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■行政トピックス
1.中医協薬価専門部会11月14日「当面、19年10月薬価改定前提に議論」で一致
■セミナー便り
1.新薬創出等加算「患者の視点から適正な評価を」-EFPIA Japan:オーレ・ムルスコウ・ベック会長-
2.ベージニオ、イブランスの使い分けに言及-国がん中央病院:田村研治乳腺・腫瘍内科長-
3.ゾフルーザ、従来薬に取って代わる薬剤に-廣津医院:廣津伸夫院長-
4.BSへの医師の理解進む-浜松医大:川上純一教授-

■行政トピックス

1.中医協薬価専門部会11月14日
「当面、19年10月薬価改定前提に議論」で一致

中医協薬価専門部会は11月14日、消費税引き上げに伴う薬価改定の時期について議論し、「最終的には政府の予算編成過程で定まることになる」とした上で、中医協としては「当面、実勢価改定と消費税引き上げ相当分の転嫁を同時に行うことが自然であるとの認識の下、必要な改定ルールの適用等を検討していく」との厚労省案を了承した。

消費税引き上げに伴う薬価改定の時期をめぐっては、診療側は、仮に19年4月に18年9月薬価調査に基づく実勢価改定を行えば、19年度は4月と10月(消費税分の上乗せ改定)の2回、さらに20年4月には通常改定があることから、事務負担が大きいとして反対していた。

一方、支払側は、前回10月31日の薬価専門部会では、「臨時的な改定との趣旨を踏まえれば、10月に実勢価改定を行うのが妥当」との意見が大勢を占めたが、幸野庄司委員(健保連理事)は「19年度の薬価調査の前に一度改定を行った上で、実勢価を調査した方が、20年度の改定がより実勢価を反映したものになるのではないか」と主張し、意見が一致していなかった。

11月14日の薬価専門部会で幸野委員は「前回、議論された際、わたしだけが実勢価を精緻に把握するために4月にやるべきだと反対した。最終的には政府の予算編成の過程で決まることになるが、中医協としては同時に実施するのが自然であるということが大勢であるいうことなので、わたしの考え方もあるがこの考え方で了承したい」と述べた。

10月の消費税引き上げ改定後の実勢価を20年度改定に反映できない課題が残るが、21年度から毎年薬価調査、薬価改定となることを踏まえ、田宮憲一薬剤管理官は「その対象範囲は今後の議論であるが、19年10月の消費税引き上げによる改定および20年度の通常改定を行った後の実勢価については、例年よりも早いタイミングで20年の薬価調査で把握して、21年度の改定に反映できると考えている」との認識を示した。

 

■セミナー便り

1.新薬創出等加算「患者の視点から適正な評価を」
-EFPIA Japan:オーレ・ムルスコウ・ベック会長-

EFPIA Japanのオーレ・ムルスコウ・ベック会長(ノボ ノルディスクファーマ社長)は11月8日の記者会見で「作用機序ではなく、患者のベネフィット、患者の視点からイノベーションの適正な評価をお願いしたい」と要望した。

2018年度の薬価制度の抜本改革により、新薬創出等加算の企業要件および品目要件が変更され、同加算の対象品目は16年度の823品目から18年度は560品目に縮小した。品目要件は平均乖離率(薬価差)を上回っている品目という条件だったが、今回から(1)画期性加算・有用性加算のついた品目(2)営業利益に補正された医薬品(3)希少疾病用医薬品・開発公募品(4)新規作用機序医薬品(基準に照らして革新性・有用性が認められるものに限る)等という条件に限定された。

インスリン製剤や喘息・COPD治療薬(ムスカリン受容体拮抗薬)などで対象品目から除外される製品があった。低血糖の発現リスクを軽減し患者にとっての安全性を高めたことやデバイスの改良により患者にとって使いやすくしたことなどは評価されていない。

ベック会長は「まったく新しい作用機序やまったく新しいテクノロジーであれば、いまでも日本で十分にイノベーションとして評価されている」とした上で「ただし、同じ作用機序でも、より効果が高い、より安全性が高い、投与方法がより簡便、小児への適応といったことがイノベーションとして評価されなくなれば、それが日本の患者にメリットとして提供されなくなる」と警鐘を鳴らした。

EFPIAが加盟企業24社に対し行ったアンケート調査(21社が回答)によると、新薬創出等加算対象の医薬品を有している15社のうち14社が新薬創出等加算の除外を経験。14社のうち7社がすでに国内開発戦略を変更した。

 

■セミナー便り

2.ベージニオ、イブランスの使い分けに言及
-国がん中央病院:田村研治乳腺・腫瘍内科長-

国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科の田村研治科長は11月13日、乳がん治療薬として承認された日本イーライリリーのCDK4/6阻害剤ベージニオ(一般名アベマシクリブ)の承認記者発表会で同剤について解説した。ベージニオはホルモン受容体陽性でHER2陰性の乳がん患者に使用される。ホルモン受容体陽性の患者には内分泌療法(ホルモン療法)が行われる。この内分泌療法にベージニオといった分子標的薬を上乗せすることで無増悪生存期間(PFS)の延長が得られる。

ステージ4の進行・再発乳がんの治療は、乳がん診療ガイドライン2018年版によればホルモン受容体陽性でかつ近い将来生命を脅かす状態ではない場合、まずは内分泌療法(1次〜3次)が行われ、いずれの内分泌療法も抵抗性になった場合に化学療法に移行するのが基本的な考え方だ。

ベージニオはステージ4のホルモン受容体陽性の進行・再発乳がんに対する内分泌療法(1次または2次)に併用される。内分泌療法1次治療でアロマターゼ阻害剤への上乗せ効果を見たMONARCH-3、内分泌療法2次治療でフルベストラントへの上乗せ効果を見たMONARCH-2の2本の国際共同第3相試験のいずれにおいても、ベージニオ群はプラセボを上乗せした対照群に対して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長させた。PFS中央値は、MONARCH-2でベージニオ併用群16.4カ月、プラセボ併用群9.3カ月(P<0.0001)、MONARCH-3ではプラセボ併用群14.73カ月に対してベージニオ併用群は未到達だった。PFS延長の意義について、田村氏は「強い吐き気、抜け毛などの副作用を伴う抗がん剤治療に比べて、内分泌治療は生活の質を少し良く保つことができる」と評価した。

CDK4/6阻害剤にはファイザーのイブランス(パルボシクリブ)があるが、両剤はあくまで「臨床試験的には同じデザインで、エビデンスも同じ」として、患者の状態を見ながら、サブ解析結果や副作用面も考慮して使い分けていく考えを示した。

 

■セミナー便り

3.ゾフルーザ、従来薬に取って代わる薬剤に
-廣津医院:廣津伸夫院長-

廣津医院の廣津伸夫院長は11月15日、塩野義製薬が開催したメディアセミナーで講演し、今年3月に発売された抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザについて「単回経口投与の利便性、高い有効性と安全性から、従来のノイラミニダーゼ(NA)阻害剤に取って代わるのでは」との見解を述べた。

ゾフルーザはキャップエンドヌクレアーゼ阻害剤。タミフル(オセルタミビル)、リレンザ(ザナミビル)、ラピアクタ(ペラミビル)、イナビル(ラニナミビル)といったNA阻害剤と異なる新しい作用機序だ。

12歳以上を対象とした国際共同第3相試験において、主要評価項目のインフルエンザ罹病期間でプラセボに対し優越性を示した。タミフルと罹病期間に有意差はなかったが、副次評価項目に設定されたウイルス力価に基づくウイルス排出停止までの時間の中央値は、ゾフルーザ群24.0時間、タミフル群72.0時間だった。廣津氏は、ウイルス消失は自覚症状の改善につながると解説、実際に治験および発売後の処方患者からも、つらい、きついといったインフルエンザの自覚症状に対して「早く楽になった」との声があることを紹介した。さらに、ウイルス排出を早く抑えることが家族内感染を防ぐことになるとして、「流行に及ぼす影響も考慮するとゾフルーザは良い薬だ」と臨床経験を踏まえて評価した。

一方でゾフルーザの結合標的部位であるポリメラーゼ酸性タンパク質領域のI38にアミノ酸変異が認められた。I38のアミノ酸変異は特に小児での出現頻度が高く、小児対象の国内第3相試験では77例中18例に認められた。インフルエンザ罹病期間中央値を見ると、アミノ酸変異のない群では43.0時間だったのに対して、アミノ酸変異のある群では79.6時間と差が付いた。

I38のアミノ酸変異の臨床効果への影響について、日本感染症学会は今後の検討が必要としている。廣津氏は「今後数年間は変異株に注意しながら使っていくことになる」と述べる一方で、「現状は従来のノイラミニダーゼ阻害剤と同等の立場で選択される治療薬であり、(いずれ)従来薬に取って代わる薬剤になるのではないか」と語った。

 

■セミナー便り

4.BSへの医師の理解進む
-浜松医大:川上純一教授-

国内におけるバイオシミラー(BS)の普及促進はいまだ十分とはいえないが、医療関係者の間では徐々に理解が深まっていることを示す調査結果が発表された。浜松医科大学の川上純一教授が11月15日、ファイザー主催の記者説明会で明らかにした。

同教授は、16年度厚生労働科学特別研究事業「バイオシミラー使用促進のための問題解決に向けた調査研究」報告書を紹介した。同報告書によると、調査対象医師105人のうち、「薬の種類によってBSを積極的に処方する」が39人、「日本での使用実績が多くなればBSを積極的に処方する」が22人、「患者によってBSを積極的に使用する」が16人などとなり、今後充実が必要なデータについては、「臨床での有効性・安全性についての情報」が94人、「切り替え(先行品→BS、BS→BS)に関する情報」が56人、「添加剤についての情報」が39人などとなった。

一方、同調査研究報告書で、薬剤師を対象とした調査(対象132人)では、「薬の種類によってBSを積極的に採用」が69人、次いで「医師からの要望があれば採用」が25人などと続いた。

川上教授は、BS使用促進には、日本がん治療学会がん診療ガイドラインにおいて、G-CSF製剤のBSを推奨している実例を例示し、各学会がどのようなスタンスを取るかが重要であるとの考えを示した。

同教授は、さらに、海外の学会におけるBS評価の事例として、欧州リウマチ学会(EULAR)が治療アルゴリズムで先行品とBSを同列で扱っていること、欧州会議クローン病・大腸炎会議(ECCO)がBSへの切り替えを認めたこと、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)がポジションペーパーでBSに関する教育的発信をしたこと、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が教育活動の一環としてBSに関する教育的内容をステートメントとして発信したことなど最近の動きを紹介し、これらの動きがBS普及の後押しになるとの考えを示した。

東京女子医大の山中寿教授は、関節リウマチ診療ガイドライン2014は現在、改訂作業中で、BSが登場してくるとの見通しを述べた。

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