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■行政トピックス
1.中医協総会10月18日 AMR対策強化で小児加算の対象者拡大へ
■セミナー便り
1.日本展開本格化へ、肺MAC症治療薬「20年上半期に承認申請」-インスメッド:ウィル・H・ルイス会長兼CEO-
2.ゾフルーザ耐性ウイルス「継続的な研究が必要」-日本臨床内科医会インフルエンザ研究班:池松秀之リサーチディレクター-

■行政トピックス
1.中医協総会10月18日 AMR対策強化で小児加算の対象者拡大へ
■セミナー便り
1.日本展開本格化へ、肺MAC症治療薬「20年上半期に承認申請」-インスメッド:ウィル・H・ルイス会長兼CEO-
2.ゾフルーザ耐性ウイルス「継続的な研究が必要」-日本臨床内科医会インフルエンザ研究班:池松秀之リサーチディレクター-

 

■行政トピックス

1.中医協総会10月18日
AMR対策強化で小児加算の対象者拡大へ

中医協は10月18日の総会で、「外来における薬剤耐性(AMR)対策」について議論した。前回18年度改定で「小児科外来診療料」と「小児かかりつけ診療料」に「小児抗菌薬適正使用支援加算」が新設されたが、松本吉郎委員(日医常任理事)は、「抗菌薬適正使用への効果が現れている」との認識を示し、3歳未満に次いで内服抗菌薬の調剤が多い未就学児(3歳以上6歳未満)に加算の対象を拡大すべきと主張した。

AMR対策は国際社会でも大きな課題。日本においては、抗菌薬の使用量自体は多くないが、幅広い細菌に有効なものが多いセファロスポリン、キノロン、マクロライドの使用割合が極めて高い実態が指摘されている。このため、厚労省は2020年までに経口セファロスポリン、キノロン、マクロライドの使用を半減させ、抗菌薬全体の使用量を33%減とする数値目標を打ち出している。

その対策の一環として、18年度改定で新設したのが、「小児抗菌薬適正使用支援加算」であり、急性気道感染症または急性下痢症により受診した基礎疾患のない患者・家族に対し、抗菌薬を使用せず、指導・説明を行った場合に、「小児科外来診療料(3歳未満の乳幼児に限る)」あるいは「小児かかりつけ診療料(未就学児:3歳以上の患者にあっては、3歳未満から小児かかりつけ診療料を算定しているものに限る)」に80点を上乗せするもの。月に20万〜35万回算定されている。

松本委員が、同加算の3歳以上6歳未満への対象拡大を主張したのに対し、吉森俊和委員(協会けんぽ理事)は、拡大の検討に当たって、小児科外来診療料、小児かかりつけ診療料との関係性の整理が必要と指摘した。

また、吉森委員は「医療機関で抗菌薬の適正使用に関わる説明を行うことは本来的に加算の対象とすべき行為ではなく、当然行われてしかるべき行為という考え方を従来から持っており、今も変わっていない」と強調。その上で、月2回以上、加算が算定されているレセプトが約5%存在しているとの厚労省の説明に「違和感がある。加算の算定要件として、同一医療機関で、同一の患者・家族に対して説明を行った場合は、算定を月1回に限るかどうか、適正化を検討する必要がある」との考えを示した。

幸野庄司委員(健保連理事)は、「抗菌薬の適正使用に関する説明は当然のことであり、小児かかりつけ診療料の算定要件に入れてもいいくらいではないか。さらに加算でやるのは非常におかしな話である」と主張。月2回以上の算定が5%生じていることに「制限をかけていくべき」とするとともに、「加算を付けていること自体、今後見直していく必要がある」と述べた。

中村洋委員(慶大大学院教授)は、厚労省が打ち出した抗菌薬使用減の数値目標達成が厳しい状況にあることを踏まえ、「なぜ難しいのかを分析し、どういう対策を取れるか今後議論する必要がある。小児に対する加算だけでいいのかも検討が必要と思っている」と発言した。

 

■セミナー便り

1.日本展開本格化へ、肺MAC症治療薬「20年上半期に承認申請」
-インスメッド:ウィル・H・ルイス会長兼CEO-

米国インスメッド社のウィル・H・ルイス会長兼CEOは10月10日、都内で開催したメディアラウンドテーブルで、同社にとって初の製品である難治性肺MAC症治療薬ARIKAYCE(吸入用アミカシンリポソーム懸濁液)について、日本で「20年上半期に承認申請を行う」と語った。承認申請は、難治性肺MAC症患者を対象に実施した国際共同第3相CONVERT試験に基づく。日本展開が本格化する。

日本において罹患率の上昇が指摘されている非結核性抗酸菌症(NTM症)のうち、マイコバクテリウム・アビウムやマイコバクテリウム・イントラセルラーレを起因菌とする疾患がMAC症や肺MAC症と呼ばれている。症状には慢性咳嗽、呼吸困難、倦怠感、発熱、体重減少、胸痛などがある。

治療開始の標準治療は経口3剤併用療法で、効果不十分な場合の難治性肺MAC症に対する治療選択肢は限られている。インスメッドによると、難治性肺MAC症の患者数は米国1万2000人〜1万7000人、日本1万5000人〜1万8000人と推計されている。日本市場への期待は大きい。

なお、ARIKAYCEは米国で18年9月に難治性肺MAC症の限られた治療法しか受けられない、または他に代替治療法がない成人患者の抗菌薬多剤併用療法の一部として迅速承認されている。ルイス会長によると、米国での立ち上がりは好調。同会長は「日本においてもこのイノベーションの恩恵を届けたい」と語った。

 

■セミナー便り

2.ゾフルーザ耐性ウイルス「継続的な研究が必要」
-日本臨床内科医会インフルエンザ研究班:池松秀之リサーチディレクター-

日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の池松秀之リサーチディレクターは10月23日、塩野義製薬主催のメディアセミナーで、ゾフルーザ投与後のPA/I38アミノ酸変異株の出現に関して「現在どうこうという問題ではなくて、きちんとした疫学的研究を続けることが重要だ」と指摘。小児への投与に関して「乱用されたら心配だということではないかと思う。絶対に使ってはいけないと制限するレベルではないと理解している」と語った。

講演では、12歳未満の小児を対象にした国内小児試験(T0822試験)において、ゾフルーザ投与群のうち、I38変異無群(59人)の罹病期間中央値が42.8時間(95%信頼区間28.6〜61.0)、I38変異有群(17人)の罹病期間中央値が79.6時間(95%信頼区間39.8〜116.9)だったことを示し、「私たち臨床家としてはこういうところにタミフルのデータも加えて頂きたいし、小児ではもっとプラセボや他の薬剤との比較データを頂けないと、変異が出ることの臨床的な意義について検討することは難しいと感じている」と語った。

また、日本臨床内科医会インフルエンザ研究班2018-2019年シーズン成績から、ゾフルーザ投与群のウイルス残存と解熱時間を解析したデータを示し「今のところ言えることは変異が出たから非常に予後が悪くなるという証拠は得られていない。もう一つ注意すべき点は、小児ばかりがクローズアップされているが、高齢者でも変異ウイルスはある一定の頻度で出るのではないか。これが社会にどのような影響を及ぼすかはこれから十分調べる必要がある」と語った。日本臨床内科医会インフルエンザ研究班2018-2019シーズン成績では、H3N2のゾフルーザ投与群(69人、平均年齢44.4歳)において、I38変異が4人に認められた。4人の平均年齢は69.8歳だった。

なお、小児への投与を巡っては、日本小児科学会が10月21日に2019/2020シーズンのインフルエンザ治療指針を発表。使用経験の報告が少ない事や薬剤耐性ウイルスの出現が認められる事から、12歳未満の小児に対するゾフルーザの積極的な投与を推奨しないとした。一方で、現時点において同薬に対する使用制限は設けないが、使用に当たっては耐性ウイルスの出現や伝播について注意深く観察する必要があると考えるとしている。

セミナーには塩野義製薬の手代木功社長も登壇し、19/20シーズンのゾフルーザの売上目標について成人患者を中心に適正使用を推進しマーケットシェア40%を目指しているとした。

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