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■記者会見
1.19年は8%増収を達成、キイトルーダが牽引-MSD:ヤニー・ウェストハイゼン社長-
■新薬収載 4月22日
1.デエビゴ、リンヴォック、ニュベクオが薬価収載―ノクサフィルは費用対効果評価に該当―

■記者会見
1.19年は8%増収を達成、キイトルーダが牽引-MSD:ヤニー・ウェストハイゼン社長-
■新薬収載 4月22日
1.デエビゴ、リンヴォック、ニュベクオが薬価収載―ノクサフィルは費用対効果評価に該当―

 

■記者会見

1.19年は8%増収を達成、キイトルーダが牽引
-MSD:ヤニー・ウェストハイゼン社長-

MSDのヤニー・ウェストハイゼン社長は4月6日の19年業績/20年事業戦略に関する年次定例記者会見で、「日本も非常に素晴らしい1年だった。8%成長を達成できたのは非常に良い数字だ」と振り返った上で、引き続きオンコロジー、ワクチン、急性期・病院、プライマリーケアを優先領域に位置付け、「ポートフォリオもコマーシャル・アクティビティもこの4領域に集中させていく」との方針を示した。

19年の売上げ面では、抗PD-1抗体キイトルーダが大幅に伸長した他、新製品の抗サイトメガロウイルス化学療法剤プレバイミス、高脂血症治療剤のアトーゼットおよびロスーゼットが寄与した。20年の事業戦略についてウェストハイゼン社長は、「オンコロジー領域は、キイトルーダを基盤として頭頸部がん、腎細胞がんをはじめ、より多くの患者に治療選択肢を届ける」とした。また、アストラゼネカとのPARP阻害剤リムパーザのコ・プロモーション、エーザイとのマルチキナーゼ阻害剤レンビマの戦略的アライアンスを推進する。

プライマリーケアでは、19年7月にノボ ノルディスクファーマが2型糖尿病治療薬として国内承認申請を行ったGLP-1アナログ製剤の経口セマグルチドについて、日本国内における販売提携契約を締結しており、年内の発売を見込む。また、オレキシン受容体拮抗薬ベルソムラにより不眠症患者の治療向上に寄与するとした。

急性期・病院では2月に抗HIV薬ピフェルトロを発売。ワクチンでは20年10月にロタウイルスワクチンの定期接種が開始されることに期待を示した。HPVワクチン「ガーダシル」に関して、厚労省の積極的勧奨の再開を待っているとした。

顧客ニーズに最適な手法で応えるためにデジタルやデータ活用の最大化を目指す「デジタル・データイネイブラートライブ」という部門横断型のチームを創設し、デジタル変革を進めていることを明らかにした。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンや治療薬の開発に関しては、白沢博満グローバル研究開発本部長が「現在、優先順位を上げて進めている」と語った。

なお、IQVIAが公表している「トップライン市場データ」によると、MSDの19年1~12月の売上高(薬価ベース)は、販促会社レベルで前年比7.9%増の3746億1400万円、販売会社レベルで6.3%増の3718億9200万円となっている。また、キイトルーダの売上げは、64.3%増の1284億400万円と国内第1位だった。

4 月6 日の官報掲載の決算公告によると、MSDの19年1~12月の売上高は8.1%増の3474億8700万円、営業利益は6.6%増の281億8600万円、経常利益は6.2%増の279億9500万円、当期純利益は6.9%増の190億8100万円と増収増益となっている。

費用面では、売上原価が13.0%増の2406億8800万円となったが、販管費が4.3%減の786億1200万円となった。

オルガノン、10月に企業内起業で立ち上げ

日本において3月31日にオルガノン株式会社の会社設立登記を行った。10月に企業内起業という形で会社を立ち上げる。分社化は21年上半期中に完了する見込みだとした。

オルガノンは女性の健康(マーベロン、ガニレスト)、循環器(ゼチーア、アトーゼット、ロスーゼット、プレミネント、ニューロタン)、呼吸器・皮膚(シングレア、ナゾネックス、デザレックス、プロペシア)、中枢神経系(レメロン)、筋骨格系(フォサマック)に注力する。

オルガノンについてウェストハイゼン社長は、「規模感など体制をデザインしているところであり、具体的な体制はまだ明確になっていない。安全性情報の収集などきちんとした活動ができるような体制にしていく。MR数は検討中だ」と説明した。

 

■新薬収載 4月22日

1.デエビゴ、リンヴォック、ニュベクオが薬価収載
―ノクサフィルは費用対効果評価に該当―

厚労省は4月8日の中医協に、22日薬価収載予定の新薬9品目の薬価案を提示し了承された。ピーク時予想販売額が100億円以上の品目や、有用性加算が付いた品目の薬価算定を見ていくことにする。

エーザイの不眠症治療薬デエビゴ錠(5mgを1日1回投与)の薬価は、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定。ベルソムラ錠(16年12月販売開始、15mg1錠90.80円/20mgを1日1回投与、高齢者は15mgを1日1回投与)と1日薬価を合わせ、5mg1錠90.80円。補正加算は付かなかった。ピーク時販売金額予想は178億円(2029年度/90万人が使用)。

アッヴィのJAKファミリーのうちJAK1を選択的に阻害する関節リウマチ治療薬リンヴォック錠(15mgを1日1回投与)の薬価は、新規性に乏しい新薬を対象とする類似薬効比較方式(Ⅱ)で算定。過去10年間に薬価収載された薬理作用類似薬の平均1日薬価とし、15mg1錠4972.80円。

先行するJAK阻害剤には、JAKファミリーを阻害するスマイラフ錠(19年7月販売開始、50mg1錠1725.70円、100mg1錠3361.20円/150mgを1日1回投与)やゼルヤンツ錠(13年7月販売開始、5mg1錠2659.90円/5mgを1日2回投与)、JAK1およびJAK2を選択的に阻害するオルミエント錠(17年9月販売開始、4mg1錠5274.90円/4mgを1日1回投与)がある。リンヴォック錠のピーク時販売金額予想は283億円(2029年度/2万3000人が使用)。

バイエル薬品の遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん治療薬ニュベクオ錠(1回600mgを1日2回投与)の薬価は、類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定。アーリーダ錠(19年5月販売開始、60mg1錠2311.00円/1日1回240mgを投与)と1日薬価を合わせ、300mg1錠2311.00円。補正加算は付かなかった。ピーク時販売金額予想は182億円(2029年度/5400人が使用)。

MSDのアゾール系抗真菌薬ノクサフィル錠(初日は1回300mgを1日2回、2日目以降は300mgを1日1回投与)は、原価計算方式で算定。「本剤の主たる効能と類似の効能・効果を持ち、本剤と同様の薬理作用を有するフルコナゾールおよびボリコナゾールは、薬価収載から10年以上を経過していること等から、新薬算定類似薬はないと判断した」としている。補正加算は付かず、100mg1錠3109.10円の薬価が付いた。

ピーク時販売金額予想は112億円(2029年度/1万3000人が使用)。(1)原価計算方式の品目のうち、開示度50%未満の医薬品(2)ピーク時市場規模予測が100億円以上の品目(H1区分)―の要件に該当したため、費用対効果評価が課された。

あすか製薬の粘液水腫性昏睡、甲状腺機能低下症治療薬チラーヂンS静注液の薬価は、原価計算方式で算定。(1)これまで国内に粘液水腫性昏睡を効能・効果に有する薬剤は存在せず、レボチロキシンナトリウムの内用薬を経鼻胃管で投与する等の対応をとっている状況である(2)海外のガイドライン等では本剤の静脈内投与が標準的治療法として記載されており、国内においても同様に粘液水腫性昏睡の標準的治療になると考えられる―こと等から、有用性加算(Ⅱ)(A=5%)が付いた。

18年度施行の薬価制度抜本改革によって、イノベーション評価の観点から、原価計算方式において加算を適用する場合、従来の営業利益部分から価格全体に加算を行う形に改められた。ただし、薬価算定の透明性向上の観点から、原価計算方式において、製品総原価のうち、薬価算定組織での開示が可能な部分の割合に応じて、加算率に差が設けられており、チラーヂンS静注液については、開示度50%以上80%未満の場合の加算係数0.6が適用され、実際の加算率は3%(5×0.6)に抑えられた。当初算定薬価200μg1mL1管1万9622円→2万211円となった。ピーク時販売金額予想は1億8000万円(2029年度/636人が使用)。

 

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