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■記者会見
1.NASH治療薬の開発、併用療法に期待-ギリアド日本法人:ルーク・ハーマンス社長-
■セミナー便り
1.イベニティは「強力な骨折防止効果がある」 -徳島大学藤井節郎記念医科学センター:松本俊夫顧問-
2.減酒は軽度アルコール依存症の治療目標になり得る-久里浜医療センター:樋口進院長-
■行政トピックス
1.オンライン診療の指針見直し検討会 3月25日 アフターピルのオンライン診療化へ前進

■記者会見
1.NASH治療薬の開発、併用療法に期待-ギリアド日本法人:ルーク・ハーマンス社長-

■セミナー便り
1.イベニティは「強力な骨折防止効果がある」-徳島大学藤井節郎記念医科学センター:松本俊夫顧問-
2.減酒は軽度アルコール依存症の治療目標になり得る-久里浜医療センター:樋口進院長-

■行政トピックス
1.オンライン診療の指針見直し検討会 3月25日 アフターピルのオンライン診療化へ前進

■記者会見

1.NASH治療薬の開発、併用療法に期待
-ギリアド日本法人:ルーク・ハーマンス社長-

ギリアド・サイエンシズ日本法人のルーク・ハーマンス社長は3月19日のビジネスアップデート会見で、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)治療薬の開発に関して「いつも自分が求めているような結果が出るとは限らないが、継続的にNASH領域で貢献していこうと思っている。様々な組み合わせで開発が進んでいる」と併用療法の開発に期待を寄せた。

ギリアドはNASH治療薬としてASK-1阻害剤セロンセルチブ、ACC阻害剤GS-0976、FXRアゴニストGS-9674の臨床試験を行っている。ただ、開発が最も進んでいるセロンセルチブについては19年2月に代償性肝硬変を呈するF4の患者を対象にした国際共同第3相STELLAR-4試験で主要評価項目を達成することができなかったと発表したばかり。

19年上半期に線維化のステージがより低い、架橋性線維化を呈するF3の患者を対象にした国際共同第3相STELLAR-3試験の結果が発表される予定だ。

表雅之開発本部長は会見で、STELLAR-3試験の結果を見て国内での申請を決定するとしたが、NASH治療薬は(1)複雑な病因(2)多様な患者層(3)ゴールが線維化の改善であること-が理由で成功までの「ハードルは高い」と語る。

現在、セロンセルチブ、GS-0976、GS-9674の組み合わせから最適な2剤併用療法を探し出す海外第2相ATLAS試験が進行中で、最適な組み合わせを発見した後、2剤併用療法の日本を含む国際共同第3相試験を実施する。

ATLAS試験の結果は19年下半期に発表される予定だ。ギリアドは最初の併用療法が承認される時期の見通しを23年としている。

HIV/AIDS領域の新薬であり、4月3日付で緊急薬価収載されたビクタルビ(ビルテグラビル/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミド)に関してハーマンス社長は「米国と欧州で普及が爆発的に進んでいる。この成功は日本でも繰り返されると信じている」と語った。

HIVの治癒を目指した広域中和抗体(bNAb)PGT121とTLR7アゴニストGS-9620の併用療法は、サルを対象とした前臨床試験で抗レトロウイルス療法中止後においてもSHIVウイルスRNAの増加抑制を示し、現在、第1相試験を準備中だ。ハーマンス社長は「C型肝炎を治癒することができた。HIVも近い将来、治癒が到来する時期がやってくると思っている」と述べた。

 

■セミナー便り

1.イベニティは「強力な骨折防止効果がある」
-徳島大学藤井節郎記念医科学センター:松本俊夫顧問-

徳島大学藤井節郎記念医科学センターの松本俊夫顧問は3月14日にアステラス・アムジェン・バイオファーマが開催した骨粗鬆症治療のメディアセミナーで、「ロモソズマブ(イベニティ)は多くの患者で骨粗鬆症の治療目標である骨折防止を達成するだろう」と語り、ロモソズマブへの期待感を示した。ロモソズマブは同セミナーに先立つ3月4日、骨折の危険性の高い骨粗鬆症治療薬として世界に先駆けて日本で発売された。

骨粗鬆症は破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成のバランスが加齢や閉経などで崩れることで骨強度が低下して骨折の危険性が高まった病態であり、治療の目標は骨折予防に設定される。骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015年版)では、治療と予防の目的は「骨折を予防し骨格の健康とQOLの維持改善を図ること」とされている。

松本氏から示された調査結果によると、一度骨折した後の再骨折リスクは、骨折していない人に比べて20年平均で2.1倍、とりわけ骨折から1年以内に限ってみると5.3倍と極めて高くなっており、再骨折の危険性が最も高い骨折後1~2年間のリスクを低減させることが重要になる。しかしロモソズマブ登場以前の治療薬ではそれはかなわなかったという。

従来の治療薬としては、骨吸収を抑えるビスホスホネート製剤(BP)や抗RANKL抗体デノスマブ、骨形成を促進する副甲状腺ホルモン薬テリパラチド等がある。これらの薬剤について松本氏は、BP製剤は服用方法に多くの制約があり、テリパラチドは一時的に骨形成が骨吸収を上回るものの、遅れて骨吸収も亢進させてしまい、両作用の差はおよそ2年で拮抗してしまうという問題点を挙げた。

デノスマブについては、1~2年で増える骨密度は腰椎で5~7%、大腿骨で3~4%程度であり、再骨折の危険性が最も高い骨折後2年以内の再骨折のリスクを低下させるには不十分との認識を示した。

今回上市されたロモソズマブは、骨芽細胞による骨形成を抑制し、破骨細胞による骨吸収を促進するスクレロスチンの機能を阻害することで、骨吸収抑制と骨形成促進の二重の効果が期待できるという。1カ月に1回、12カ月皮下投与するが、その後の再投与も限定的に認められている。

承認の基になった2本の第3相試験のうち、FRAME試験では、閉経後の骨粗鬆症女性7180人を対象に、最初の12カ月間はロモソズマブまたはプラセボ投与群に分けて投与し、その後の12カ月間は両群ともにデノスマブを投与した。

その結果、主要評価項目である12カ月および24カ月時点の新規椎体骨折発生率を、それぞれ73%と75%低下させ、有意差が認められている(ともにp<0.001)。

骨粗鬆症男性245人を対象にしたプラセボ対照のBRIDGE試験でも、主要評価項目である12カ月時点の腰椎BMD(骨密度)のベースラインからの変化率で、ロモソズマブ群12.1%、プラセボ群1.2%で有意な増加が認められている。

松本氏はロモソズマブを、骨折後1~2年の再骨折の危険性が最も高い時期から強力な骨量増加作用を示し、骨折予防という治療目標を多くの患者で達成できる強力な薬剤だと高く評価した。

安全性については、BRIDGE試験では重篤な副作用は認められていないが、FRAME試験では、ロモソズマブ群で顎骨壊死が2例(12カ月時点までに1例、24カ月時点までに1例)、非定型大腿骨骨折が1例認められたことについて、顎骨壊死、非定型大腿骨骨折のいずれも治療薬との因果関係がない状態で発生することがあると説明し、「大腿骨非定型骨折は1万人に2~3人ほどの確率で発生する。BP使用で1.5倍に増えるとすれば、7000例以上を組み入れたFRAME試験での1~2人の発生頻度は、薬剤によるものかどうかについての結論的なことが言える数ではない。因果関係は何十万人規模で使用されて検証されることだと思う」と述べた。

その上で、「大腿骨非定型骨折を起こした方は投与前から前駆症状として最も有名な骨折部位の痛みを訴えている。我々は薬で起こったことではないと思っている」と見解を示した。

 

■セミナー便り

2.減酒は軽度アルコール依存症の治療目標になり得る
-久里浜医療センター:樋口進院長-

大塚製薬は3月28日、アルコール依存症の現状と治療と題するセミナーを開催した。講演した国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長は「軽度のアルコール依存症では飲酒量の低減が最終目標になり得る」と飲酒量低減の意義について語った。

同社は3月5日に、日本初となるアルコール依存症患者における飲酒量低減治療薬セリンクロ(一般名ナルメフェン)を発売している。

アルコール依存症は、習慣的な多量飲酒により脳の機能が変化し、自分の意思ではお酒の飲み方をコントロールできなくなる疾患である。診断には世界保健機関が作成した国際疾病分類第10版(ICD-10)の診断基準などが用いられ、ICD-10の場合、診断基準の6項目中、過去1年間に3項目以上が同時に1カ月以上続いたか、または繰り返し出現した場合に診断される。

日本におけるアルコール依存症の生涯経験者は約107万人と推計されているが、厚生労働省の患者調査では、アルコール依存症の治療を受けている患者数は年間5万人弱と推計されており、治療を受けるべき人が治療を受けていない、いわゆる治療ギャップが存在しているという。

樋口氏は、依存症でも軽度の患者は受診しにくいこと、受診しても専門医療機関ではなく一般内科を受診しがちであることなどの問題があると語り、こうした治療ギャップを埋めるための取り組みとして、内科医との連携や専門医療機関の受診率向上などを挙げた。

専門医療機関の受診率向上には、断酒だけではなく、減酒のアプローチも取り入れることが有効であり、久里浜医療センターでは17年4月から減酒外来をスタートさせたことが紹介された。また一般医療機関でも軽症であれば対応できるようなガイドラインも作成したという。

2018年に発行されたこの新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドラインでは、アルコール依存症の治療目標は、原則的には断酒の達成とその継続であるとされている。そして、重症例や、明確な身体的、精神的合併症を有する場合、深刻な家族・社会的問題を有する場合には、治療目標は断酒とするべきであるが、患者が断酒に応じない場合などは、ドロップアウトを避けるために、まずは飲酒量低減を目標にする方法もあること、さらに、軽度の依存症では飲酒量低減も目標になり得ることが明記されている。

ナルメフェン(製品名セリンクロ)は、国内第3相試験において、主要評価項目である多量飲酒日数のベースラインから12週目への変化量を、プラセボと比較して統計学的に有意に減少させた(p<0.0001)。主な有害事象は悪心、鼻咽頭炎、不動性めまいなどだった。ただしそれらの多くは1週間程度と比較的早期に消失していることから、患者に事前に説明することで服用中断を避けることができるだろうという。

ガイドライン作成時、ナルメフェンは海外では既に承認されていたが、国内では未承認だった。そのためガイドラインでは、治療目標が飲酒量低減の場合の薬物治療として、ナルメフェンは「考慮する」の記載にとどまっている。

しかし樋口氏は「今では第1選択と変えても良いだろう」と言う。そして、従来はあまり薬剤を使わなかったという減酒外来において、ナルメフェンを使っていくだろうとも述べた。ドロップアウトが非常に大きな問題となっている依存症治療において、薬剤があれば処方を取りに来院することになるため、患者をつなぎ止める効果もあるということだ。

一方で、使用できる医師に制限が付いたことに対して「本来のこの薬剤の治療ターゲットからすると、処方できない医師が非常に多い。このままでは重症患者しか診ないような医師しか使えない状況になっている」との懸念を表明、自身が理事長を務める日本アルコール関連問題学会だけでなく日本アルコール・アディクション医学会も心配していると明かし、学会として厚生労働省に話をしていく考えであると述べた。

セリンクロの添付文書には重要な基本的注意として、アルコール依存症の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師の元で投与することとされており、使用上の注意解説には、「専門医療機関または専門医療機関との連携が可能な医療機関において、心理社会的治療を含むアルコール依存症治療が実施可能な体制」であること、「アルコール依存症の十分な診療および心理社会的治療の経験のない医師はそれらに関する講習会等に参加すること」などが求められている。

 

■行政トピックス

1.オンライン診療の指針見直し検討会 3月25日
アフターピルのオンライン診療化へ前進

厚労省は3月25日、「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」を開き、緊急避妊薬(アフターピル)のオンライン診療化について議論した。日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会から出された懸念に応える形で、厚労省は対応案を提示。委員からは、前向きに進めるべきとの意見も示され、次回以降、要件を詰めていく方向となった。

オンライン診療において初診は対面診療が原則だ。ただし、現行指針には、その例外(初診からオンライン診療が可能)として禁煙外来のみが明示されており、検討会では、これ以外に例示できるものがないか検討している。

前回の2月8日の会合で厚労省は、原則の例外として提案・要望等があった事例として▼男性型脱毛症(AGA)▼勃起不全症(ED)▼季節性アレルギー性鼻炎▼性感染症▼緊急避妊(薬)-を列挙。

このうち緊急避妊薬について「オンライン診療で初診から認めていく方向で考えてはどうか」(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの山口育子理事長)との意見があり、緊急避妊薬に限って専門家の意見を聞いた上で判断する方向性が決まった。

3月27日の会合に参考人として出席した日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会からはアフターピルのオンライン診療化に関して「完全に妊娠を阻止できるものではなく、異所性妊娠(子宮外妊娠)の心配もあり、フォローアップを専門の医師と対面で行うことが必要と考えるが、一定の期間後(約3週間が理想)に本当に受診してもらえるか多くの産婦人科医が心配している」「薬剤師の目の前で服用してもらって、説明をして同意書を取ってもらうことが必要である」などの意見が示された。

厚労省は検討会に「オンライン診療で緊急避妊薬が処方される際の課題と論点」を提示。▼繰り返しアフターピル処方を求める利用者に対しては、内服の確認を徹底するとともに、他の避妊方法の紹介や産婦人科受診勧奨を入念に行う。

▼知識不足や緊急避妊の失敗に対する懸念に対して、十分な知識を持った医師が説明を行い、近医産婦人科を紹介する等、3週間後の産婦人科受診の約束を取り付けること。

▼利用者が犯罪被害を受けた可能性がある場合に対して、最寄の警察署への相談を促す。未成年の場合は、児童相談所に通報する。同時にカウンセリングを実施する。

▼転売等のリスクに対して、医師は1回分のみの処方を徹底し、薬局で薬剤師の前で内服する等を推奨する-といった対応案を示した。

委員からは、「対象に被害者の方がいらっしゃることを考えると、前向きに進めつつ、必要なところは押さえていかないといけない」(山口育子氏)、「条件をどう設定して、どうクリアするかが大きな課題だと思う。具体的にそれを出していただき、これならば安心して進められるということを確認しながら、議論したらいいのではないか」(日本医師会の今村聡副会長)などの意見が示された。

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