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■セミナー便り
1. ビッグデータ活用「患者に新しい価値がもたらされる」-製薬協:畑中好彦会長-
■記者会見
1. 20年以降に炎症、がん領域へ参入-ギリアド日本法人:ルーク・ハーマンス社長-
■セミナー便り
1. 1時間の気づかない睡眠不足が生活習慣病に関連-国立精神・神経医療研究センター:三島和夫医師-

■セミナー便り

1. ビッグデータ活用「患者に新しい価値がもたらされる」
-製薬協:畑中好彦会長-

日本製薬工業協会の畑中好彦会長(アステラス製薬社長)は3月12日、医療ビッグデータの利活用に関する製薬協政策セミナーで講演し、「産業界では幾つか実際の活用が進んでいる。信頼性の高い様々なデータが統合され、医療現場、行政、アカデミアのみならず、産業を含む様々なステークホルダーが活用することで健康や医療の質を向上し、またコストも削減するといった形で、患者や国民にとって新しい価値がもたらされるものと確信している」と述べた。講演では自社での活用例を紹介した。

それによると、アステラス製薬では2型糖尿病を対象にリアルワールドデータを活用している。具体的には保険請求データや健診データなどから「健康→未病→発症→治療→予後」の患者治療フローを作った。畑中会長は「対象となる疾患名と治療薬剤名を持つ患者データを抽出して、疾患の診断日や薬剤の処方日から発症、治療開始、治療の変更、治療の中止といったイベントをデータドリブンのアプローチで推定する。このような推定結果から健康、未病、発症、治療、予後といった患者の治療フローを作成し、疾患治療のより深い理解に活用できる可能性が示唆されている」とした。なお、この2型糖尿病患者の患者フロー分析によると、未病7800万人、有病3500万人。有病のうち診断された患者は2550万人、未診断は950万人。診断された患者のうち治療中は2090万人、未治療は460万人。治療中のうち新規患者は670万人、再治療は230万人、切替は100万人、継続は1090万人。未治療のうち治療せずは310万人、脱落は150万人。こうした患者の治療実施状況が詳細に分かる。なお初回診断時の年齢は60代半ばが最も多い。

加えて、新規患者の検査値プロファイルからその患者に適した候補薬剤を選定する事例を紹介。畑中会長は「糖尿病患者において、ある薬剤が処方された患者とされなかった患者で背景、投与前の検査値、既往歴、前治療、併用薬などの患者プロファイルがどう異なるかをデータマイニングし、そして機械学習を用いて探索的に分析し、治療患者像のプロファイリングを行った。このような内容からその患者の治療に最も適した薬剤の選択など最適な薬剤治療の検討に活用できる可能性があると考えている」とした。

製薬協が医療ビッグデータの利活用を推進している背景について畑中会長は「研究から大規模な臨床試験を行い、製品を発売した後は市販後調査を行うといったバリューチェーンについてもう少し効果的なやり方を考えないといけない。もう1つは第2相、第3相の臨床試験だけでは得られない情報が本来はより有用な情報としてあるのではないか」と語った。さらには、より初期の段階で介入することにより、症状や疾患の進行を抑えて予後を改善することを考えると「確定診断があって臨床試験を行うところから一歩踏み出す必要がある」と指摘した。

製薬協としてIT企業など異業種とコラボレーションし、個人の健康関連情報(PHR)などのデータを利活用して、健康・医療・介護に関するソリューションを提供することまで視野に入れている。

 

■記者会見

1. 20年以降に炎症、がん領域へ参入
-ギリアド日本法人:ルーク・ハーマンス社長-

2019年まではC型肝炎の基礎を固め、20年以降は炎症性疾患、がん領域にも参入する-。ギリアド・サイエンシズ日本法人が3月13日に開催したメディアラウンドテーブルで示した中期見通しだ。今年1月に社長に就任したルーク・ハーマンス氏は「今後3~5年は毎年1品目の上市を狙う」と語った。

ハーマンス社長は「肝疾患領域ではC型肝炎、B型肝炎治療薬で日本におけるリーダーとしての地位を確立してきた」と自負する。米国で16年に承認を取得したエプクルーサ(ソホスブビル/ベルパタスビル配合剤)を、DAA治療不成功のC型肝炎とC型非代償性肝硬変の適応症で18年上半期に申請予定だ。

次の治療ターゲットに据えるのがNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)である。同社が昨年発表した資料によれば、NASHは肝臓内に脂肪が沈着し(脂肪肝)、それが炎症を引き起こし、線維化の進行や肝硬変、さらには肝がんに進展する可能性のある慢性疾患であり、線維化ステージがF4(肝硬変)のNASH患者の生存期間中央値は約5年間とされる。日本における罹患者数は300万~400万人に上るという。

パイプラインには異なる作用機序を有する3つの化合物が揃う。先頭を走るのは線維化抑制を図るアポトーシス・シグナル調節キナーゼ1(ASK1)阻害剤セロンセルチブ。現在は線維化ステージがF3(高度)/F4の患者に対する日本を含むグローバル第3相試験を実施している。臨床学的エンドポイントを見る期間は5年だが、表雅之開発本部長によれば、48週における病理組織学的な線維化の改善で良いデータが得られた場合は19年下半期に申請する計画だ。

選択的非ステロイド系ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストGS-9674、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤GS-0976はともに第2相段階。第3相は単独ではなく、セロンセルチブを含めた2剤または3剤で最適な組み合わせを見つけて実施することになるという。

炎症性疾患領域で開発するのはJAK1阻害剤フィルゴチニブで、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病でグローバル第3相試験を行っている。関節リウマチでは20年、潰瘍性大腸炎とクローン病では22年の上市を見込む。

がん領域では抗MMP9抗体Andecaliximabが胃がんを対象に国内第1相試験を実施中で、上市予定は21年。グローバルでは胃がんの適応で第3相段階にある。グローバルでは急性骨髄性白血病で第2相のSyk阻害剤Entospletinibも国内第1相試験を行っている。

米本社が17年8月にカイト・ファーマを買収して手に入れたCAR-T療法は、昨年イエスカルタが米国で承認され、欧州でも今年度承認される見通しだ。一方、日本では、ギリアドの買収に先立つこと半年あまり、17年1月に第一三共がカイト社と包括提携を結び、日本におけるKTE-C19(イエスカルタ)の開発・製造・販売の独占的実施権、およびその他の開発品目等の導入オプション権を取得している。

ハーマンス社長は「はじめから参画したかった」との思いを吐露。第一三共との契約は尊重するとしながらも、他の適応症や品目で参画し、将来的に関与を深めていきたいとの意向を述べた。

さらに医薬品評価制度に質問が及ぶと、「HTAはイノベーションを支え、新たなテクノロジー自体を評価するものでなければならず、政治的要素を評価してはならない」と回答した。

 

■セミナー便り

1. 1時間の気づかない睡眠不足が生活習慣病に関連
-国立精神・神経医療研究センター:三島和夫医師-

国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所・精神生理研究部の三島和夫部長は3月16日、武田薬品主催の睡眠に関するメディアセミナーで講演し、自身が主導した20代の健康な男性を対象とした研究結果から、自覚がなくても平均1時間程度の潜在的な睡眠不足があり、「健康な生活をしている人ですら9日間充足した睡眠をとるとインスリンの分泌能が上がる。HOMA-βというインスリンを分泌する予備能も高まる。レプチンやグレリンといった食欲を調整するホルモンも食欲を抑えるほうに変動する。ストレスホルモンといわれるコルチゾールも顕著に減る」と紹介した。三島部長は「自分では気づかない1時間の睡眠不足のために自分が持っている機能を十分に発揮できないままに少しずつ抑えられて若い頃から生活を続けていくことになる。糖尿病に関して言えば、運動不足や食事のバランスといわれているが、潜在的睡眠不足もかなり大きな影響力を持っているのではないかと考えている」と語った。

三島部長が行った実験は平均年齢23.4歳の健康な男性17人を対象としたもの。自宅での睡眠時間は平均7時間20分であったが、実験室で9日間1日12時間暗室ですごさせた結果、必要睡眠時間は推定平均8時間程度であることが分かった。健康な生活を送っている男性でも1時間の寝不足がある。さらには必要睡眠時間を充足する前と充足した後ではインスリン抵抗性など各種数値が改善していることも分かった。

三島部長はこれに関連して「週末の寝だめで眠気は取れるが心身への悪影響は回復できない。だからこそ週末の寝だめとして出てくる強い睡眠負債を抱え込まないようにしてきちんと平日に睡眠を分散させて変動のないできるだけ必要睡眠時間に近い睡眠を確保する工夫をしていただきたい」とした。OECD加盟国の睡眠時間(15歳以上)を見ると、平均は8時間25分、日本人の平均睡眠時間は7時間22分となっている。三島部長は「他の先進国で確保できている1時間が日本で確保できない理由は様々で、夜型傾向が体質的に強い方は人口の3割いてどうしても寝付けない人もいる。ただ、もしいま糖尿病を含めて健康リスクを抱えている人がいるなら睡眠時間を優先的に1日の中で配分していくことも大事なのではないか」と語った。

三島部長は向精神薬の適正使用ガイドラインに関する厚生労働省科学研究班の主任研究者を務めている。セミナーでは、高齢者医薬品適正使用検討会で取り上げられたトリアゾラム(ハルシオン)など高齢者と睡眠薬についての質問に対して「ベンゾジアゼピン(BZ)系の薬剤を安易に長期に使わないほうがいいというのが色々なガイドライン(GL)でも言われている。その理由は健忘や転倒のリスクが高いこと、それからもちろん依存もそう。BZ系で特にリスクの高い高齢者にはできるだけ使わない方がいいという考え方で間違いない」と説明。

切り替えに関しては「BZ系から切り替えが、なかなか進まずに05年の段階では睡眠薬の中に占めるBZ系が約85%。だんだん減ってはいるが、いまでも約70%。欧米だと20~30%。日本のドクターはBZ系に非常になじみ深い。その理由について色々な調査を行った。大きな理由が二つあり、自分の専門外の薬剤について新しい薬にチャレンジするのが怖いというのが一つある。残念なことに睡眠薬は最近の調査でも90%以上は精神科のような専門医ではなくて、かかりつけの内科の先生や外科の先生が出している。忙しい診療の合間に使い慣れた薬から切り替えていくのはとても慎重な傾向がある。もう一つは患者が雑誌などを読んで怖くなって自分でやめて離脱症状を経験して実際に困っている。けれどもドクターにそれを言うと怒られると思い、言わない。そのため20年、30年、この薬を使っているけれど大きな問題が起こっていないといった危機感の乏しさもドクターにある。普通は安全性の高い新薬が出たらシフトしていくものだが、睡眠薬については動かない。実はそういう問題について厚労省で新しい向精神薬の適正使用ガイドラインの作成の途中だ。そういうところで啓発を続けていきたい」と述べた。

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