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■行政トピックス
1.偽造品流通防止のための検討会 4月21日「構造上の穴」は現金問屋との見方も
■記者会見
1.プラザキサ「中和剤で安心感が評価される」-日本ベーリンガーインゲルハイム:青野吉晃社長-
■セミナー便り
1.「遠隔転移頭頸部がんも治癒期待」-がん研究センター東病院:田原信科長-
2.PTCL治療で「本格的にがん領域に乗り出す」-ムンディファーマ:木村昭介社長-
3.関節リウマチ治療、患者の声活用で「治療満足度も高まる」-オックスフォード大:テイラー教授-
4.既存薬と異なる特性のリンゼス-島根大内科学第二:木下芳一教授-
5.禁煙治療を行うアプリ「18年末の承認取得を計画」-キュア・アップ:佐竹晃太CEO-

■行政トピックス

1.偽造品流通防止のための検討会 4月21日
「構造上の穴」は現金問屋との見方も

厚労省の「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会」は4月21日の2回目の会合で、メーカーや卸などの代表者から意見聴取するとともに、同省が提示した「検討の視点(案)」を元に意見交換した。「国内医療用医薬品売上高に占める卸連加盟企業の取り扱いシェアは97%で、ハーボニー偽造品問題は残りの3%のところで起きた」との一條宏構成員(卸連薬制委員長)の指摘を受け、「構造上の穴」(伊澤知法厚労省監視指導・麻薬対策課長)ということが検討会のコンセンサスになりつつある現金問屋の問題に焦点を当てた発言が目立った。

松本欣也構成員(日薬連品質委員会委員)は、海外の偽造品防止対策を説明し、日本を除く先進国・アジア諸国のほとんどが、GDP(グッド・ディストリビューション・プラクティス、医薬品の適正流通基準)関連ガイドラインを運用しているとした。また、医薬品が患者に渡る前の各過程でデータを取り込み、患者に渡る際にデータベースでデータを確認する「シリアルナンバリング」の運用がEUでは2019年、米国では23年に開始されるとした。

一條構成員は、ハーボニー偽造品問題を受けて卸連では、自主基準であるJGSP(医薬品供給における品質管理と安全管理に関する実践規範)にGDPの要素を反映させるべく検討に入ったと説明した。

厚労省は今後の「検討の視点(案)」として、1.製造から販売に至る一貫した偽造品流通防止を進めるにあたって、講じるべき方策は何か 2.1のうち、今回の「ハーボニー配合錠」の偽造品の事案を踏まえ、直ちに対応すべき事項は何か 3.また、製造販売業者、卸売販売業者、薬局、行政などに、それぞれ求められる役割は何か-の3点を提示。

河野安昭構成員(東京都薬事監視担当課長)は、「現金問屋は不要なのではないかとの議論も出ているが、現金問屋に医薬品を売りたい人がいる以上、単に現金問屋がなくなると、取り引きが水面下に潜り、さらに品質管理が難しくなる」とし、薬局や医療機関における余剰在庫が発生しないシステムや、GDPあるいはJGSPを卸連会員以外にも適用できるよう義務付けることなどを検討していくべきと述べた。

羽鳥裕構成員(日医常任理事)は「GDPに関しては卸連がやるということではなく、厚労省がやるとか、卸連会員以外の取り引きの3%のところにきちんと対応しなければ、この問題は解決できないのでは」との認識を示した。

 

■記者会見

1.プラザキサ「中和剤で安心感が評価される」
-日本ベーリンガーインゲルハイム:青野吉晃社長-

日本ベーリンガーインゲルハイムの青野吉晃社長は4月17日、16年12月期の業績発表記者会見でミカルディスの特許切れについて「なかなか厳しい状況だ」とした上で「ポートフォリオが変わる。糖尿病領域、呼吸器領域が伸長する」と見通しを示した。経口抗凝固薬プラザキサは他社製品との競争が激しいが、16年11月にプラザキサの特異的中和剤プリズバインドを発売したことから出血リスクに対する「安心感が評価される」とし、プラザキサの売上げに対しては「一定の回復が見込める」と見通した。なお、プリズバインドは2月までに63例に使用された。症例の6割が緊急手術前または外的要因(外傷や侵襲的な手技)が示唆される出血時の中和を理由として投与された。

2016年の医療用医薬品事業の売上高は2586億円(薬価ベース、前年比1.0%増)であった。15年に上市したSGLT2阻害剤ジャディアンス、特発性肺線維症治療薬オフェブ、COPD治療薬スピオルトが伸長した。主力製品では、高血圧治療薬ミカルディスファミリー(ミカルディス、ミコンビ、ミカムロ)の売上高が1084億円(同4.0%減)。プラザキサが285億円(同8.0%減)。糖尿病領域ではDPP-4阻害薬トラゼンタが385億円(同10.4%増)、ジャディアンスが41億円(同813.0%増)であった。呼吸器領域ではスピオルトが9億円(同1419.5%増)、オフェブは90億円(同898.0%増)であった。抗がん剤領域ではEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん治療薬ジオトリフが87億円(同19.2%増)であった。

その中でジャディアンスについて青野社長は「私たちが重視しているのは、新しい患者の中でどれくらいシェアが取れるかだ」とした上でEMPA-REG OUTCOME試験の結果を背景に新患の獲得が好調に推移しているとした。同試験は心血管イベントの発症リスクが高い2型糖尿病患者を対象に標準治療にジャディアンスを上乗せした結果、プラセボ投与群と比べ、主要評価項目である複合心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)のリスクが減少したことを示した。また、ジャディアンスは慢性心不全を対象としたEMPEROR HF試験を開始し、日本でも慢性心不全の適応取得の可能性について検討中という。

スピオルトは長期処方が可能となり、16年12月にはLABA/LAMA配合剤の市場シェアで2位の29.4%を獲得。同市場はノバルティスファーマのウルティブロ、GSKのアノーロの2製品があるが、青野社長は「近い将来一番になれるものと思っている」と話した。

 

■セミナー便り

1.「遠隔転移頭頸部がんも治癒期待」
-がん研究センター東病院:田原信科長-

遠隔転移の頭頸部がんも治癒を目指せる――。国立がん研究センター東病院頭頸部内科の田原信科長は4月27日、小野薬品工業とブリストル・マイヤーズスクイブ主催のメディアセミナーで講演し、3月24日付で「再発または遠隔転移を有する頭頸部がん」の適応が追加された抗PD-1抗体オプジーボへの期待を語った。同種同効薬で頭頸部がんの長期生存例が報告されていることを引き合いに、オプジーボの適応追加で、再発・転移例においても良好なQOLを保ちつつ治癒が期待できるとした。

2012 年以降、再発・転移例の1 次治療に抗EGFR抗体セツキシマブ+化学療法(プラチナベース)が施行され、実臨床では1割程度の患者が3~4年生存できているという。一方、2次治療(またはプラチナ抵抗性)におけるドセタキセル、メトトレキサート、セツキシマブの各単剤のデータは全生存期間(OS)中央値が4~6カ月程度と「満足できるものではなかった」(田原氏)。

オプジーボは、プラチナ抵抗性の再発・転移例を対象とした国際共同第3相試験で、治験医師選択治療(前述の3剤のいずれか)群に対して主要評価項目のOSを有意に延長した。田原氏は「一度奏効あるいは病勢が安定すると、長期間持続しているのが特徴だ」と述べた。

探索的な評価で、PD-L1発現率が1%以上の群ではオプジーボが有意にOSを延長したが、1%未満(陰性)の群ではOSに差はなかった。ただし、陰性群でもオプジーボが約10%に奏効したことや、同一検体内でPD-L1発現の不均一性があることから、バイオマーカーとしては確立していないと指摘した。

今後の展開として、免疫療法と標準治療との併用が検証されていると紹介。中でも局所進行例に対する放射線療法との併用について「副作用も懸念されるが、放射線照射でがんの微小環境が変化し、より免疫に有利な方向に移行する。現在の標準治療を上回る効果を出したい」と意欲を示した。

 

■セミナー便り

2.PTCL治療で「本格的にがん領域に乗り出す」
-ムンディファーマ:木村昭介社長-

ムンディファーマの木村昭介社長は4月21日、再発または難治性の末梢性T 細胞リンパ腫(PTCL)治療薬ムンデシン(一般名フォロデシン)のメディアセミナーで「本格的にがん領域に乗り出す」と述べた。16年にスペクトラム・ファーマシューティカルズ合同会社を吸収合併し、CD20陽性の再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫の治療薬ゼヴァリンを承継して、今年3月30日にはPTCLの治療薬としては世界で初めての経口薬であるムンデシンの国内製造販売承認を取得した。ゼヴァリンもムンデシンも国内患者数が2000人以下の希少疾患を対象としている。木村社長は「希少疾患ではあるが、待たれている分野で粘り強く成功するまでやる。大きな会社では事業化が難しい、あるいはみんながあきらめているところに光を当てて、私たちが価値を提供できればと思っている」と意気込みを示した。がん領域への本格参入に備えて、国内の情報提供体制を充実させた。現在、MRは40人、メディカルアフェアーズは15人。「ムンディ的にはMRは数名から10倍になった」(木村社長)と話した。

セミナーではがん研有明病院血液腫瘍科の畠清彦部長が「末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)の治療戦略と新たな一歩」と題して講演し、「今年は単剤療法元年。単剤療法というこれまでなかった新しい治療オプションが登場した。その一歩がフォロデシンだ」と期待を述べた。

PTCLは悪性リンパ腫の1つで、臨床症状は発熱、大量の寝汗、体重減少などが現れる。好発年齢は65歳以上で高齢になるほど発症率が高くなる傾向が見られる。

一次治療としてCHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの4剤併用)が行われるが、一次治療後は標準治療が確立されていない。

ただ、国内では再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫に対して、3月にムンデシンが承認され、4月にはムンディファーマの葉酸拮抗剤ジフォルタ(一般名プララトレキサート)が承認された。セルジーンのHDAC阻害剤ロミデプシン(一般名)も国内承認申請中であり、治療選択肢は広がっている。

畠部長は「胃がんや大腸がんのように有名ながんではないので、医師や患者に想起されないことが課題」と指摘。治療選択肢が広がる中で、PTCLの疾患啓発を進めることが重要だとした。

 

■セミナー便り

3.関節リウマチ治療、患者の声活用で「治療満足度も高まる」
-オックスフォード大:テイラー教授-

オックスフォード大学ノーマンコリソン筋骨格部門のピーター・C・テイラー教授は4月17日、日本イーライリリー主催のメディアセミナーで「関節リウマチ治療における患者報告アウトカム(PRO)の意義」と題して講演を行い、「PROを導入したことで患者の治療満足度が高まった」と語った。PROとは他者の解釈を介さず、患者が直接評価する健康状態の指標のこと。倦怠感や睡眠の度合いを見るSF-36、痛みを見るVASなど様々なツールを活用して、患者自身が自分の状態を評価する。それにより「患者が自分が力を持って実際に疾患を管理することができると感じる。自分にとって重要な測定ができる。医師と共有することによって判断にかかわることができる。そういうことによって満足度も高まっていることが分かっている。それは個人のニーズに沿った目標設定ができていることも意味する」とテイラー教授は説明。続けて「患者が寛解期に入るということは求められる。それは初期の段階では可能だが、関節リウマチになってから長く経ってしまうと、寛解期に入る患者は限られてくる。5分の1以下ということになっている。そうした患者に対してもPROから現実的な目標を設定することができれば全体的にQOLを高めることができ、患者の満足度につながる」と話した。

関節リウマチは関節骨膜炎を主病態とし、全身症状では倦怠感、疲れやすさ、体重減少、食欲低下などがある。関節症状は発症初期に朝のこわばり、関節の腫れ、関節痛があり、進行期には関節の変形や関節可動域の制限などが見られる。国内の有病率は0.6%で、患者は女性が多い。治療は、治癒ではなく、見かけ上症状が消えた状態である寛解を目標として行われる。関節の腫れや痛みなどの症状をはじめ炎症がほぼ消失した臨床的寛解、関節破壊進行がX線検査上ほぼ止まった構造的寛解、身体機能の低下がない機能的寛解を目指していくことになる。その中で医師はACR反応率、DAS-28、CDAI、SDAI、構造的変化(mTSS、骨びらん、関節裂隙、狭小化)を見ていくが、それに加えて患者自身が朝のこわばり、倦怠感、痛みなどを評価するPROを得ることで「複合的な臨床指標では評価できない患者の主観を理解し、治療や疾患の影響を総合的に評価できる」とした。

テイラー教授は医学雑誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに掲載された「バリシチニブ・バーサス・プラセボ・オア・アダリムマブ・イン・リウマトイド・アースライティス」の著者の1人。この論文にある国際第3相RA-BEAM試験は、中等度から高度疾患活動性の関節リウマチ患者1307人を対象とした52週試験で、現在の標準治療であるメトトレキサート使用下のアダリムマブ(製品名ヒュミラ、40mg、週2回投与)と比較して、1日1回の経口剤バリシチニブ(一般名、4㎎)が有意に治療アウトカムを改善することが報告されている。試験では患者報告アウトカムでもアダリムマブに対し優越性を示した。バリシチニブは16年に米国、欧州、日本で関節リウマチを適応症とし製造販売承認申請を行い、欧州では17年2月に承認を取得(製品名Olumiant、17年第1四半期売上高190万ドル)。米国では4月14日にFDAがコンプリートレスポンスレターを発行し非承認となった。国内では承認申請中である。

講演後、テイラー教授は関節リウマチ治療薬バリシチニブの米国非承認について「私もプレスリリースを見た限りなので情報が限られているが、FDAが求めているのは、もっと大きなデータベースを見せてほしい。2mgと4mgの差をもう少し明らかにしてほしいということと、安全性をもう少し明らかにしてほしい、この2点に限られていることだと思う。ただ、言えることは欧州ではすでに承認されている薬だし、CHMPも承認している。そして第3相試験の結果を見ると、とても素晴らしい内容になっているということが言えるかと思う。また、長期的なアウトカムもとても良好である。ベネフィットとリスクのバランスも良好であると言えるかと思う。今後、データの量を増やしてFDAに提示することができれば、また違う方向に進むのではないかと私は感じている」とコメントした。イーライリリーとインサイト・コーポレーションはFDAの見解に同意しておらず、今後の再申請の時期はFDAとの協議に基づくという。

 

■セミナー便り

4.既存薬と異なる特性のリンゼス
-島根大内科学第二:木下芳一教授-

島根大学内科学講座第二の木下芳一教授は4月13日、アステラス製薬主催のメディアセミナーで講演し、便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)の新薬リンゼスについて「便秘とともに腸管の伸展知覚過敏を改善する点で、今までの薬剤とは異なる」と評価した。新規診断例に第1選択で用いるほか、既存薬で効果不十分な患者や、便秘は改善したが腹痛が残る患者などに用いるとの方針を示した。

IBSは機能性腸疾患で、腹痛あるいは腹部不快感とそれに関連する便通異常が慢性もしくは再発性に持続する状態(日本消化器病学会の定義)。便秘型、下痢型、混合型、分類不能型がある。国内のIBS-Cの推定有病率は成人の3~7%で、「患者は比較的高齢の女性が多い」(木下氏)。

木下氏によると、IBS-Cに用いられる薬剤は塩類下剤の酸化マグネシウムが最も多く、次いで刺激性下剤(センノシドやピコスルファートナトリウムなど)、上皮機能変容薬のルビプロストンなどがある。ただし、それぞれの課題として▽酸化マグネシウムは、特に高齢者、腎機能低下の患者で高マグネシウム血症の懸念がある▽刺激性下剤は腹痛を来しやすい▽ルビプロストンは悪心が20%程度に発現する――ことがある。

リンゼスは、腸粘膜上皮細胞に発現する「グアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体」に結合して活性化し、腸管分泌促進作用と腸管輸送能促進作用、大腸痛覚過敏の改善を示す。便秘とともに腹痛や腹部不快感を改善するのが特徴。木下氏はまた、リンゼスの作用は小腸と大腸に選択的であり、「臨床試験で悪心、嘔吐の副作用がプラセボよりも増えることはなかった」と解説した。

一方で、疾患の完治が困難なことを念頭に、「リンゼスを長期投与した後に中止しても、元の排便の状態や腹痛に戻るが、より増悪するリバウンド現象は起こらない。症状に合わせて使うタイプの薬剤だろう」との見方を示した。

 

■セミナー便り

5.禁煙治療を行うアプリ「18年末の承認取得を計画」
-キュア・アップ:佐竹晃太CEO-

医療用ソフトウェアを手掛けるベンチャー企業キュア・アップの佐竹晃太CEO(呼吸器内科医)は4月26日、禁煙治療とモバイルテクノロジーによる新しい治療法-「通院×医薬品」による治療の限界とIoT禁煙治療の台頭-と題してメディアセミナーを開催し、同社が慶応大学医学部呼吸器内科学教室と共同開発しているニコチン依存症治療用アプリについて「薬事承認を取得するための治験を今年開始し、18年末に承認を取得する計画で進めている」と話した。14年秋の薬機法で、医療単体ソフトウェアが医療機器の一部として取り扱われるようになって以降、第1号として16年1月にアルムの診断用アプリJoinが承認を取得したが、治療用のアプリはない。ニコチン依存症治療用アプリの治験は登録患者数が数百人規模で、薬物治療に対する上乗せ効果を見るという。ニコチン依存症治療用アプリは、治験とは別にすでに慶応大学病院禁煙外来で15年2月から臨床試験を行っており、この臨床試験については今年の夏に慶応の医師が学会で発表する予定だ。

講演で佐竹CEOは従来の禁煙外来の課題を指摘。「禁煙治療開始1年後の禁煙状況では、禁煙継続群は3割未満といわれている。禁煙外来で医療費がかかるが、その医療費を活用したとしても7割以上がニコチン依存症から離脱することができず、喫煙状態が続いている」。ニコチン依存症における身体的依存に関しては禁煙補助薬チャンピックスやニコレットがあるが、心理的依存に関しては「外来の禁煙指導(10~20分)では心理的依存から離脱するために必要な治療介入ができていない。通院と通院の間の在宅における期間はまったく治療がされていない」と言う。それに対してニコチン依存症治療用アプリを使用することで「院外・在宅の空白期間に対してフォローする。禁煙に対する継続意欲が湧くし、心理療法による新たな治療効果を創出する」と語った。

佐竹CEOによると治療用アプリは「基本的にはドクターと患者の間にあるクラウドシステム」で医師が患者に関する情報(病気の重症度、身長や体重といったデータ)を入力する。一方、患者は、自身のスマートフォンを通じて日々の治療経過(タバコを吸ったかどうか、どのくらい吸いたいか、薬は飲んだか、副作用は出たか、アプリに配信されるプログラムをどのくらい実行しているかなど)を記録する。こうした医師と患者から得たデータをクラウドシステムが解析処理し、「医学的なエビデンスに基づいた、患者の重症度と患者の日々の体調にカスタマイズしたガイダンスが毎日発信される。ヘルスケアのアプリケーションは多く出ているが、弊社のアプリケーションは依存症や生活習慣病に対して治療効果を発揮することにフォーカスしていることが特長。ガイダンスは、励ましやコーチングに留まるものではなく、専門家の医師が患者に行うような心理療法や服薬指導が入っている。診療行為を行うアプリケーションで薬事承認を取得する」とした。

承認されればアプリは医師が処方するという。併せてポータブル呼気CO測定器を付属し、ポータブル呼気CO測定器一体型治療アプリとして遠隔診療を行うことも可能だ。

なお、米国では治療アプリとしてWellDoc社の2型糖尿病治療を目的としたモバイルアプリ「ブルースター」がFDAから承認され上市されている。

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