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■記者会見
1.「多面的価値を適切に評価できる薬価制度に」-製薬協:中山譲治会長-
■記者懇親会
1.リアルダを主力に消化器領域を強化-持田製薬:持田直幸社長-
■セミナー便り
1.エプクルーサは「治療法のなかったC肝患者に希望を与える」-大阪大学大学院:竹原徹郎教授-
2.コセンティクス「強直性脊椎炎に有用性高い」-東邦大学医学部:亀田秀人教授-

■記者会見
1.「多面的価値を適切に評価できる薬価制度に」-製薬協:中山譲治会長-
■記者懇親会
1.リアルダを主力に消化器領域を強化-持田製薬:持田直幸社長-
■セミナー便り
1.エプクルーサは「治療法のなかったC肝患者に希望を与える」-大阪大学大学院:竹原徹郎教授-
2.コセンティクス「強直性脊椎炎に有用性高い」-東邦大学医学部:亀田秀人教授-

■記者会見

1.「多面的価値を適切に評価できる薬価制度に」
-製薬協:中山譲治会長-

製薬協の中山譲治会長(第一三共会長)は1月24日の定例記者会見で、政策提言2019を公表した。提言では、新薬創出により、疾病の治癒や健康寿命の延伸がもたらされ、ひいては経済成長がもたらされる好循環(エンジェルサイクル)を実現するために(1)イノベーション創出に向けた環境整備(2)イノベーションの推進と国民皆保険の持続性を両立させる保険制度を求めている。

イノベーション創出に向けた環境整備では(1)予防先制医療の実用化(2)健康医療ビッグデータおよびAIの開発・活用(3)ヘルスケアイノベーション創出エコシステムの構築-を課題として挙げている。中山会長は特に健康医療情報の利活用について「個人情報保護法と医療IDは大きなハードルになっている」とした上で、ゲノム情報を含む医療健康情報の二次利用ができる環境を求めた。また、エコシステムの構築では、創薬基盤技術の高度化に関する取り組み案としてクライオ電視顕微鏡など最先端設備の共同利用や、企業間のデータシェアリングに関する取り組み案として企業間で化合物のデータベースを共有する案を挙げた。

イノベーションの推進と国民皆保険の持続性を両立させる保険制度の構築では、医薬品は、社会的なコストではなく、健康長寿社会実現に向けた投資であり、重要な社会インフラであると強調。医薬品には、疾病が治癒する医療的な価値だけでなく、患者の就労、介護者の負担軽減、政策的に必要な医薬品の開発、科学技術の進歩に資するといった社会的な価値を含む多面的な価値があり、こうした多面的な価値を適切に評価できる薬価制度が必要だとした。

併せて、薬価制度について「どういう価値に基づいて算定されているのか、国民が理解し納得感を得ることが今後、ますます必要になってくる」とし、「国民が理解した上で議論が進むようオープンにしたい」と語った。社会保障と税の一体改革が進む中、16~18年の社会保障給付費の伸びの抑制の大半は薬価から捻出された。中山会長は「このやり方をいつまでも維持することはできないだろう」と強調。単年度の予算ではなく、中長期的な観点から日本の将来を提案・議論するために、今回の政策提言をまとめた。

 

■記者懇親会

1.リアルダを主力に消化器領域を強化
-持田製薬:持田直幸社長-

持田製薬の持田直幸社長は1月30日、記者懇親会で、16年11月発売の潰瘍性大腸炎治療薬リアルダを主力品に育成するとともに、18年4月発売の慢性便秘症治療薬グーフィスおよび11月発売の同モビコールの情報提供活動を強化する方針を示した。17年度の売上げトップ製品である慢性疼痛治療薬トラムセットに18年12月に23社の後発品が参入した中、消化器領域で相次いで投入した新薬の売上げ伸長に期待を示した。

同社が製造販売し、あゆみ製薬が販売しているエタネルセプトBSは現在も出荷調整中。持田社長は需給の読みが甘かったと振り返った。同剤は5月30日に発売したが、7月下旬には出荷調整が行われた。売上げ予測から供給量を決定したが、医療機関での需要が想定以上にあった。患者負担が安くなることから医師が患者のことを考え処方している。現在は増産体制を整えている状況で、20年3月期には出荷調整が解消される見通しだ。

創薬研究ではオープンイノベーションを通じ早期開発候補品を導入することにより開発パイプラインの充実を図るとした。

 

■セミナー便り

1.エプクルーサは「治療法のなかったC肝患者に希望を与える」
-大阪大学大学院:竹原徹郎教授-

ギリアド・サイエンシズは1月25日、C型慢性肝炎治療薬エプクルーサ配合錠の承認を受けて、メディアセミナーを開催。大阪大学大学院の竹原徹郎教授は、日本のC肝治療において残された最大の課題を非代償性肝硬変の抗HCV療法の確立とし、エプクルーサがこの適応を取得したことでアンメットニーズが満たされると解説した。

さらにDAA治療失敗例に対して治療選択肢が限られている課題についても、エプクルーサが国内第3相試験において、NS5A阻害薬に対する耐性関連変異の存在する患者、とりわけP32欠損例に対しても効果が見られたことを取り上げ、「今まで治療法がなかった方も希望を持てる治療法が出てきた」と評価した。

肝臓がC型肝炎ウイルスに感染して慢性肝疾患になると、初期の肝硬変である代償性肝硬変、さらに腹水や肝性脳症、黄疸などの肝不全に起因する症状が出現する非代償性肝硬変へと進行することがある。非代償性肝硬変の患者数は3万5000人と推定されている。これまで推奨される抗ウイルス療法はなく、肝移植が最も有効な治療法とされている(日本肝臓学会のC型肝炎治療ガイドライン第6版)が、日本における肝移植数はこの数年は年間500例弱で推移しており、増加傾向にはない。肝機能障害の重症度を判定するチャイルドピュー(CP)分類別に見た3年生存率は、代償性肝硬変に相当するグレードAの93.5%に対して、グレードB(中等度;非代償性肝硬変)は71.0%、重度の非代償性肝硬変に相当するグレードCになると30.7%にまで低下しており、有効な治療法の開発が望まれている。

エプクルーサは15年3月にソバルディ錠として承認された核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害剤ソホスブビルと、NS5A阻害作用を有する新有効成分ベルパタスビルの配合錠で、「前治療歴を有するC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善、C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果に1月8日に承認された。C型非代償性肝硬変の治療では1日1回1錠を12週間、前治療歴を有するC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変ではリバビリンとの併用で1日1回1錠を24週間、経口投与する。

C型非代償性肝硬変患者に対する国内第3相試験では、CP分類BまたはCの患者102例をエプクルーサ単独群、エプクルーサ+リバビリン群に1:1で無作為に割り付けた。竹原教授は「世界で初めてCP分類Cの患者を組み入れた非常に重要な試験」と位置付けた。

試験の結果、SVR12率(投与終了12週間後のウイルス持続陰性化率)は両群とも92.2%でいずれも高い有効性が認められた。これをベースライン時のCP分類別に見ると、エプクルーサ単独群ではグレードBで95.0%(38/40)、グレードCでは80.0%(8/10)の達成率だった。リバビリン併用群のSVR12率はグレードBで97.4%(38/39)、グレードCで70.0%(7/10)だった。

副作用は、単独群17.6%に対して、併用群では62.7%に発現した。単独群の主な副作用は発疹で、死亡例および投与中止に至った例はなかった。併用群では貧血による投与中止が5例で最も多かった。有効性が同等で、併用群ではリバビリンの上乗せによる毒性の増強が見られたとして、単独群での承認となっている。

なお、併用群において3例の死亡が報告されているが、治験責任医師によりいずれも治験薬との関連は否定されている。その上で、死亡例のベースライン時のCP分類が全てクラスCと重症例だったことから、竹原教授は「CP分類Cの(重症)患者への投与は(リバビリン併用群も含めて)20例の経験しかなく、より慎重に投与する」ことが重要だと述べた。

DAA既治療例(DAA前治療失敗例)を対象とした国内第3相試験は、エプクルーサとリバビリンを12週間または24週間併用投与したときの有効性と安全性が検討された。

SVR12率は12週群で82.5%、24週群で96.7%となり、治療期間の延長による抗ウイルス効果の改善が認められた。副作用は、12週群で45.6%、24週群で35.0%であり、24週群での主な事象は貧血21.7%、倦怠感5.0%などだった。貧血について、竹原教授は、リバビリンに起因するものであり、この試験では薬剤量の調節で対応が可能だったと解説した。これらの結果からDAA既治療例に対しては24週間投与レジメンで承認されている。

DAA治療を失敗した患者の多くが、薬剤耐性変異を持っているという。ベースライン時にNS5A領域でのアミノ酸変異が検出されたのは、12週群で54例(96.4%)、24週群で56例(93.3%)に上った。しかしこのうち12週群は85.2%(46/54)、24週群は96.4%(54/56)がSVR12を達成した。中でも竹原教授が強調したのは、NS5A領域のP32欠損を認めた症例でも、12週群では2例中2例、24週群では3例中2例でSVR12を達成したことだ。DAA既治療例に対する投与が認められているマヴィレット錠(グレカプレビル/ピブレンタスビル)は、国内第3相試験において、DAA前治療が不成功だった患者への投与では93.9%(31/33)のSVR12率を達成したが、P32欠損が存在する症例では2例中2例で失敗している。こうした成績から竹原教授は、「P32欠損株にはエプクルーサの方が期待を持てる」との見方を述べた。

 

セミナー便り

2.コセンティクス「強直性脊椎炎に有用性高い」
-東邦大学医学部:亀田秀人教授-

ノバルティスファーマは1月30日、コセンティクス(セクキヌマブ)が18年12月に抗IL-17抗体製剤として国内で初めて強直性脊椎炎(AS)の承認を取得したことを受けてメディアセミナーを開催した。東邦大学医学部の亀田秀人教授は、承認の基になった第3相試験の結果を紹介し、「コセンティクスは有効性、安全性の両面で優れており、有用性が高いと考えられる」と評価した。

同日ノバルティスファーマから発表されたAS診断に関する実態調査では、ASの診断を受けるまでに複数の施設・診療科を受診した患者が7割を超えており、正しい診断に至らずドクターショッピングを余儀なくされる現状が浮き彫りにされた。症状が発現してからASの診断を受けるまでに要した期間として、海外では平均9年、日本でも平均6.7年との報告もあるという。そして、こうした状況の改善のためには、「全ての医師がまずは安静で悪化し、運動で改善するかという炎症性背部痛、腰痛の特徴を確認するべき」と亀田教授は訴えた。

治療薬としては第一選択である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で効果不十分または忍容性不良の場合に抗TNFα抗体製剤が推奨されている。国内ではレミケード(インフリキシマブ)とヒュミラ(アダリムマブ)が2010年にASの適応を取得している。

今回承認の基になった海外第3相MEASURE2試験(F2310)は、NSAIDsで効果不十分または忍容性不良なAS患者219例を対象に行われた。主要評価項目に設定された、投与16週時に活動性の指標であるASAS反応基準で20%以上の改善を達成した患者割合(ASAS20反応率)は、コセンティクス150mg群61.1%、プラセボ群28.4%で、コセンティクス150mg群が有意に高かった。抗TNFα製剤による治療歴の有無別解析では、コセンティクス150mg 群のASAS20 反応率は、治療歴無しで68.2%、治療歴有りでも50.0%となり、いずれもプラセボ群の数値の倍以上となった。

国内第3相MEASURE2-J試験(H1301)では、30例の全被験者にコセンティクス150mgを投与した。主要評価項目に設定した投与16週時点のASAS20 反応率は70.0%、副次評価項目のASAS40反応率は46.7%で、海外試験と同等以上の効果が確認され、副作用についても、海外試験と同じ傾向であり、これまでのところ日本人特有の副作用は認められていないという。

亀田教授は、一般に、より難治性の患者が集められることになるため、何らかの治療で効きが悪かった人には次の治療も効きにくい傾向にあると解説、F2310試験で抗TNFα製剤の治療歴を有する群でもASAS20反応率が50.0%に達したことを評価した。ただし、「現時点では先に承認されたTNFα製剤の方が長期的な有効性、安全性のデータがより豊富であり優先される。今後抗IL-17抗体製剤のデータが豊富になり、比較試験で同等以上の結果が出れば当然逆転する」と付け加えた。

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