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■記者会見
1.AD疾患修飾3剤、プレクリニカルでも開発へ-エーザイ:内藤晴夫CEO- 【注:アデュカヌマブは3月21日に第3相試験中止を発表】
2.2.6%増収、モダリティ多様化で組織改革を実施-ファイザー日本法人:原田明久社長-
■セミナー便り
1.単純疱疹に新治療「患者判断で早期内服」 -慈恵医大皮膚科:本田まりこ客員教授-
2.成人期の予防接種に国の抜本対策を求める -国立感染症研究所:大石和徳感染症疫学センター長-

■記者会見
1.AD疾患修飾3剤、プレクリニカルでも開発へ-エーザイ:内藤晴夫CEO-【注:アデュカヌマブは3月21日に第3相試験中止を発表】
2.2.6%増収、モダリティ多様化で組織改革を実施-ファイザー日本法人:原田明久社長-

■セミナー便り
1.単純疱疹に新治療「患者判断で早期内服」-慈恵医大皮膚科:本田まりこ客員教授-
2.成人期の予防接種に国の抜本対策を求める-国立感染症研究所:大石和徳感染症疫学センター長-

■記者会見

1.AD疾患修飾3剤、プレクリニカルでも開発へ
-エーザイ:内藤晴夫CEO-
【注:アデュカヌマブは3月21日に第3相試験中止を発表】

エーザイの内藤晴夫CEOは3月7日の記者懇談会でアルツハイマー型認知症(AD)疾患修飾剤3剤について早期ADより軽症のプレクリニカルADを対象にした第3相試験を実施すると発表した。

抗Aβ抗体アデュカヌマブはプレクリニカルADを対象にADの予防あるいは発症遅延効果を確認する第3相試験を準備中。主観的な認知機能変化の有無に関わらず脳内アミロイド病理が確認された患者を組み入れる予定だ。

BACE阻害剤エレンべセスタットはAD発症リスクを有する(遺伝的リスク因子のAPOE4があるなど)が、脳内蓄積Aβは陰性で認知機能障害のないプレクリニカルAD(ステージ1前段階に相当)を対象にした第3相試験の実施を検討中だ。

抗Aβプロトフィブリル抗体BAN2401は脳内蓄積Aβが確認されたプレクリニカルAD(ステージ1またはステージ2に相当)を対象とした第3相試験の実施を検討中。BAN2401に加え、エレンベセスタットを治療戦略に含めた可能性を検討する。例えば、BAN2401によってAβの蓄積を除去しエレンベセスタットによって蓄積のない状態を維持するといった治療シークエンスを想定している。

一方、現在実施中のこれらAD疾患修飾剤3剤の第3相試験については、トップライン結果が20年、21年、22年に発表される。内藤CEOは「3年連続で結果を出していきたい」と語った。

バイオジェンと共同開発中のアデュカヌマブは、早期AD対象の第3相ENGAGE/EMERGE試験の患者登録が18年7月に完了し、20年に主要評価項目CDR-SB(認知症の重症度を評価する全般臨床評価)の最終データを取得予定(注:3月21日に両社は独立データモニタリングコミッティによる主要評価項目達成の可能性が低いとの判断を受け入れ、第3相試験の中止を発表した)。エレンベセスタットの早期ADを対象にした第3相MISSION AD1/AD2試験は19年3月に患者登録が完了する予定で、21年に主要評価項目CDR-SBの最終データを取得予定だ。BAN2401は当局と合意した1本の第3相試験を19年3月に開始し、22年に主要評価項目の最終データを取得予定。内藤CEOは「BAN2401は第2相でコンセプトが立証されている。第3相でコンファーム(確認)すれば薬になる。薬づくりの最後の胸突き八丁の8合目から上辺りに来ている」とした。

AD疾患修飾剤3剤の成功と抗がん剤レンビマの価値最大化によって25年度のROE(自己資本利益率)は20%台になるとの見通しを示した。18年度のROEは10%を予定。

(元記事は2019年3月25日<通巻第1126号>掲載)

 

■記者会見

2.2.6%増収、モダリティ多様化で組織改革を実施
-ファイザー日本法人:原田明久社長-

ファイザー日本法人の原田明久社長は3月5日の定例記者会見で、18年度(17年12月~18年11月)売上げが4536億円(前年比2.6%増)となったと発表した。4月の薬価改定の影響は約6%だったが、17年12月発売の乳がん治療薬イブランスが業績を牽引した。会見で原田社長は「患者の生活を大きく変える唯一無二の医薬品を出す。それをしっかり実現できる会社にする」との方針を示した。

低分子化合物だけでなく、抗体医薬や遺伝子治療など様々なモダリティを開発し上市する計画の中、日本法人も新しいファイザーになるべく改革を進めるとした。

その一環として日本法人は1月に組織体制を変えた。イノベーティブヘルス事業部門はバイオファーマシューティカルズ事業部門に名称を変更した。傘下にはワクチン部門、オンコロジー部門、インターナルメディスン部門、希少疾病部門、炎症・免疫部門、病院部門を置いた。新設された病院部門はザイボックスやブイフェンドなど抗感染症薬を扱う。14年にアストラゼネカから取得したZavicefta(セフタジジムとアビバクタム)など耐性菌に対する抗菌薬の開発も進める予定だ。

エッセンシャルヘルス事業部門はアップジョン事業部門に名称を変更した。循環器、疼痛、精神疾患領域でファイザーを象徴する高品質で信頼性が高い16製品(リリカ、セレコックス、イフェクサーなど)を担当する。バイオシミラー(BS)はアップジョン事業部門では扱わない。18年12月発売インフリキシマブBSは炎症・免疫部門、18年9月承認取得(薬価基準未収載)トラスツズマブBSはオンコロジー部門が情報提供を行う。

日本法人の従業員数に関して原田社長は「現時点で適正規模と考えている」と語った。効率性の向上は、人員削減ではなく、時間依存労働からの脱却によって実現したいという。

パイプラインでは、メルクセローノと共同開発中の免疫チェックポイント阻害剤バベンチオ(アベルマブ)がキナーゼ阻害剤インライタ(アキシチニブ)との併用で腎細胞がん1次治療の適応で1月に承認申請を行った。上市後はインライタで培った情報提供網を活用する。後期開発品は、疼痛に対する抗体薬タネズマブ、急性骨髄性白血病に対するSMO阻害剤グラスデギブ、去勢抵抗性前立腺がんに対するPARP阻害剤タラゾパリブがそれぞれ第3相試験を実施中だ。

遺伝子治療薬は、海外では血友病Bで第3相、血友病Aで第2相、デュシェンヌ型筋ジストロフィーで第1相となっているが、日本では臨床試験準備中。ファイザーR&D合同会社の石橋太郎社長は、日本ではウイルスベクターを用いた遺伝子治療の治験を行う場合、治験前に、カルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)に基づく承認を得る必要があり「希少疾患は国際共同試験が第一選択だが、遺伝子組換え生物に関する姿勢の違いにより日米同じタイミングで開始できていない。現状では試験を開始する時点で半年から1年以上のラグが発生する」と話した。

 

■セミナー便り

1.単純疱疹に新治療「患者判断で早期内服」
-慈恵医大皮膚科:本田まりこ客員教授-

単純疱疹(口唇ヘルペス、性器ヘルペス)の再発を繰り返す患者にあらかじめ抗ヘルペスウイルス剤を処方しておき、初期症状が発現したら患者の判断で2回服用する治療法(Patient Initiated Therapy)が承認された。旭化成ファーマーマルホのファムビル(ファムシクロビル)に2月21日付けでPITの用法・用量が追加承認された。PITの承認は日本で初めて。

これを受けてマルホは3月6日に都内でメディアラウンドテーブルを開いた。講師の本田まりこ・東京慈恵会医科大学皮膚科客員教授(まりこの皮フ科院長)は、第3相試験でファムシクロビルPIT群はプラセボ群よりも有意に治癒までの期間を短縮したと紹介。「再発の初期に血中濃度を上昇させると、そこでウイルスの増殖がストップする。(従来法のように)5日間飲まずに済む」と期待感を示した。特に、性器ヘルペスにおいてプラセボ群との差が大きかったことを強調した。

本田客員教授によると、性器ヘルペスは、平均で年間9回再発するという。2006年にバラシクロビルに性器ヘルペスの再発抑制療法が承認されているが、これはPITではなく、1日1回または2回継続して服用するもの。そもそも「あまり知られていない。(レセプトを)審査する医師にも知られていないようだ」と指摘した。

ファムシクロビルのPITでは、あらかじめ処方された薬剤を、単純疱疹再発の初期症状(患部の違和感、灼熱感、そう痒など)の発現から6時間以内に1回、その12時間後にもう1回服用する。再発の初期に高用量(1回1000㎎)を服用することで、血中濃度を急峻に上昇させる。

本田客員教授は、PITの対象として▽年3回以上の再発がある▽再発の初期症状を正確に判断できる―といった患者を挙げた。PITの1回服用量は単純疱疹に対する既承認用量(1回250㎎)の4倍になるが、臨床試験で報告された副作用は傾眠や頭痛などで、問題にならないとの認識を示した。

 

■セミナー便り

2.成人期の予防接種に国の抜本対策を求める
-国立感染症研究所大石和徳感染症疫学センター長-

国立感染症研究所感染症疫学センターの大石和徳センター長は3月5日、日本製薬工業協会が開催した「生涯を通した予防接種を考える」と題したメディアフォーラムで講演し、成人を対象にした日本の予防接種施策に対して「その場しのぎにしか見えない」とコメント、「国として予防医学にどれだけ投資するのかというビジョンがないと先に進まない」と苦言を呈した。

予防接種には市区町村が主体となって実施する定期接種と、希望者が各自で受ける任意接種がある。定期接種の対象は、集団予防を目的とするA類疾病と個人予防を目的とするB類疾病に分類され、A類疾病は主に小児が対象だ。費用はA類、B類ともに市町村が負担し、実費徴収も可能とされている。

成人を対象とした予防接種としては、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンがB類に組み入れられている。75歳以上の高齢者に両ワクチンを併用接種した場合、1年後の肺炎罹患率を59.1%、肺炎治療にかかった医療費を65.7%低下させたとする研究結果も紹介された。特に高齢者や慢性疾患を有する場合はリスクが高くなることから、ワクチンで疾患を予防する感染防御抗体の産生が期待できる場合には予防接種が有効になるという。

しかし予防接種法に基づく接種勧奨(接種対象者への通知)があり、本人または保護者に接種努力義務が課され、多くの場合に全額公費負担で受けられるA類とは違い、定期接種化されているとはいえB類には接種勧奨も努力義務もないうえ接種費用には自己負担が発生する場合も多く見られ、期待するような接種率には達していないということだ。大石氏はそもそも予防接種が一番脆弱な小児を対象に始まったことなどから、どうしても小児が優先されがちになるという事情を説明し、「成人の接種率を引き上げるには、(予防接種法のこれらの)文言を変えた方が良い」と提案する。

現在流行を見せている風疹については、厚労省から、これまでに定期予防接種を受ける機会のなかった成人男性(現在39~56 歳)を対象に、2019~21年度の3年間で風疹抗体検査を実施し、抗体価の低い場合にMRワクチンによる定期接種(A類)を導入することが発表されているが、「本当に抗体検査をして接種まで持っていけるかというのが大きなハードルだ」と述べ、その実効性については楽観視できないとの見方を示した。

そして、今回のMRワクチンの定期接種化を含めた国の予防接種施策について、「今ある財政方針の中で少し切り崩して予防接種に当てている。その場しのぎと言ったら大変失礼だが、そのようにしか見えない。製薬協からも、次はこれだという先を読む仕事ができないと言われており、私も確かにそのように感じている」と指摘、「確かにイノベーションも大事だが、予防医学にどれだけ力を入れ、どれだけ投資するのかというビジョンがないと、簡単には先に進まないだろう」とも述べて、財政面での抜本的な対策の必要性を訴えた。

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