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■行政トピックス
1.バイオAG登場で先発品ネスプにG1/G2適用へ
■セミナー便り
1.薬局薬剤師「健康寿命の延伸にも活躍の場」-厚労省医薬・生活衛生局総務課:境啓満課長補佐-

■行政トピックス
1.バイオAG登場で先発品ネスプにG1/G2適用へ
■セミナー便り
1.薬局薬剤師「健康寿命の延伸にも活躍の場」-厚労省医薬・生活衛生局総務課:境啓満課長補佐-

 

■行政トピックス

1.バイオAG登場で先発品ネスプにG1/G2適用へ

中医協薬価専門部会は10月23日、腎性貧血治療薬ネスプ(ダルベポエチン)のバイオAGの取り扱いに関して議論し、その先発品(長期収載品)に対して、薬価を後発品の薬価をベースに段階的に引き下げるG1/G2ルールを適用する方向性で支払側と診療側の意見が一致した。

バイオ医薬品は、化学合成品とは製造に係るコスト構造や研究開発コスト等が異なることから、G1/G2ルールの対象から除かれている。

しかし、厚労省は、薬価専門部会に対し「ネスプのバイオAGが、化学合成品のように後発品として薬事申請されたことを踏まえて、関連する先発品(長期収載品)について、そのコスト構造や他のバイオ医薬品との差異等についてどう考えるか」との論点を提示し、意見を求めた。

診療側の松本吉郎委員(日医常任理事)は「バイオAGが薬価収載された場合は、先発企業としても先発品のシェアを減少させ、後発品に置き換わることを許容しているため、後発品の扱いと同様、先発バイオ医薬品をG1/G2の対象とした上で、その薬価を段階的に引き下げていくことで差し支えない」との考えを示した。

支払側の幸野庄司委員(健保連理事)は「G1/G2適用を検討していくことも必要と考える。また、後発品への置き換え率を見ながら、10年(後発品上市からG1/G2適用までの期間)を待つことなく薬価の差を縮小していくことを置き換え率によって検討していくことも必要と考える」と述べた。

ネスプのバイオAGは、中医協の暫定的な決定に基づき、先発品薬価の0.7倍の薬価がつき、19年6月に収載され、協和キリンの子会社の協和キリンフロンティアから8月5日に発売された。協和キリンが10月29日に発表した19年12月期第3四半期決算によると、7〜9月の先発品のネスプの売上げが前年同期比で73億円減の64億円だったのに対し、ネスプAGは発売約2カ月で56億円に達した。AGのシェアは、金額ベースで47%、薬価が0.7倍であることを加味した数量ベースで56%の計算になる。

また、11月の薬価収載が見込まれる、JCRファーマ、三和化学研究所、マイランEPDが承認を取得したネスプのバイオシミラー(BS)に対して、ネスプAGは強い競争力を発揮するものと見込まれる。さらに、ネスプAGの登場によって、中外製薬のミルセラ、JCRファーマのエスポーのBSなど、競合品の売上げにも今後マイナスの影響が出てくるものと予想される。

一方、腎性貧血治療薬の人工腎臓における取り扱いの議論も始まっている。診療報酬上、エリスロポエチン製剤、ダルベポエチン製剤は、透析技術料(人工腎臓)に包括化されているが、厚労省は10月9日の中医協総会に、バイオ後続品等の実勢価格も踏まえた評価の見直しを行うとともに、9月に承認され、11月の薬価収載が見込まれるHIF-PHD阻害薬エベレンゾ(ロキサデュスタット)を使用する場合の新たな診療報酬点数の評価体系を設けることについて意見を求めた。

診療側の有澤賢二委員(日薬常務理事)は「HIF-PHD阻害薬は内服薬であるため、当然薬局で処方される機会が増える。そういった観点から、新たな診療報酬の評価体系においては、人工腎臓における腎性貧血の治療については別途設けるべきである」と発言。

幸野委員は「包括評価しているダルベポエチン製剤については、後発バイオ医薬品が出ているので、実態に見合った評価に変えるべきである。新たに収載されるHIF-PHD阻害薬を包括にするのであれば、それに見合った点数にすべきである」と述べた。

 

■セミナー便り

1.薬局薬剤師「健康寿命の延伸にも活躍の場」
-厚労省医薬・生活衛生局総務課:境啓満課長補佐-

厚労省医薬・生活衛生局総務課の境啓満課長補佐は10月25日、検体測定室連携協議会主催の世界糖尿病デー・健康啓発セミナー2019で、健康サポート薬局について講演した。

団塊ジュニア世代(1971~74年生まれ)が65歳以上になる2040年に向け、「誰もがより長く元気に活躍できる社会」を実現していく中、薬局薬剤師の役割について「一つは、健康寿命の延伸で、非常に活躍できるところがあるのではないかと考えている」と語った。

境課長補佐によると、かかりつけ薬剤師とは「日頃から患者と継続的に関わることで信頼関係を構築し、薬に関していつでも気軽に相談できる薬剤師」のこと。

健康サポート薬局は「かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を有し、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する薬局」のことをいう。都道府県知事等に届出を行い、薬局機能情報提供制度に基づき公表されている。2016年10月から届出が開始され、19年9月30日現在、全国で1567軒となった。

健康サポート薬局の積極的な支援とは(1)医薬品や健康食品等の安全かつ適正な使用に関する助言(2)地域住民の身近な存在として健康の維持・増進に関する相談を幅広く受け付け、適切な専門職種や関係機関に紹介(3)率先して地域住民の健康サポートを実施し、地域の薬局への情報発信、取組支援も実施-である。

境課長補佐は、実際の取り組み事例として、健康サポート薬局が(1)健康フェアやお薬・栄養・介護相談会(薬剤師・管理栄養士がコラボレーション、病気や食生活に関する話題の提供や相談会の実施)(2)ロコモ活動教室やちょっとそこまで歩こう会(薬局に地域住民が集まり、看護師なども同行しながらウォーキングなどを実施)(3)1日薬剤師体験(地域の子供たちが薬の作り方や薬剤師の仕事など薬局の裏側を体験)(4)出前講座(薬剤師による「いまさら聞けないお薬の疑問」など地域住民向け講座の実施)(5)健康通信(季節に合わせて健康や疾病予防に関する情報を発信)-などさまざまなイベントや情報提供を実施していることを紹介した。

さらには健康サポート薬局における受診勧奨が早期治療につながった事例も紹介した。このケースでは、患者が塗り薬を求めて薬局を訪れた際、症状を聞いた結果、帯状疱疹の可能性を考慮し、受診勧奨した。その後、患者が抗ウイルス薬の処方箋を持参し、帯状疱疹であったことを確認した。

その上で境課長補佐は「もともと過去何十年も前に商店街あたりでこういったことをやっていたという話をよく聞くが、医薬分業が進む中で、こういったところが少なくなってきた」と指摘。健康サポート薬局を推進することで「安心して立ち寄りやすい身近な存在となっていただきたい」と話した。

なお、平成30年度かかりつけ薬剤師・薬局機能調査・検討事業「かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査報告書」の患者調査結果によると、健康サポート薬局について知っている人は、全体の19.6%だった(n=5081)。

境課長補佐は、健康サポート薬局の周知や利用促進に向けた取り組みに関して、10月17日~23日の薬と健康の週間において、知っておきたい薬の知識というパンフレットの中に「健康サポート薬局を知っていますか?」という部分を盛り込み、広報活動を行ったとした。

健康サポート薬局は看板などで確認できる他、インターネット(薬局機能情報提供制度)からも探すことができる。

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