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■行政トピックス
1.中医協薬価専門部会 7月24日 製薬業界、新創加算の品目要件拡充・企業指標撤廃を要望
■セミナー便り
1.日本におけるgBRCA遺伝子検査のハードルは高い-新潟大学医学部:吉原弘祐助教-
2.COPD患者の掘り起こし「開業医に伝えることが有用」-東北大学呼吸器内科:一ノ瀬正和教授-
3.バイオシミラー「普及啓発を地道に進めていきたい」-厚労省医政局経済課ベンチャー等支援戦略室:田中大平室長-

■行政トピックス
1.中医協薬価専門部会 7月24日 製薬業界、新創加算の品目要件拡充・企業指標撤廃を要望
■セミナー便り
1.日本におけるgBRCA遺伝子検査のハードルは高い-新潟大学医学部:吉原弘祐助教-
2.COPD患者の掘り起こし「開業医に伝えることが有用」-東北大学呼吸器内科:一ノ瀬正和教授-
3.バイオシミラー「普及啓発を地道に進めていきたい」-厚労省医政局経済課ベンチャー等支援戦略室:田中大平室長-

 

■行政トピックス

1.中医協薬価専門部会 7月24日
製薬業界、新創加算の品目要件拡充・企業指標撤廃を要望

中医協薬価専門部会は7月24日、20年度薬価制度改革に向けて、製薬企業など関係業界からヒアリングを行った。製薬業界の代表は、18年度薬価制度抜本改革で、新薬創出等加算の対象品目が限定されたことを踏まえ、品目要件の拡充や、企業によって加算率が変わる企業指標の撤廃を要望したが、企業指標について中医協の診療・支払い両側委員ともに「撤廃すべきでない」と反論。業界側に代替案の提示を求めた。

日薬連の多田正世会長代理(大日本住友製薬会長)は、18年度に実施された薬価制度抜本改革について「イノベーションの推進については重視されておらず、結果として薬価を引き下げる方向に偏ったものと言わざるを得ない」と総括。その上で、「次期薬価制度改革によって、イノベーションが推進され、医療の質向上に資する制度へと改善されるよう求める」と語った。

詳細については製薬協の中山讓治会長(第一三共会長)が説明。18年度抜本改革では、新薬創出等加算について、それまでの乖離率が平均以下という品目要件が撤廃され、希少疾病用医薬品▼開発公募品▼加算適用品▼新規作用機序医薬品(革新性・有用性に係る基準に該当するもの)▼新規作用機序医薬品(加算適用品または革新性・有用性に係る基準に該当するもの)の収載から3年かつ3番手以内に収載された薬理作用類似薬-に限定された。

中山会長は品目要件を拡充し、承認審査において優先的に審査される品目(先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度、小児用法・用量やAMR対策の用法変更といった薬機法改正案における特定用途医薬品等)を対象とすべきとした。

また、当初の効能のみならず、追加効能について「革新性・有用性に係る基準」を満たす場合は対象とすべきとするとともに、現行ルールでは、1番手が「革新性・有用性に係る基準」を満たしていない場合には、2番手以降の品目について当該基準への該当性の判断自体がなされないことになるため、2番手以降の品目であっても同一の薬理作用を有する医薬品の中で当該基準を初めて満たす場合には対象とすべきとした。

一方、抜本改革では、新薬創出等加算の企業指標について、革新的新薬の開発やドラッグラグ解消の実績や取り組みについてポイントを設定し、ポイントが高い上位25%程度までに加算係数Ⅰの1.0を適用。残りの75%の企業には加算係数Ⅱの0.9(Ⅰ、Ⅲ以外)または加算係数Ⅲの0.8(最低点数)が適用されている。

中山会長は、企業規模等の影響を受けるため公平性に欠け、また各区分が相対評価で決まるため予見性に乏しいと指摘。撤廃した上で、日本国内で新薬創出に取り組んでいる企業の品目の薬価が維持され得る仕組みに見直すべきと訴えた。

診療側の松本吉郎委員(日医常任理事)は「もし不公平とするのであれば、詳細な理由を挙げると共に廃止ではなく、具体的にどのように要件設定すれば公平性が担保されるか説明してほしい」、支払側の吉森俊和委員(協会けんぽ理事)は「相対評価は企業規模の観点で公平性に欠けるとの主張は理解できないものではない。要件を撤廃するのではなく、指標の在り方としてどのような内容であれば良いか案を提示してほしい」と求めた。

 

■セミナー便り

1.日本におけるgBRCA遺伝子検査のハードルは高い
-新潟大学医学部:吉原弘祐助教-

アストラゼネカは8月1日、日本初の卵巣がんにおけるBRCA遺伝子変異保有率に関する大規模調査JAPAN CHARLOTTE STUDYについて、調査報告メディアセミナーを開催した。同調査の共同研究者である新潟大学医学部産科婦人科学教室の吉原弘祐助教が調査の概要と結果を解説し、卵巣がんにおけるgBRCA1/2遺伝子変異の保有率は、今後の診療を行う上で非常に重要な情報になるだろうと同調査の意義を語った。

JAPAN CHARLOTTE STUDYは国内63の医療施設で上皮性卵巣がん、原発性腹膜がん、卵管がんの新規診断を受けた日本人女性634症例を対象に、主要評価項目であるgBRCA1/2遺伝子変異陽性率および副次評価項目であるサブグループ別のgBRCA1/2遺伝子変異陽性率、gBRCA1/2検査前の遺伝子カウンセリングに対する患者満足度が評価された。

調査の結果、卵巣がん全症例に対するgBRCA2/1遺伝子変異陽性率は14.7%で、欧米人を対象とした過去の調査と同程度であった。内訳として、gBRCA1変異陽性率9.9%、gBRCA2変異陽性率4.7%であり、両変異を持つ症例はなかった。年齢別に見たgBRCA1/2変異陽性率は、40歳未満の患者で0.5%、50歳未満でもわずか4.3%で、若年発症の傾向は認められなかった。gBRCA変異率を進行度別に見ると、Ⅰ/Ⅱ期の早期ステージでは4.9%だったのに対し、ステージⅢ/Ⅳの進行期では24.1%と高くなっていた。

2017年にJAMAに掲載された大規模調査によれば、BRCA1およびBRCA2変異保因者の卵巣がん発症率は、それぞれ40歳以降、50歳以降から上昇し、80歳時点での累積卵巣がんリスクは44%、17%であったと報告されている。

こうした調査結果などを受けて、NCCNの卵巣がんガイドラインはBRCA2/1遺伝子検査を推奨し、発症前のBRCA変異保因者に対して、リスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)を推奨している。RRSOは、卵巣がんの発生率を約80%低下させるというデータのある予防法であり、吉原氏は「間違いなく有効な方法である」と述べた。

一方日本では、そもそも今回の調査結果が出るまでgBRCA2/1遺伝子変異頻度に関するデータは少なかった。遺伝性乳がん卵巣がん症候群診療の手引き(2017年版)は「卵巣がん発症リスクの低減を目的とした卵管摘出術は、現時点では推奨されない」としている一方、卵巣がん治療ガイドライン(2015年版)はgBRCA1/2遺伝子変異保有女性に対するRRSOをグレードBで推奨している。ただし同手術に保険適用はなく、全額自己負担になる。

gBRCA1/2遺伝子検査が保険適用されたのも19年6月とごく最近で、目的はリムパーザ(一般名オラパリブ)の「BRCA遺伝子変異陽性の卵巣がんにおける初回化学療法後の維持療法」の適応判定を補助するコンパニオン診断としての検査に限られている。

親のどちらかがgBRCA1/2遺伝子に病的変異を持つ場合、子どもは性別に関わりなく50%の確率でその変異を受け継ぐにもかかわらず、「日本におけるgBRCA1/2遺伝子検査のハードルは高い」というのが吉原氏の認識だ。

ただし「gBRCA1/2遺伝子の変異が分かることで(RRSOなどの)対策を取ることができるようになってきた。その意味で、CHARLOTTEスタディが生きてくる可能性がある」とも述べた。

 

■セミナー便り

2.COPD患者の掘り起こし「開業医に伝えることが有用」
-東北大学呼吸器内科:一ノ瀬正和教授-

東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器内科学分野の一ノ瀬正和教授は7月18日、アストラゼネカ主催の慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関するメディアセミナーで講演し、COPDの潜在患者を掘り起こす取り組みについて「開業医の先生方にこの病気の重要性を伝えることが有用だ」と語った。

一ノ瀬教授らの調査によると、日本におけるCOPDの有病率は8.5%で、530~700万人の患者がいると推計されている。一方、厚労省の患者調査(2014年)によると、総患者数は26万1000人となっている。その差は大きく、一ノ瀬教授は喘息は発作に対する恐怖心があるので病院に来るが、COPDは未診断、未治療が続いているとした。

COPDは喫煙者に多い肺疾患。タバコの煙など有害物質に長期間曝露されることによって生じ、進行性の気道閉塞(気道や気管支が狭くなり、息を吐き出しにくくなる状態)を呈する。主な症状として階段の上り下りなど体を動かすことで息切れを感じたり、風邪でもないのに咳や痰が続いたりすることが挙げられる。

こうした中で、一ノ瀬教授は、COPDは中高年に多く、患者の平均年齢は70歳を超えていることから、高血圧や糖尿病など他の慢性疾患で開業医に通っている可能性があると指摘。「開業医の先生に呼吸機能検査をルーチンで行ってもらうのが一番いいが、それはなかなか難しい。年齢、喫煙歴、咳や痰について患者に簡単な質問表を書いてもらうのが地味ではあるが有効性が高い」とした。アストラゼネカは3成分配合のCOPD治療薬ビレーズトリ発売後にこうした質問表を資材として配布する予定で現在準備中。

アストラゼネカでは6月にビレーズトリの承認を取得。GSKの3成分配合のCOPD治療薬テリルジーが5月に発売されているので、国内2剤目にあたる。一ノ瀬教授は両剤の使い分けについて、ともにICS(吸入ステロイド)+LAMA(長時間作用性吸入抗コリン薬)+LABA(長時間作用性吸入β2作動薬)であることから「あまり差はないかと思う」とした上で、用法・用量やデバイスの違いに言及し「患者の好みに合わせて選ぶ」とした。

なお、ビレーズトリは1回2吸入を1日2回吸入投与する加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)で、テリルジーは1回1吸入を1日1回吸入投与するドライパウダー吸入器になっている。

一ノ瀬教授はデバイスについて「どちらが優れているということではないが、人によってどちらが使いやすく、どちらが使いにくいというのがあるので、使いやすいほうを選ぶ」とした。

用法・用量についてはビレーズトリは「1日2回使うので、夕方とか、入浴とか、そういうところでさらに症状が強い人にやはり有効だろう」と期待を語った。

 

■セミナー便り

3.バイオシミラー「普及啓発を地道に進めていきたい」
-厚労省医政局経済課ベンチャー等支援戦略室:田中大平室長-

厚労省医政局経済課ベンチャー等支援戦略室の田中大平室長は7月18日、バイオシミラー協議会主催のバイオシミラーフォーラムで「診療報酬の議論に及ぶ前に、現状、バイオシミラーって何というところからまだまだ浸透していないのが正直なところかなと思う」とした上で「そうした素地や環境が整った後で、将来的に診療報酬上どのような手当てが必要ならやるのか。まずは普及啓発を国として地道に進めていきたい」と述べた。

19年7月1日時点で薬価収載されているバイオ後続品の品目数は50(9成分)。

バイオシミラーフォーラムではバイオシミラー普及に向けた課題が話し合われ、亀田総合病院の舟越亮寛薬剤部長は、エタネルセプトBSは現場で期待されていたものの、安定供給の問題により切り替えにブレーキがかかったと指摘。

加えて、トラスツズマブBSに乳がんに対するB法(3週間間隔投与)がないというように適応の違いによりバイオシミラーへの切り替えが進まない現状を指摘した。

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