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■行政トピックス
1.薬食審再生医療等製品部会 2月26日 SMAの遺伝子治療薬ゾルゲンスマの承認を了承
■記者会見
1.中間年改定の対象範囲の限定を要望 -PhRMA在日執行委員会:クリス・フウリガン委員長-
■セミナー便り
1.慢性腎臓病「若年への疾患啓発が必要」-埼玉医科大学腎臓内科:岡田浩一教授-

■行政トピックス
1.薬食審再生医療等製品部会 2月26日 SMAの遺伝子治療薬ゾルゲンスマの承認を了承
■記者会見
1.中間年改定の対象範囲の限定を要望-PhRMA在日執行委員会:クリス・フウリガン委員長-
■セミナー便り
1.慢性腎臓病「若年への疾患啓発が必要」-埼玉医科大学腎臓内科:岡田浩一教授-

 

■行政トピックス

1.薬食審再生医療等製品部会 2月26日
SMAの遺伝子治療薬ゾルゲンスマの承認を了承

薬食審再生医療等製品・生物由来技術部会は2月26日、ノバルティスファーマの脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する遺伝子治療薬ゾルゲンスマ点滴静注の承認を了承した。今後1カ月程度で正式承認され、5月の薬価収載が見込まれる。米国では卸購入価格(定価)が2億円を超えることが知られ、日本でも、キムリア(3400万円超)を上回り、過去最高額の薬剤になる可能性が高い。

SMAは、SMNタンパク質がうまく産生されないことに起因する疾患。ゾルゲンスマはSMAの原因遺伝子であるヒトSMN遺伝子を搭載した非増殖性組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)を成分とする。静脈内投与により、SMNタンパク質を発現させて、患者の生命予後を改善することが期待されている。

バイオジェンのSMAに対する核酸医薬であるスピンラザが、髄腔内に定期的に投与する必要があるのに対し、ゾルゲンスマは1回の静脈内投与で済む。ただし2歳未満の患者への使用に限定される。

スピンラザの薬価は949万3024円。乳児型SMAに対する用法・用量は「初回投与後、2週、4週および9週に投与し、以降4カ月の間隔で投与を行う」となっており、負荷投与終了後の通常投与(4カ月ごと。年3回投与)における年間の薬剤費は2847万9072円に上る。

これに対し1回の静脈内投与で済むゾルゲンスマにスピンラザの何年分の薬価が付くか、注目される。

 

■記者会見

1.中間年改定の対象範囲の限定を要望
-PhRMA在日執行委員会:クリス・フウリガン委員長-

米国研究製薬協(PhRMA)在日執行委員会のクリス・フウリガン委員長(ヤンセンファーマ社長)は2月19日の記者会見で、2020年の活動方針を発表した。薬価制度、臨床開発/薬事、費用対効果評価、予防接種制度の4点に関して、日本政府に要請していくと話した。薬価制度に関しては、今春から21年中間改定の議論が始まる中、フウリガン委員長は「2年に1回の薬価改定を維持するべきだ」とし、中間年改定の対象品目は限定するよう求め、「収載価格と市場価格の乖離が大きい場合にとどめるべきだ。例えば、後発品や長期収載品だ」と主張した。

加えて、イノベーションが薬価に反映され得る仕組みを検討することを求めた。フウリガン委員長によると、16~20年度の5年間で薬価の削減額は▲5096億円に上り、社会保障関係費全体の削減額の75%に相当する。16年度は薬価改定▲1247億円+市場拡大再算定による薬価の見直し▲200億円+年間販売額が極めて大きい品目に対する市場拡大再算定の特例の実施▲282億円等、17年度は高額医薬品(オプジーボ)の薬価引き下げ▲196億円、18年度は薬価改定▲1456億円+薬価制度の抜本改革▲310億円、19年度は消費税増税に伴う薬価改定▲290億円、20年度は薬価改定および市場拡大再算定の見直し等▲1095億円となっている。その中で、フウリガン委員長は、薬価改定に依存した社会保障費の抑制は「持続可能ではない」と強調。日本の薬価抑制策が、米国本社の投資判断に影響を与え、日本にドラッグラグが生じる可能性があると懸念を示した。

臨床開発/薬事では、治験の費用やスピードを改善させることに加え、先駆け審査指定制度や条件付き早期承認制度の指定品目や承認品目を増加させることを求めた。費用対効果評価では患者や社会の視点を取り込むことが可能な仕組みを検討することを求めた他、予防接種制度では定期接種化検討の予見性向上と迅速化の推進を求めた。

会見には患者の立場から一般社団法人CSRプロジェクトの桜井なおみ代表理事が登壇した。桜井代表理事は、国際学会などに参加する中で、国際共同治験に中国など他のアジア諸国が組み入れられる一方、日本が組み入れられていないジャパン・パッシングが見られると指摘した。特に診断薬とセットになった希少がん治療薬などゲノム医療の分野で「診断の部分をベンチャーが行っているので、日本に入ってこない。患者はその時点から国際共同治験に参加できないということが多々起きている」とした。その上で「日本の投資先としての魅力の説明が非常に難しくなってきている。結果としてジャパン・パッシングが起きて、私たち患者がその薬を使えない状況が起きてきているので、コストカットだけの議論ではなく、どういうふうに日本の医療制度と臨床試験の環境を整えていくのかという目線が必要ではないか」と語った。

 

■セミナー便り

1.慢性腎臓病「若年への疾患啓発が必要」
-埼玉医科大学腎臓内科:岡田浩一教授-

3月12日の世界腎臓病デーを前に、NPO法人日本腎臓病協会と協和キリンは2月18日、慢性腎臓病(CKD)に関するプレスセミナーを開催した。両者は19年5月に締結した腎臓病の疾患啓発活動に関する連携協定に基づき、11月に20~50代男女1727人を対象にしたインターネットによる腎臓病に関するアンケート調査を実施した。セミナーではその調査結果を埼玉医科大学腎臓内科の岡田浩一教授が発表した。

アンケート調査によると、慢性腎臓病について「症状も含めて知っている」あるいは「病名だけは知っている」と回答したのは全体の50.7%だった。20歳代と30歳代ではそれぞれ43.5%と半数以下にとどまった。また、タンパク尿や血清クレアチニン高値を放置することで起こり得るのは何かという設問に対し、人工透析による継続的な治療と回答したのは56.6%と最も多く、一方、脳梗塞の発症は13.1%、心筋梗塞の発症は16.2%だった。

岡田教授は「全体の半数程度の方にしかCKDという疾患は認知されていない。特に若い世代には十分には認知されていない。また、CKDが悪化する、検査異常を放置した後には、透析治療があるということの認知は結構あるが、心血管系合併症を含むCKDの合併症もしくは症状に対する理解は低いという結果だった」とし、「今後の方針として若年や健康意識の低い方に対して効率的な情報発信によるCKDの啓発が早期発見・早期治療に必要であることが示唆された」とまとめた。

CKDは(1)尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか(特にタンパク尿の存在が重要)(2)腎機能を示すGFR(糸球体ろ過量)<60mL/min/1.73m2-のいずれかまたは両方が3カ月以上持続することと定義されている。CKDは個々の原因疾患にこだわらない慢性腎臓病の総称で、糖尿病による糖尿病性腎臓病や高血圧による腎硬化症などを含む。CKDの推定患者数は国内で1200万人に上る。

岡田教授はCKDの早期診断のために健診の受診率を高めることが重要だとした他、糖尿病や高血圧を診ているかかりつけ医に対し「日本で糖尿病の治療を受けている患者さんのうち、検尿されている方は3人に1人しかいない。先生方にもCKDの重要性を承知いただいて、ご覧になっている患者さんの血清クレアチニンや検尿を年に1回チェックしていただくと、早い段階のCKDが見つかる可能性がかなり高まるだろう」と語った。

セミナーには日本腎臓病協会理事長で、川崎医科大学副学長の柏原直樹腎臓・高血圧内科学主任教授も登壇した。CKDは、腎不全、脳卒中、心血管疾患のリスクが高く、国民の健康を脅かしているにもかかわらず、「過小評価されている」と指摘。その上で腎臓病は「予防もできるし、重症化も抑制できる。そのことをぜひ広めたい」とした。

CKDを巡っては新薬開発も進んでおり、柏原主任教授は「3年たつと日本の腎臓病の薬物療法のシーンは相当変わっていると思う」とした。

協和キリンではNrf2活性化薬RTA402(バルドキソロンメチル)が糖尿病性腎臓病を対象とした国内第3相試験を実施中。同剤は厚労省から先駆け審査指定制度の対象品目に指定されている。

 

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