと横紋筋融解症がどうしても頭に出てくるので、それを起こさないような情報活動をしながら、初年度はTG150㎎/dl以上の高脂血症の患者あるいはHDL-C50㎎/dl以下の患者をしっかり見据えてやっていきたい」とした。

 

■セミナー便り

1.バイオより優れるRAの経口剤
-産業医大第1内科:田中良哉教授-

産業医科大学第1内科学講座の田中良哉教授は7月14日、日本イーライリリー主催のメディアセミナーで講演し、同月に承認された関節リウマチ(RA)治療薬オルミエント(一般名バリシチニブ)への期待を語った。

バイオ製剤を使用しても、3人に1人は寛解や低疾患活動性を達成できないことがアンメットニーズだと指摘。そうした患者は「別のバイオ製剤か経口剤に切り替えるというストーリーになる」と、経口剤でバイオ製剤よりも高い効果を示す同剤の位置づけを例示した。

同剤が第1選択でもよいかとの質問に対しては「将来はそうなるかもしれないが、今は長期の安全性と有効性のバランスに関するエビデンスがないので、既存薬が第1選択になるだろう。長期的な安全性で最も懸念されるのは感染症だと思うが、全例調査で日本人におけるエビデンスが明確になれば、次のステップに進める」との見解を示した。

類薬トファシチニブ(ゼルヤンツ)との使い分けについては、「直接比較試験はないのでわかっていない。少なくとも、オルミエントがアダリムマブに勝ったのは事実」と述べた。

講演で田中氏は、RAは全身疾患であること、発症後の2年間で急速に関節破壊が進行するため早期治療が重要であることを強調した。また、同科でこれまで約3000人にバイオ製剤を投与し、1年後に3分の2の患者が寛解または低疾患活動性を達成したとのデータを紹介した。

オルミエントはJAK1(ヤヌスキナーゼ1)とJAK2を選択的に阻害する経口剤。IL-6、GM-CSF(顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子)、IFNγといった炎症性サイトカインの細胞内シグナル伝達を阻害する。国際共同第3相試験「RA-BEAM試験」では、主要評価項目の「12週時のACR20改善率」でアダリムマブよりも有意に優れていた。患者報告アウトカムで、1週目から痛みや疲労を改善することもわかった。田中氏は「関節を破壊させず、患者さんの生活そのものを改善することがこの薬剤で実現できる可能性がある」と総括した。

 

■セミナー便り

2.脊髄性筋萎縮症に国内初の核酸医薬
-東京女子医大:齋藤加代子教授-

国内初のアンチセンス核酸医薬品(ASO)スピンラザ(一般名ヌシネルセンナトリウム)が7月3日付で承認されたことを受け、製造販売元のバイオジェン・ジャパンは7月19日に都内でメディアセミナーを開いた。適応である乳児型脊髄性筋萎縮症(乳児型SMA)への効果について、東京女子医科大学附属遺伝子医療センター所長・特任教授の齋藤加代子氏は、実際の患者の運動機能を動画で示し、「自然経過ではありえないこと」と述べ、疾患修飾薬としての効果を高く評価した。

SMAは、脊髄の下位運動ニューロンが変性し、四肢や体幹の進行性の筋萎縮や筋力低下をきたす疾患。SMN1(サバイバルモーターニューロン1)遺伝子の欠失・変異によって、運動ニューロンの維持に必要なSMNタンパク質が不足することで発症する。国内患者数は約900人。発症年齢と達成できる運動機能によって1型から4型までに分類され、生後6カ月までに発症する1型が6割を占める。1型は最も重症で、2歳までに呼吸不全で死亡、あるいは生涯にわたり人工呼吸管理を必要とする。これまで、自然経過を修飾しうる薬物療法はなかった。

同社によると、今回の承認は、主に1型の患者を対象とした国際共同第3相試験を根拠とするため、適応は「乳児型SMA」となっている。それ以外の病型を指す「遅発型」についても申請中だという。

同剤は、標的RNAに結合して目的のタンパク質の発現を変化させるように設計されたASOである。SMA患者は、SMN1遺伝子は欠失・変異しているが、その「影武者」(齋藤氏)とも言えるSMN2遺伝子は有している。とはいえ、SMN2遺伝子から産生されるSMNタンパク質の機能と量は不十分なため、下位運動ニューロンが変性して症状発現につながる。

同剤は、SMN2遺伝子からの、完全に機能するSMNタンパク質の産生を増やす。国際共同第3相試験では無治療群よりも有意に高率に運動機能発達指標を達成した。副作用は発熱などが見られた。

 

■セミナー便り

3.フェソロデックスが「先発投手」
-愛知県がんセンター乳腺科:岩田広治部長-

野球と異なり、再発乳がんの治療は「勝って終わる」ということがない。よい薬を後にとっておく治療戦略はありえない-。愛知県がんセンター中央病院の岩田広治副院長兼乳腺科部長は7月20日、アストラゼネカ主催のメディアセミナーで講演し、閉経後進行・再発乳がんの初回治療から使用が可能になった抗エストロゲン剤フェソロデックス(一般名フルベストラント)の重要性をこのように表現した。

ホルモン受容体(HR)陽性再発乳がんに対しては、ホルモン療法剤を「単剤の継投策」で使用し、適切なタイミングで化学療法に移行するのが標準的だという。

日本乳癌学会の2015年版のガイドライン(GL)は、閉経後HR陽性例の再発後の1次内分泌療法にアロマターゼ阻害薬(AI)を強く推奨している。2次治療以降の選択肢にフェソロデックスなどを挙げているが、同剤は今年6月に添付文書が改訂され、初回治療から使用できるようになった。

岩田氏は、その根拠であるアナストロゾール(AI)との直接比較試験「FALCON試験」を紹介。フェソロデックスは主要評価項目の無増悪生存期間を有意に延長したこと、また重要な点として、奏効した患者ではそれが長く持続していることを指摘した。

そうしたデータを踏まえ、「今までの『先発投手』であるAIとの直接対決で勝ち、先発の位置づけが確立した。月1回の通院や臀部への注射を嫌がるなどの理由がない限り、フェソロデックスの方を勧める」との見解を示した。注射のこつをつかめば、痛みなどの局所性副作用は問題にならないとした。

なお現在、日本乳癌学会はGLの大幅な改訂を進めているという。

岩田氏は「2018年の学術総会時の発刊を予定している。患者、看護師、薬剤師にも加わってもらい、それぞれの介入・治療について、エビデンスだけではなく『益と害』の観点から、推奨するかどうかを決定する」と述べた。

 

■セミナー便り

4.イーケプラ「高齢発症てんかんに」
-朝霞台中央総合病院脳卒中・てんかんセンター:久保田有一センター長-

朝霞台中央総合病院脳卒中・てんかんセンターの久保田有一センター長は7月20日、大塚製薬主催の高齢者のてんかんに関するプレスセミナーで、同社の抗てんかん薬イーケプラ(レベチラセタム)について「テグレトール(カルバマゼピン)、デパケン(バルプロ酸)、アレビアチン(フェニトイン)といった古典的な薬がたくさんあるが、レベチラセタムは新薬として高齢発症てんかんによく効くし、害を与えない薬」と評価した。

同剤の特長として「腎排泄であり、肝臓が悪くなっている高齢者にも安全に使える。高齢者は糖尿病、高血圧あるいは脳卒中で血液がさらさらになる薬など色々な薬を飲んでいる。こうした薬と相互作用がないところがレベチラセタムの良いところだ」と強調。

国内の高齢発症てんかんの患者は「高血圧合併が非常に多い。それから脳梗塞の薬を飲んでいる方が多い。糖尿病ももちろんあるが、高血圧と脳梗塞が一番多い」と言う。

久保田センター長は講演で、新たにてんかんと診断された患者の単独治療としてレベチラセタムとカルバマゼピンおよびバルプロ酸の有効性を比較したKOMET試験において、60歳以上の患者を対象としたサブグループ解析の結果、他剤と比べレベチラセタムの継続率が有意に高かったことを紹介(BMC Neurology,2016 16:149)。

加えて、米国のナーシングホームの高齢者の中で抗てんかん薬を服用している患者は10人に1人(Garrard et al Ann Neurol 2003)であり、2000年頃はフェニトイン、カルバマゼピン、バルプロ酸が主に使用されたが、近年ではレベチラセタム、フェニトイン、バルプロ酸が主に使用されている(Martin et al Epilepsia 2017)。

久保田センター長は米国のエキスパートオピニオンにおいても「高齢者のてんかんはレベチラセタムがmost appropriateになっている。適切だということ。ラモトリギン、ラコサミド等々あるが、旧来薬のカルバマゼピンはその位置をかなり落としてきていることが分かる」とした。

てんかんの年代別の発症率はU字カーブを描くことが知られており、小児期に発症率が高く、だんだんと減少し、50代を境に再び上昇する。高齢者のてんかんの発症の仕方には▼脳卒中などの器質疾患に伴うてんかん(脳卒中後てんかん、外傷後てんかん)▼加齢に伴うてんかん発作(高齢発症てんかん)の2パターンがある。

高齢発症てんかんの症状は複雑部分発作という「ぼーっとする発作」(久保田センター長)で、特徴は 1.通常の側頭葉てんかんの複雑部分発作と比べて症状が地味(運動症状がわずか、意識障害のみ) 2.発症後のもうろう状態が長い 3.発作頻度が少ない-といったことが挙げられる。

久保田センター長は高齢者のうつ病や認知症と間違われていた患者もいるとした上で「地域や社会でもしかしたらてんかんではないか、てんかんセンターに行った方がいいよと一言かければその人の人生が変わる。実際に診断されれば、新規の抗てんかん薬があり、他の薬を止めることなく、継続して、発作をなくすことができ、元の仕事に戻れる」と訴え、高齢発症てんかんの啓発の必要性を語った。

 

■セミナー便り

5.デュピュイトラン拘縮「注射療法にシフト」
-名古屋大学手の外科学:平田仁教授-

名古屋大学大学院手の外科学の平田仁教授は7月27日、旭化成ファーマ主催のメディアセミナーで講演し、指の屈曲拘縮が生じる「デュピュイトラン拘縮」の治療について「手術から、『ザイヤフレックス』(一般名コラゲナーゼ〈クロストリジウム ヒストリチクム〉)の注射療法へ急速にシフトが進んでいる」と述べた。

同疾患は進行性の手掌腱膜の線維増殖性疾患。手掌腱膜の増殖・肥厚で生じた太い索状物(拘縮索)が指を引っ張ることで、指が常に屈曲した状態になり、伸ばせなくなる。原因は明確ではないという。中高年の男性に多く、加齢とともに有病率が上昇する。痛みはないが、ものをつかむ、顔を洗うなどの動作がしづらくなり、日常生活に負担を生じる。

従来は、手術しか治療法がなかった。平田氏によると、手術をしても年率4〜5%の頻度で再発を認め、手術で瘢痕化・癒着が生じた場合は再手術時の難易度が上がるという。

同剤はクロストリジウム ヒストリチクム菌由来のコラゲナーゼ製剤で、この疾患の初めての治療薬。拘縮索に注射し、その翌日に医師が患指をゆっくり伸展させる処置を行う。国内臨床試験では77例中66例(85.7%)でほぼ完全な伸展が得られた。

平田氏は、同剤注射療法の利点として「低侵襲である」「注射後に瘢痕化・癒着が起こらないので、万が一手術が必要になった場合でも注射歴が手術の障害にならない」と指摘。

そうしたことが受け入れられ、注射の適応となる関節では手術から注射療法へ急速にシフトが進んでいると指摘した。また、注射療法に関する費用は手術よりも低く、早期の仕事復帰や自立が可能なことから、医療経済的にも利点があるとの研究を示した。

同剤注射療法は、講習受講などの要件を満たした医師が行うこととなっている。

旭化成ファーマによると、日本手外科学会の専門医約900人のうち、これまで768人が講習を受けたという。

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