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■行政トピックス
1.医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議 3月27日 キードラッグの薬価を手厚くとの声も
■記者会見
1.新型コロナ治療薬・ワクチン「積極的に対応」-製薬協:中山讓治会長-
2.世界同時開発進め、22年以降の「飛躍」へ-アムジェン:スティーブ・スギノ社長-
■R&D説明会
1.ポスト・ドルテグラビルへ、オンコロジー領域の抗体薬などを紹介-塩野義製薬:手代木功社長-
■決算説明会
1.SB623、承認申請遅れの理由を説明-サンバイオ:森敬太社長-
■セミナー便り
1.オプジーボは有効症例の奏効期間延長が特長-慶應義塾大学医学部腫瘍センター:浜本康夫副センター長-

■行政トピックス
1.医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議 3月27日 キードラッグの薬価を手厚くとの声も
■記者会見
1.新型コロナ治療薬・ワクチン「積極的に対応」-製薬協:中山讓治会長-
2.世界同時開発進め、22年以降の「飛躍」へ-アムジェン:スティーブ・スギノ社長-
■R&D説明会
1.ポスト・ドルテグラビルへ、オンコロジー領域の抗体薬などを紹介-塩野義製薬:手代木功社長-
■決算説明会
1.SB623、承認申請遅れの理由を説明-サンバイオ:森敬太社長-
■セミナー便り
1.オプジーボは有効症例の奏効期間延長が特長-慶應義塾大学医学部腫瘍センター:浜本康夫副センター長-

 

■行政トピックス

1.医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議 3月27日
キードラッグの薬価を手厚くとの声も

厚労省医政局は「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」(座長=清田浩・日本化学療法学会理事長、東京慈恵会医科大学葛飾医療センター泌尿器科教授・診療部長)を設置、3月27日に初会合を開いた。昨年、抗菌薬セファゾリンの安定供給が滞り、医療現場に深刻な影響が出た事態を受けたもので、供給不安の予防、早期対応につなげる取り組み、実際に供給不安に陥った際の対応などについて議論し、8月をめどに取りまとめを行う。

初会合で厚労省は、この問題の背景として、抗菌薬等の比較的安価な医療用医薬品について(1)採算性等の関係で、世界的に見て、中国等の数社に医薬品原料物質や原薬の製造が集中(2)複数の国にサプライチェーンがまたがっていることが多い(3)現地の環境規制対策等により生産コストが上昇している一方で、数次の市場実勢価格に基づく薬価改定により採算性が悪化―といった安定供給上の構造的なリスクが存在していることを指摘。

実際、セファゾリン供給不安事案では、環境規制対応のため、中国の製造所からの原薬原材料の出荷が滞ったり、イタリアの製造所から入荷した原薬に異物が検出されたりしたことが発端となったことを説明した。

また、厚労省からは、安定確保に特に配慮を要するキードラッグの具体的な選定作業を各学会に要請する考えも示された。

フリーディスカッションでは、医療提供サイドからの「キードラッグに関しては国内生産が理想的だが、どのような状況、条件になればできるのか」(長島公之・日本医師会常任理事)との問い掛けに対し、メーカーサイドから「基本的には価格だと思う。少なくとも赤字にならないレベルの薬価を付けていただくことが必要」(蛭田修・日本製薬団体連合会品質委員会委員長)との回答がなされた。

供給不安の予防策としては、(1)基礎的医薬品(2)不採算品再算定(3)最低薬価―といった薬価を下支えする仕組みがある。20年4月の薬価改定では、昨年8月に日本化学療法、感染症、臨床微生物、環境感染の4学会から出された「抗菌薬の安定供給に向けた提言」の中でキードラッグと位置付けられた10品目のうち、セファゾリン、セフメタゾール、メロペネムの3品目に不採算品再算定が適用され、薬価が引き上げられた。

「今回一部見直していただいたが、キードラッグをもう少し厚くやっていただけるようなことを是非検討いただければと思っている」(松本哲哉・国際医療福祉大学医学部感染症学講座主任教授)との声も上がった。

 

■記者会見

1.新型コロナ治療薬・ワクチン「積極的に対応」
-製薬協:中山讓治会長-

製薬協の中山讓治会長(第一三共会長)は3月19日、総会後の定例記者会見で、20年度も引き続き「製薬協 政策提言2019」で求めたイノベーション推進の環境整備とイノベーションの適切な評価の2つを実現していきたいと抱負を語った。新型コロナウイルス感染症(covid-19)に関しては「製薬協として治療薬やワクチン等の開発に向けて期待される役割を積極的に果たしていかなければならないと」と語った。

3月18日に会員企業のcovid-19に対する取り組みを発表。それによると、(1)治療・予防研究の加速化(2)医療用医薬品の提供(3)義援金などの拠出(4)消毒薬・医療用マスクなどの物品供出などを行っている。治療薬では武田薬品が免疫グロブリン製剤の開発に着手したと発表している他、複数社が国立感染症研究所の行う治療薬スクリーニングに対して化合物原薬などを提供している。

中山会長は、その影響に関して、各社、安定供給のために医薬品の在庫を積み増すなど「必要とされる医薬品を確実に届けることに重点的に対応している」と語った他、ワクチンや治療薬開発は「本質的に課されている責務だ」と強調。臨床試験を通じて有効性や安全性を確認する必要があることから「一定の時間がかかる」との認識を示しながらも「少しでもできるだけのことをやろうということで各社対応している」と述べた。

また、パンデミックに対応した治療薬やワクチンの開発推進に向けて研究開発助成などのプッシュ型のインセンティブだけでなく、薬価での評価や国の備蓄などプル型のインセンティブを設け、「積極的に挑戦する企業やベンチャーがアプローチしやすい環境を整えていくことが必要だろう」と語った。

 

■記者会見

2.世界同時開発進め、22年以降の「飛躍」へ
-アムジェン:スティーブ・スギノ社長-

米アムジェン社は4月1日、アステラス製薬からアステラス・アムジェン・バイオファーマ(AABP)の発行済み株式49%を取得してAABPを完全子会社化し、商号をアムジェンに変更した。これを受けて、同日、同社のスティーブ・スギノ社長はインターネットを通じた記者会見を行い、今後の事業展開に関してグローバルでの同時開発・同時申請を推進していく方針を示した。

スギノ社長は「三段跳びの戦略を立てている」と説明。AABP時代の組織構築をホップ、今回の完全子会社化をステップとして、「22年からはジャンプの段階に入る。アメリカと同じタイミングでフルパイプラインを出していく。また、日本の医療システムとより強固にパートナーシップを組んで、新しい製品・解決策を日本の患者のために高齢化社会の中で見つけていく」と語った。

日本市場の優先順位は高く、高齢化が進む中で、同社が製品を展開する循環器領域、骨領域、炎症性疾患領域、オンコロジー領域には「大きな機会がある」とした。

営業部隊はAABP時代と変わらないとして、スペシャリティケアユニットでは高コレステロール血症治療薬レパーサや骨折のリスクが高い骨粗鬆症治療薬イベニティ、オンコロジー領域では再発または難治性のB細胞性急性リンパ性白血病治療薬ビーリンサイト、炎症・免疫性疾患事業部で乾癬治療薬オテズラの情報提供を行う。

会見には三好出研究開発本部長も出席し、13年のAABP設立以降、レパーサ、ビーリンサイト、イベニティを上市する一方で、米アムジェン社のパイプラインを同時開発するためのチームやプロセスを構築してきたと説明。「実際、アムジェンのほとんど全てが日本でも同時申請に向けて開発されている」と現状を語った。申請が近い品目としては片頭痛対象の抗CGRP受容体抗体エレヌマブ、非小細胞肺がんや結腸・直腸がん対象のKRAS G12C阻害剤AMG510、心不全対象の心筋ミオシン活性化薬Omecamtiv mecarbilを挙げた。

 

■R&D説明会

1.ポスト・ドルテグラビルへ、オンコロジー領域の抗体薬などを紹介
-塩野義製薬:手代木功社長-

塩野義製薬の手代木功社長は3月19日、アナリスト向けR&D説明会で、自社創製の抗HIV薬ドルテグラビル(一般名)が2028年ごろに特許切れを迎えるのに備え、どのようなパイプラインを構築しているか紹介した。今回の説明会で初めて公開された抗がん剤の制御性T細胞(Treg)阻害剤(抗CCR8抗体)や各種精神疾患を対象としたドーパミンD3受容体阻害剤S-874713を含む8つの「疾患治療のパラダイムを変えるゲームチェンジャー」に注力する方針を示した。

抗CCR8抗体は腫瘍内のTregに選択的に高発現するCCR8を標的とした薬剤で、大阪大学最先端医療イノベーションセンター(CoMIT)との共同研究で見いだした。がん免疫抑制メカニズムを解除することで、強い抗腫瘍効果を発揮すると考えられている。マウスの乳がんモデルや大腸がんモデルで抗腫瘍効果を示し、21年度の臨床試験開始に向けて創薬研究を進めている。既存の免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体が奏功しないがん種への効果が期待されている。

ドーパミンD3受容体阻害剤S-874713は自社創製の化合物でドーパミンD3受容体を介して前頭前皮質や側坐核を活性化する。ADHD、依存症、ジスキネジア、うつ病、自閉症といった各種精神疾患への効果が期待されており、手代木社長は「どの疾患から進めていくか戦略を練っているところだ」としている。20年度に臨床試験を開始する。ADHDではビバンセやコンサータといった中枢神経刺激薬並みの効果を上げながら依存性を示さない薬剤として期待されている。

なお、8つのゲームチェンジャーは(1)制御性T細胞阻害剤(抗CCR8抗体)(2)再生医療等製品S-005151(レダセムチド、ステムリム社から導入)(3)核酸アジュバントS-540956(4)難治性慢性咳嗽などの治療薬S-600918(5)疼痛などの治療薬S-637880(6)抗うつ薬S-812217(zuranolone、米Sage社から導入)(7)アルツハイマー型認知症治療薬BPN14770(米Tetra社から導入)(8)各種精神疾患に対するS-874713―となっている。

新型コロナウイルス感染症治療薬に関しては社内化合物のインビトロ試験の結果により有望な化合物(社内化合物1、2、3)を確認したが、塩野義製薬の木山竜一医薬研究本部長は「まだビトロの効率活性を見ているだけなので、通常の創薬研究の範囲内で考えると今回のコロナ騒ぎには到底間に合わない」と見通しを示した。

 

■決算説明会

1.SB623、承認申請遅れの理由を説明
-サンバイオ:森敬太社長-

サンバイオの森敬太社長は3月18日、20年1月期決算説明会で、同社が開発中の再生医療等製品SB623の外傷性脳損傷の適応での国内承認申請予定時期を21年1月期に延期した理由に関して詳細を説明した。森社長は理由として(1)新体制(日立化成)への技術移転の遅延(2)商業生産に必要な管理体制の構築(3)規格試験の要件不足-を挙げた。

同剤は18年11月に外傷性脳損傷を対象にした日米第2相STEMTRA試験で主要評価項目を達成したことを発表し、19年4月には厚労省から外傷性脳損傷(中等度~重症)における運動障害の改善の適応で先駆け審査指定制度の対象品目に指定されている。当初、サンバイオは第2相試験結果に基づき、20年1月期中の国内承認申請を予定していたが、19年12月に計画の見直しを発表し、21年1月期中に申請するとした。当時、遅延の理由に関して、商業用生産準備に十分な時間をかけ市販後の安定供給を果たすためとしており、延期の理由の詳細に関しては明らかにしていなかった。

決算説明会で森社長は新規製造委託先である日立化成への技術移転が想定よりも遅れていると説明。同社は過去米国2社のCMOに技術移転をしており、1社目のCMOの製品は脳梗塞を対象にした第1/2a相試験、2社目のCMOの製品は脳梗塞を対象にした第2b相試験および外傷性脳損傷を対象にした第2相試験で使用されている。日立化成は3社目のCMOにあたり、サンバイオによると、過去の製造委託先レベルまで習熟度が達していない状況という。

商業生産に必要な管理体制の構築では、骨髄液→MSC細胞→遺伝子導入→増殖→SB623という製造過程において原材料管理などに課題があり、商業用生産レベルの管理体制を構築中としている。

規格試験の要件不足の詳細は開示しておらず、森社長は「臨床試験段階から商業用段階になるにあたって、規格試験の精度を上げる必要がある。それに取り組んでいる」と語った。

現在、SB623は先駆け審査指定→対面助言・事前面談→先駆け総合評価相談→承認申請というプロセスの中で対面助言・事前面談の段階にある。承認申請予定時期は21年1月期中としており具体的なめどは明かしていない。海外では21年1月期中に外傷性脳損傷を対象にしたグローバル第3相試験を開始する計画だ。大日本住友製薬との提携が終了した北米の脳梗塞プログラムに関しては次の臨床試験を検討中としている。

 

■セミナー便り

1.オプジーボは有効症例の奏効期間延長が特長
-慶應義塾大学医学部腫瘍センター:浜本康夫副センター長-

慶應義塾大学医学部消化器内科准教授で腫瘍センター副センター長も務める浜本康夫氏は3月23日、小野薬品とブリストル・マイヤーズスクイブが開催したプレスセミナーで講演し、オプジーボ(ニボルマブ)が今年2月に免疫チェックポイント阻害剤として世界で初めて食道がんの適応で承認されたことは「この数十年の食道がん治療の歴史において本当に大きな変化だ」と語り歓迎した。

食道がんの薬物療法としては、長らく抗がん化学療法のみが使用可能であった。食道がん診療ガイドライン2017年版によれば、切除不能進行・再発食道がんに対する1次治療として5-FU+シスプラチン併用療法、2次治療としてドセタキセルまたはパクリタキセルがそれぞれ弱く推奨されているものの、それ以降の治療に推奨される薬剤はない。浜本准教授は「現実的には我々が治療で使える薬剤はこの4種類だけで、2次治療後には何も残っていない。患者に提供できる薬剤が非常に少ないのが大きな問題だった」と述べている。

背景には、組織型による地域差も関係しているようだ。食道がんは全体の77%がアジアで認められる。さらに組織型により扁平上皮がんと腺がんに分類した場合、扁平上皮がんはアジアに多く、日本では90%以上を占めるのに対し、北米や欧州では腺がんが多いことから、黙って待っていても欧米から食道扁平上皮がんの新薬が出ることは無いがん種なのだという。なお食道腺がんは、実臨床では食道胃接合部がん、つまり胃がんとして治療されている。

浜本准教授はこの承認に至る経過として2本の臨床試験の結果を紹介した。1本目は標準治療(フッ化ピリミジン系抗がん剤、プラチナ製剤およびタキサン系薬剤)に不応または不耐の患者に対する国内第2相ATTRACTION-1試験。この2次治療までの標準治療が効かなくなった患者群での試験で、主要評価項目の奏効率は17.2%(11/64)、副次評価項目の全生存期間(OS)中央値は10.78カ月という結果を出した。「何も治療法がなく、一般的に考えると余命数カ月という患者」群でのこうした結果に浜本准教授は「直ぐに患者の元に届けたいと思うような良好な結果だった」と高く評価した。

国際共同第3相ATTRACTION-3試験では、初回治療に不応または不耐となった食道扁平上皮がん患者を対象に、オプジーボ単剤と2次治療の標準治療であるタキサン系(ドセタキセルまたはパクリタキセル)を直接比較し、主要評価項目のOSでハザード比0.79、OS中央値はオプジーボ群11.17カ月、実薬対照群8.54カ月となり統計学的有意な延長を示すことに成功した。一方で、副次評価項目の奏効率はオプジーボ群20.3%、対照群22.1%、無増悪生存期間は同順に中央値1.84カ月対3.75カ月となり、優越性を示すことはできなかった。

ATTRACTION-3で確認されたオプジーボの特長として、他のがん種でも報告されているように「効く患者には長く効く」こと、さらにPD-L1発現によらずOSベネフィットが認められたこと、人種、年齢、肝転移等による差が認められていないことを挙げた。日本食道学会ガイドライン委員会はATTRACTION-3試験の結果を受けて、今年3月に、2次治療としてオプジーボを強く推奨するとのコメントを発表している。

安全性に関しては、副作用の発現はオプジーボ群の67.2%、対照群では65.5%で認められ、グレード3~4に限ると対照群65.5%に対してオプジーボ群は17.2%にとどまっていたことから、重篤例の頻度の少なさも特長の1つに挙げた。ただしオプジーボ群では甲状腺機能障害11.5%、間質性肺疾患6.3%(いずれもグレードは非開示)などが確認されており、免疫応答を活性化させるという作用機序により引き起こされる免疫関連有害事象を見極め適切に治療する必要があるとし、適切な施設で、専門家がチームによって連携する重要性を訴えた。

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