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■記者会見
1.最重要課題は新薬創出等加算の再見直し-製薬協:中山譲治会長-
■セミナー便り
1.抗体で第Ⅷ因子の機能「夢の薬」-奈良医大小児科・嶋緑倫教授-
2.Ⅲ期の非小細胞肺がんの治療の進歩に期待-和歌山県立医科大学:山本信之教授-
3.ファセンラは喘息の病態解明に寄与-近畿大学医学部附属病院:東田有智病院長-

■記者会見

1.最重要課題は新薬創出等加算の再見直し
-製薬協:中山譲治会長-

製薬協の新会長に就任した中山譲治氏(第一三共会長兼CEO)は5月31日の定例記者会見で、直面する課題として(1)薬価制度 (2)19年度研究開発税制改正-の2項目を挙げ、「最も重要なのは縮小された新薬創出等加算の品目要件の見直しと企業要件の撤廃であり、イノベーション推進の観点からあるべき制度を提案していく」と強調した。

18年度薬価制度抜本改革では、新薬創出等加算について、「乖離率が平均以下」という品目要件が撤廃され、「真に革新性・有用性のある医薬品(希少疾病用医薬品、開発公募品、加算適用品、新規作用機序医薬品)」に限定。併せて企業要件が設定され、指標の達成度・充足度に応じて加算にメリハリ(加算係数1.0、0.9、0.8)が付けられた。

中山会長は「加算品目の要件が非常に狭くなり、加えて企業要件まで付いてきたということで、研究開発への投資意欲が大きく削がれる制度となったというのが正直な感想」と語った。

「骨太方針2015」に基づき、16~18年度にかけて社会保障関係費の伸びは1.5兆円(毎年5000億円程度)を目安に抑制されてきたが、製薬協によると、18年度は、目安達成必要抑制額1300億円に対して、薬価制度改革を含めた薬剤費の削減額は1766億円と、それを上回るなど、財源の大半が薬価から捻出。中山会長は「著しくバランスを欠いた予算だった」と指摘した。

また、新薬創出等加算を含む薬価制度抜本改革全体について「イノベーションの創出には安定的な制度、市場の予見性が必要になってくるが、抜本改革の結果、大幅な薬価引き下げの仕組みが入り、業界にはその影響の対策を検討する十分な時間が与えられなかった。開発品については当初の予想から全く異なった形での薬価制度の下で上市する状況になった。経過措置も一切無しということで遺憾に感じている」と述べた。

その上で、「生命関連産業としての社会的意義や貢献について今まで以上に幅広いステークホルダーの理解向上を図ることは極めて重要になってきた」として、医薬産業政策研究所において「医薬品の価値」について包括的・多角的研究を進め、アピールしていく考えを示した。

薬価制度と共に直面する課題として挙げた、研究開発税制については「減税幅が縮小しており、最も重要な研究開発について税制面からも逆風が吹いている」と指摘。(1)時限措置の延長、制度化 (2)オープンイノベーション型を含む研究開発税制の拡充-を求めていくとした。

このほか19年10月に予定されている消費税増税への薬価対応について「増税時に実施されるべき」と主張、費用対効果評価については「イノベーションの阻害、患者アクセス制限、ドラッグ・ラグの助長につながらないことが大前提」と訴えた。

 

■セミナー便り

1.抗体で第Ⅷ因子の機能「夢の薬」
-奈良医大小児科・嶋緑倫教授-

Y字型の抗体の片腕が活性型第Ⅸ因子に、もう片方が第Ⅹ因子に結合して、血友病Aで欠乏している第Ⅷ因子の機能を代替する。アンメットニーズを一挙に解決できる、夢のような薬だ――。奈良県立医科大学小児科学教室の嶋緑倫教授は6月1日、中外製薬の血友病A治療薬「ヘムライブラ」(エミシズマブ)説明会で講演し、「治療を劇的に改善する製剤」と評価した。同剤は、第Ⅷ因子に対するインヒビターを保有する血友病Aを適応に5月に発売された。インヒビターを保有しない血友病Aへの適応拡大も承認申請済み。

血友病Aの第Ⅷ因子補充療法により、インヒビターが発生することがある。10%未満の患者はインヒビターを常時保有しているという。インヒビター保有例の出血抑制には免疫寛容導入療法(後に第Ⅷ因子補充を再開)やバイパス止血製剤の定期投与が行われるが、前者は対象が限られ、治療に長期間要する。後者は第Ⅷ因子の補充よりも効果が劣り、しかも頻回な静脈内注射を要する。

ヘムライブラは週1回の定期的な皮下注射で出血を抑制する。第Ⅷ因子のトラフレベルも軽症血友病のレベルを維持できるので、従来よりも活発な暮らしができるとした。臨床試験で抗エミシズマブ抗体の発現は2.8%に認められたが、嶋教授によると、第Ⅷ因子に対するインヒビターの発生はないという。一方、同剤投与中の患者が緊急治療を要する出血を生じた場合、一部のバイパス止血製剤を使用すると血栓塞栓症などのリスクがあるため、ヘムライブラ投与例であることがわかるような対策が課題だとした。

同剤のシェアについて聞かれると、「インヒビター保有例は多くがヘムライブラを使用する」と明言。インヒビターを保有しない患者については「国内では5年後に4割くらい」と答えつつも、「1年間の実臨床の経験が蓄積すれば、(注射の頻度や活動性向上に関する)情報が患者の間でも伝わり、6割になるかもしれない」と含みを持たせた。

 

■セミナー便り

2.Ⅲ期の非小細胞肺がんの治療の進歩に期待
-和歌山県立医科大学:山本信之教授-

和歌山県立医科大学呼吸器内科・腫瘍内科の山本信之教授は5月24日のアストラゼネカ主催のメディアセミナーでステージⅢの非小細胞肺がんにおける化学放射線療法について解説し「免疫チェックポイント阻害剤が出たことで、もしかすると20年ぶりに新しい治療が届けられるかもしれない」と期待を示した。

非小細胞肺がんは最も早期のⅠ期から一番進行しているⅣ期まである。山本教授によると、Ⅰ期は肺がんのみ(リンパ節転移なし)、Ⅱ期は肺がん近くのリンパ節(肺門リンパ節)が腫れている状態、Ⅲ期はより遠くのリンパ節転移。Ⅳ期はリンパ節の転移だけにとどまらず、他の部位に転移している状態をいう。それぞれの治療目標は「Ⅳ期は薬物療法が進歩しているといってもなかなか治癒することは難しいので、患者の目標はQOLを保ちながら長生きすることになる。Ⅲ期だと手術と同じように根治が治療目標になる」(山本教授)。

Ⅲ期の現在の治療法は、手術による切除ができない場合、化学療法と根治的胸部放射線療法の同時併用を行い根治を目指す。日本肺がん学会の肺がん診療ガイドライン2017年度は (1)切除不能局所進行非小細胞肺がん、全身状態良好の患者に対して化学放射線療法を行うよう推奨する (2)切除不能局所進行非小細胞肺がん、全身状態が良好な患者の化学療法と放射線療法の併用時期は同時併用を行うことを推奨する (3)化学放射線療法においてプラチナ製剤と第3世代以降の細胞傷害性抗がん剤併用を行うよう推奨する-としている。

放射線療法と併用する化学療法は、80年代の第2世代レジメンと呼ばれるシスプラチン+エトポシド(国内未承認)、マイトマイシン+ビンデシン+シスプラチン、90年代以降の第3世代レジメンと呼ばれるカルボプラチン+パクリタキセル、シスプラチン+ドセタキセル、シスプラチン+ビノレルビンかS-1かペメトレキセドがある。山本教授によるとこれら治療法の生存期間を比較するとすべて同じであり「この20年間、治療成績はまったく進歩していない」。

Ⅳ期の非小細胞肺がんで分子標的薬が良い治療成績を出しているので、分子標的薬と放射線療法との併用の可能性も考えられるが、「分子標的薬はある一定の頻度で薬剤性の肺障害が起こる。肺に対して悪影響を与える可能性が否定できない。胸部放射線は肺にダメージを与える。もしかしたら良い結果があるかもしれないが、ダメージを与える同士の治療法は怖くて一般臨床ではできない。現在、我々はこの併用療法の試験を行っているが、まだ結果は出ていない」と言う。

一方、免疫チェックポイント阻害剤に関しては (1)進行期非小細胞肺がんに対し効果が確認されている (2)放射線治療が免疫療法の効果を高める可能性がある (3)Ⅳ期よりも腫瘍量の少ないⅢ期は免疫療法の効果がより期待できる-という。

アストラゼネカのイミフィンジ(デュルバルマブ)は、国内で4月25日に切除不能な局所進行の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法で第2部会を通過し、6月にも正式承認される見通しだ。Ⅲ期の非小細胞肺がん患者に対して、化学放射線療法の後に、維持療法として使用することで、再発までの期間や生存期間を延長することが期待されている。

 

■セミナー便り

3.ファセンラは喘息の病態解明に寄与
-近畿大学医学部附属病院:東田有智病院長-

アストラゼネカは5月28日、重症喘息治療薬ファセンラ(ベンラリズマブ)に関する、発売後2回目となるプレスセミナーを開催した。

ファセンラは白血球の一種である好酸球を直接的に除去する生物学的製剤。18年1月に承認を取得し、4月に発売となるまでの間、治験実施74施設で100例超の患者に倫理的無償提供が行われた。今回の講演では、藤田保健衛生大学医学部の堀口高彦教授が、無償提供でベンラリズマブを投与した8例の重症喘息患者の投与4週後の変化を紹介。血中好酸球数は8例すべてが4週後に0まで減少した(p=0.0007)。FEV1(1秒量。最初の1秒間で吐き出せる息の量)は1.91(±0.55)から2.30(±0.54)まで増加し、呼吸機能の改善を示した(p=0.0209)。IgEに有意差はなかった。8例ほぼすべての症例で喘息症状が改善したことから、「コストは高いが、好酸球の多い重症喘息患者に治療したいと思う薬剤だ」と述べた。

近畿大学医学部附属病院の東田有智病院長は喘息について、好酸球性のものが支配的だが100%病態解明できているわけではないと説明した。

ファセンラの投与で完全に好酸球を消した場合に、コントロールできたかを丁寧に検証することで、「喘息の病態そのものまで解明できるのではないか」と期待する。

症状が改善した場合にファセンラの使用を中止できるかについては、堀口氏は今後のデータ蓄積が必要との前提で、「かなり症状が改善すれば、中止して従来の高用量吸入ステロイドを中心とした治療に進むと考えている」と回答した。一方東田氏は、従来治療を行っても症状を抑えられなかった患者に使用することから、検証試験データの無い現状では「この薬剤を切るのは今のところ難しい」と述べるにとどめた。

6月に改訂版が公表される喘息予防・管理ガイドラインでは、ファセンラは治療ステップ4に入る。基本となる高用量の吸入ステロイド薬に併用させる薬剤群の1つに入る予定だ。日本アレルギー学会の理事長も務める東田氏は、ファセンラが入ることで「確実に副作用が出る経口ステロイド薬の位置付けが変わる」と説明した。

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