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■セミナー便り
1.高齢者の過活動膀胱「β3作動薬が第一選択」-国立長寿医療研究センター:吉田正貴副院長-
2.「アカデミアへの支援を強く望む」-国立国際医療研究センター研究所:満屋裕明研究所長-
3.MD領域での遺伝子治療薬の登場に期待-国立精神・神経医療研究センター:小牧宏文氏-

■セミナー便り
1.高齢者の過活動膀胱「β3作動薬が第一選択」-国立長寿医療研究センター:吉田正貴副院長-
2.「アカデミアへの支援を強く望む」-国立国際医療研究センター研究所:満屋裕明研究所長-
3.MD領域での遺伝子治療薬の登場に期待-国立精神・神経医療研究センター:小牧宏文氏-
 

■セミナー便り

1.高齢者の過活動膀胱「β3作動薬が第一選択」
-国立長寿医療研究センター:吉田正貴副院長-

国立長寿医療研究センターの吉田正貴副院長(泌尿器外科部長)は2月28日、キョーリン製薬HDとキッセイ薬品共催の過活動膀胱(OAB)治療薬べオーバ(一般名ビベグロン)のメディアセミナーで「高齢者の多剤服用や抗コリン負荷を考えると、β3アドレナリン受容体作動薬をファーストチョイスで使った方が良い。その中でミラべグロンかビベグロンかは先生次第だ」とした。

OABは尿意切迫感(突然起こる我慢できないような強い尿意)を主症状として、頻尿をしばしば伴い、切迫性尿失禁(尿意切迫性に伴う尿失禁)はあってもなくてもよいという症状症候群。OAB治療薬が処方された患者の実態調査では、患者1万2882人のうち83.1%が65歳以上、平均年齢は74.0歳だった。治療薬には抗コリン薬とβ3アドレナリン受容体作動薬があり、どちらも第一選択薬の位置付けだが、日本老年医学会の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」や厚労省の「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)について」を受けて、OAB治療でも高齢者の現状を踏まえた治療のあり方を考える必要があるという。吉田副院長は「一般臨床ではβ3アドレナリン受容体作動薬をファーストチョイスに使っている先生が増えてきている状況だ」と語った。

β3アドレナリン受容体作動薬は11年9月発売のアステラス製薬のベタニス(ミラべグロン)1剤だけだったが、18年11月にべオーバが発売された。べオーバは国内第3相試験で主要評価項目の1日平均排尿回数など全ての排尿パラメータでプラセボ群に対して有意な改善を示した他、患者のQOLを評価するキング健康調査票(KHQ)では全ての項目でプラセボ群に対して有意な改善を示した。PRO(患者報告アウトカム)であるPGI(ペイシェント・グローバル・インプレッション)による自覚的改善度の有効改善割合もプラセボ群に対し有意に高かった。吉田副院長は「KHQで全ての項目を正常化する薬剤は少ない」とコメントした他、PGIでの評価に関して「患者の満足度は高いのではないか」とした。安全性では「副作用であったりとか心血管系の副作用についても特に問題はなかった」と語った。

既存薬との違いについては「ミラべグロンとほとんど同等の効果であったり副作用であったりかなと思うが、直接比較の試験がないので分からない。ただ、この薬剤(ビベグロン)は相互作用が少ない。今後の展開を見守りたい」とした。

 

■セミナー便り

2.「アカデミアへの支援を強く望む」
-国立国際医療研究センター研究所:満屋裕明研究所長-

国立国際医療研究センター研究所の満屋裕明研究所長は2月26日、日本記者クラブ主催の講演会で「アカデミアへの国家的・政策的・国民的なサポートの一層の強化が強く望まれる」と語った。抗HIV薬だけでなく、遺伝子治療薬やiPS細胞などを利用した再生医療など、アカデミアは、困難でリスクの高い領域において、予防法や治療法の確立につながる努力をこれからも続けていくとした上で、こうしたアカデミアの研究者に対する支援体制の強化を求めた。

満屋研究所長はNIH(米国国立衛生研究所)で、それまで治療薬がなかったHIV感染症/AIDSに対して、世界で初めての治療薬となる核酸系逆転写酵素阻害剤AZT(ジドブジン)を開発した。その後もddI(ジダノシン)、ddC(ザルシタビン)、プロテアーゼ阻害剤ダルナビルを開発した。

講演で満屋研究所長は世界で初めての抗HIV薬の開発に成功した理由について「やろうという意志」を挙げた他、NIHの潤沢な研究開発予算や研究者に対するサポート体制を挙げ「NIHでなければできなかった」と振り返った。

一方、国内でも世界的に意味のあるイノベーティブな治療薬の開発は可能であるとして、ヤマサ醤油との共同研究により生まれたEFdA/MK8591を好例として挙げた。同剤は米メルクに導出され、現在第2b相を実施中だ。満屋研究所長は「HIV感染症とAIDSに対する治療と感染予防(PrEP)の領域でゲームチェンジャーになる可能性が大きい」と期待を語った。現在は新規プロテアーゼ阻害剤KU-241/GRL-142に注力しており、新規抗HIV薬の研究開発を続けている。

 

■セミナー便り

3.MD領域での遺伝子治療薬の登場に期待
-国立精神・神経医療研究センター:小牧宏文氏-

ファイザーとRDD日本開催事務局が共催した2月27日の筋ジストロフィーに関するメディアセミナーで国立精神・神経医療研究センターの小牧宏文トランスレーショナル・メディカルセンター長は「米国を中心に遺伝子治療がどんどん進んできて、筋ジストロフィーの領域でも間もなく試す時代が来そうな状況だ。非常に私も期待している」と語った。

これは2月28日のRare Disease Day(世界希少・難治性疾患の日)を前に開催されたイベント。ファイザーは希少疾患領域でデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を対象にした遺伝子治療薬PF-06939926の米国第1相を実施中。日本でも臨床試験を準備中だ。

筋ジストロフィーは筋線維組織の壊死が再生を上回るために徐々に筋肉量が低下していく進行性の慢性疾患で、運動機能障害、呼吸機能障害、嚥下障害、心筋障害など様々な機能障害を起こし得る全身性の疾患だ。2015年に日本で指定難病に追加され、難病情報センターによると、有病率は10万人に17〜20人と推計されている。

日本における新薬の臨床開発促進を目指した神経・筋疾患患者登録サイトRemudyには、19年1月末でDMDの患者が1820人登録している。

小牧氏は講演の中で、筋ジストロフィーの治験のあり方について、自然歴データを活用し、プラセボ群を置かず、治験参加者全員に実薬を投与する方法を提案した。希少疾患領域の治験を考える上でホットな課題だとした。

というのも、プラセボ対照二重盲検試験は、治験参加者を実薬投与群とプラセボ投与群に分け、参加者、医療者を含め、期間中、どちらが投与されているか分からない形で評価する。

筋ジストロフィーはゆっくりと進行するので、1年〜1年半の治験で有効性を見いだすことは難しい。治験の期間を5年〜10年にすれば有効性を見いだしやすくなる。ただ、小牧氏は「5年間プラセボかもしれない治験に患者さんは入りたくないと思う」と指摘。

そのため、対照群として、別の研究などで得られた自然歴データを活用し、プラセボ群を置かず、参加者全員が実薬を投与し、長く治験を行いやすくする必要があるとした。

さらには過去に中止した筋ジストロフィー治療薬の治験で、10歳の参加者から「6分間歩行よりも普段の生活で薬の効果を実感できることが多かった。薬の効果を確認するには、もっと生活の動きやパターンに合わせた方が良いと思う」という手紙をもらったことを紹介。筋ジストロフィー治療薬の有効性を評価する項目には(1)筋機能(6分間歩行、起立時間など)(2)筋力(3)筋肉量(4)ADL(日常生活動作)(5)活動量、疲労性(6)呼吸機能、心機能(7)QOL(8)生存-などあるが、生活の動きやパターンに合わせた評価項目として何が良いのか現在も試行錯誤しているとした。

セミナーではファイザーR&D合同会社のクリニカル・リサーチ統括部希少疾患領域の小林美穂子部長が「十分な治療法がない血友病、筋ジストロフィーの患者さんに一日でも早く届けられるように遺伝子治療の開発に注力する」と強調。また、患者中心の医薬品開発の取り組みとして、18年10月に「患者さんと一緒に治験を考える〜ペイシェント・ジャーニー・ワークショップ〜」を開催。筋ジストロフィー患者5人、患者の家族5人、担当医2人、ファイザー開発担当22人が参加し、患者から治療、検査、通院の他、様々な悩みや不安、通院を始めたきっかけから現在までのことなどを聞き、患者について理解を深めたという。

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