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■セミナー便り
1.スキリージの皮疹消失達成率や投与間隔を評価-帝京大学医学部:多田弥生主任教授-
2.抗HIV薬ビクタルビ「治療薬の中心になる」-国立国際医療研究センター:岡慎一エイズ治療・研究開発センター長-
■記者会見
1.アジアの新薬アクセス向上へ日本の審査プロセスの共有を検討-第8回アジア製薬団体連携会議-
■行政トピックス
1.中医協総会 4月10日 小児の発達障害患者が急増、診療報酬上の対応を検討へ

■セミナー便り
1.スキリージの皮疹消失達成率や投与間隔を評価-帝京大学医学部:多田弥生主任教授-
2.抗HIV薬ビクタルビ「治療薬の中心になる」-国立国際医療研究センター:岡慎一エイズ治療・研究開発センター長-

■記者会見
1.アジアの新薬アクセス向上へ日本の審査プロセスの共有を検討-第8回アジア製薬団体連携会議-

■行政トピックス
1.中医協総会 4月10日 小児の発達障害患者が急増、診療報酬上の対応を検討へ

 

■セミナー便り

1.スキリージの皮疹消失達成率や投与間隔を評価
-帝京大学医学部:多田弥生主任教授-

帝京大学医学部皮膚科講座の多田弥生主任教授は4月9日、アッヴィが開催した乾癬メディアセミナーで講演し、リサンキズマブ(スキリージ)が海外第3相試験で高い皮膚症状消失率を達成したことを取り上げ、「この薬剤の進歩を示している」と評価した。アッヴィのリサンキズマブは2019年3月に乾癬治療薬として承認を受けている。

乾癬とは、皮膚症状(皮疹)を伴う慢性の炎症性疾患であり、主症状は皮膚が赤くなる紅斑、新陳代謝が異常になることで盛り上がる浸潤・肥厚、それを覆う銀白色の鱗屑、鱗屑がフケのようにぼろぼろと剥がれ落ちる落屑である。皮疹は全身に現れるが、特に被髪頭部、腰臀部、四肢伸側(肘、膝)が好発部位として知られている。また、6~9割で痒みを伴うとの報告もある。乾癬には幾つかの種類があり、皮疹を主症状とする尋常性乾癬が全体の約9割を占める。関節に炎症が起こった乾癬性関節炎も約15%の患者で併発し、中には骨変形を起こして日常生活を送れなくなるケースもあるという。そのほか、特に重症の場合には免疫関連疾患やクローン病、心筋梗塞などの心血管イベント、糖尿病、高血圧、高脂血症といったメタボリックシンドロームなどを合併しやすいことも分かっている。

治療法としては外用薬や内服薬、紫外線を人工的に浴びさせる光線療法などが用いられてきたものの、完全消失させることは難しかった。それを大きく変えたのが、10年のTNFα製剤を皮切りに続々と登場した生物学的製剤だった。国内では現在、7剤の生物学的製剤が乾癬治療薬として上市されている。多田主任教授は、近年の生物学的製剤はかつての治療目標だったPASI75(皮疹の重症度の指標であるPASIスコアの75%以上の改善)をほぼ達成し、PASI90(90%以上の改善)も7~9割で達成できているとして、非常に高いレベルの薬剤がたくさん出ていると評価した。

その一方で、7剤もの生物学的製剤が登場してもなお、アンメットメディカルニーズが存在すると述べた。多田主任教授が挙げたのは▼特に導入期の複雑な投与スケジュール▼安全性への懸念▼自己注射への不安▼経済的負担▼効果の持続性―の5点。安全性については、ターゲットにするサイトカインによっては感染症や他の炎症性疾患などが生じやすくなることもあると解説した。患者は自己注射よりも医療従事者による投与を好み、投与間隔は長いほど好むという患者アンケートの結果も紹介された。

IL-23p19サブユニットを標的とするリサンキズマブは、乾癬治療薬において生物学的製剤としては8剤目であり、IL-23阻害剤としてはウステキヌマブ(ステラーラ、標的はIL-12/23共有のp40サブユニット)、グセルクマブ(トレムフィア、標的はIL-23p19サブユニット)に続く3剤目になる。初回、4週後、以降12週の間隔で投与され、8剤の中ではウステキヌマブに並び最も長い投与間隔になる。同一作用機序のグセルクマブは初回4週、以降8週間隔で投与される。

関節症性乾癬患者を含む中等症から重症の尋常性乾癬患者を対象にウステキヌマブおよびプラセボと比較した国際共同第3相のUltIMMa-2試験(海外)では、リサンキズマブ群とウステキヌマブ群のPASI 90達成率が、16週時で75%と47%、52週時で81%と51%となり、いずれも有意差が付いた。PASI100達成率では、16週時で51%対24%、52週時では60%対30%となった。有害事象についてはウステキヌマブ群と同等であったことが示された。多田主任教授は、安全性が同等に維持されている上に皮疹の完全消失を意味する「PASI100達成率がダブルスコアになったことは、この薬剤の進歩を示している」と評価した。

8剤がそろうことになる生物学的製剤の使い分けについては、▼TNFα阻害剤(アダリムマブ、インフリキシマブ)は関節炎に強く、心筋梗塞や炎症性疾患を併発している患者に適している▼IL-17阻害剤(セクキヌマブ、イキセキズマブ、ブロダルマブ)は即効性がある▼IL-23阻害剤(グセルクマブ、ウステキヌマブ、リサンキズマブ)は投与間隔が長く、医療機関で投与を受けられる―とそれぞれの特長を挙げた上で、「今後はPASI達成率で見る効果だけではなく、患者のニーズを加味した治療を目指す時代になるのかもしれない」と述べた。

 

■セミナー便り

2.抗HIV薬ビクタルビ「治療薬の中心になる」
-国立国際医療研究センター岡慎一エイズ治療・研究開発センター長-

国立国際医療研究センターの岡慎一エイズ治療・研究開発センター長は4月11日、ギリアド・サイエンシズ主催のメディアセミナーで抗HIV薬ビクタルビ(ビクテグラビル+FTC/TAF)について「これからかなり治療薬の中心になってくるだろうと思われる薬剤だ」と述べた。日本では4月8日に発売された。

2019 年3月発行の抗HIV治療ガイドライン(HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究班)によると、初回治療でトリーメク(ドルテグラビル+3TC/ABC)、テビケイ(ドルテグラビル)+デシコビ(FTC/TAF)、ゲンボイヤ(エルビテグラビル+コビシスタット+FTC/TAF)などが使用されている。ビクタルビは初回治療で選択すべき抗HIV薬の組み合わせの中で推奨される組み合わせの1つとして記載された。

岡センター長はビクタルビの特長として「ブースターを使用していないので相互作用が少ない」ことを挙げた。抗HIV治療が進歩し患者の平均寿命は健常人と変わらなくなっており、患者の高齢化に伴うポリファーマシーが課題となっている。岡センター長の施設では患者の35%が50歳以上という。例えばゲンボイヤはエルビテグラビルの血漿中濃度を維持するためにブースターとしてCYP3A阻害薬コビシスタットを含んでいるが、ビクタルビはブースターを必要としない新規インテグラーゼ阻害薬ビクテグラビルをキードラッグとする1日1回1錠の小型配合錠だ。岡センター長は「一番困るのは結核があった時にリファンピシンが使えない。ブースターを使用していないのは治療する上で非常に大きなメリットで、高齢者には大事だと思う」と述べた。

 

■記者会見

1.アジアの新薬アクセス向上へ日本の審査プロセスの共有を検討
-第8回アジア製薬団体連携会議-

日本製薬工業協会の中山譲治会長(第一三共会長)は4月10日、前日に開催された第8回アジア製薬団体連携会議(APAC)後の記者会見に臨んだ。高齢化に伴う社会構造、疾病構造の変化が各国共通の課題として認識されつつある中で、高齢化の最先端を走る日本がどのように医療を位置付け、解決していくかは世界の国々にとっても重要だと語った中山会長は、製薬協が1月に発表した「政策提言2019」の考え方を「日本当局と共有しながら、世界に範を示せるような医療制度をつくっていきたい」と訴えた。

APACは「革新的新薬をアジアの人々に速やかに届ける」をミッションとする、国際製薬団体連合会(IFPMA)加盟のアジアの研究開発型製薬団体13団体、規制当局、アカデミアが一堂に会する国際会議。第8回会議では新たに「価値に基づく医療」のセッションが設けられた。

背景には、近年のがん免疫療法やC型肝炎薬など、効果が高い半面、保険財政を圧迫する懸念のある薬剤の登場や、終末期医療における選択の問題が盛んに論じられるようになっていることなどがある。「社会保障費のなかでどのように医療を位置付けていくかは、幅広い視点で議論しないと前に進まない」との思いがあったと中山会長は明かした。

パネルディスカッションでは、経済成長と社会保障が相互に協調の関係にあるという前提で、製薬産業の使命であるイノベーションの追求と、社会課題の解決に向けた議論がなされ、価値ある医療にこそ投資を続けるべきであることが共通認識とされた。これは製薬協が1月に発表した「政策提言2019-イノベーションの追求と社会課題の解決に向けて-」の考え方の共有でもある。

価値ある医療について中山会長は、社会全体のコスト、あるいはメリットとしてどう捉えるかが大切だと語った。そして「医薬品や医療が具体的な数字としてどれだけの人を救っていくのか」を国民と共有し、「社会にとって本当に価値があるということを分かっていただくよう発信していきたい」との姿勢を示した。

規制・許認可セッションでは、革新的医薬品へのアクセス向上を推進するため、WHOが提唱するReliance Pathway(信頼関係に基づいた規制当局間の協力による革新的医薬品の効率的な審査推進)の導入を産業側から各国規制当局に対して提言することが合意され、実現に向けたロードマップ(3カ年計画)が提案された。

これは日本の承認プロセスや査察結果を共有し、各国ごとに利活用できる部分を見いだすことで、アジア全体として新薬へのアクセスを高めようとする試みで、EMAのような一括承認を目指すものではない。

日本製薬協で国際委員会アジア担当副委員長を務める長岡秋広氏は、欧州との根本的な違いとして、アジアでは各国規制当局のレベルに大きな開きがある点を挙げた。「アジアは国ごとに事情が違う。各国規制当局の立場を尊重しながら相互理解を深めることによって、アジア全体としての新薬アクセスを高める方が効率的だろう」(中山会長)との考えに立ったものだ。

3年以上にわたって活動を行ってきた創薬連携では、18年12月にAPAC天然物創薬コンソーシアムを立ち上げるに至っている。今年2月には武田薬品の研究所がタイの若手研究者1人を受け入れ、人材育成も開始していることが報告された。

 

■行政トピックス

1.中医協総会 4月10日
小児の発達障害患者が急増、診療報酬上の対応を検討へ

厚労省保険局の森光敬子医療課長は4月10日の中医協総会で、「データとして見て驚くほど出てきているのが心の問題を抱えるお子さんが非常に多いというところ」と危機感を示し、「来院患者に対して相談に応じることや投薬治療を行うことについての診療報酬上の評価はあるが、それ以上の部分についての評価が設けられていない」と述べ、手厚い医療を提供するため、診療報酬上の評価の検討を求めた。

厚労省が中医協に示した「20歳未満の精神疾患総患者数」によると、2011年に17.9万人だったのが17年には27.6万人に急増している。その内訳を見ると、「その他の精神および行動の障害」が11年の9.1万人から、17年には17.8万人へと倍増しており、「その他の精神および行動の障害」のほとんどがADHDといった発達障害とみられている。

城守国斗委員(日医常任理事)は「小児の精神科の医師が非常に少ないのが現状。子供が小さいうちは、小児科医あるいは小児のかかりつけ医が診ているので、どこかで小児の精神科の医師につないでいく必要があるし、そこでの連携のあり方を評価する必要がある」との見解を示した。

 

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