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■行政トピックス
未承認薬・適応外薬検討会議 11月16日 タミフルDS、1歳未満の使用が保険適用へ
■セミナー便り
1.ワクチン・血液製剤TF顧問の提言を高く評価-EFPIA Japan:江島伸一バイオロジクス委員長-
2.多発性骨髄腫の治癒が見えてきた-日赤医療センター:鈴木憲史氏-
3.お薬手帳を正しく活用して-国際医療福祉大:土屋文人特任教授-

■行政トピックス

未承認薬・適応外薬検討会議 11月16日
タミフルDS、1歳未満の使用が保険適用へ

厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」は11月16日、インフルエンザ治療薬タミフルドライシロップについて、1歳未満の新生児・乳児への用法・用量の追加を承認するのに、メーカーに新たな臨床試験の実施を求めないことを決めた。海外の状況や国内調査結果から有効性・安全性は「公知」と判断したもの。

現行のタミフルDSの添付文書には「1歳未満の患児(低出生体重児、新生児、乳児)に対する安全性および有効性は確立していない」との記載があり、保険が適用されない。

このため日本感染症学会、日本小児感染症学会、日本新生児成育医学会が、メーカーによる開発を希望。これを受け同検討会議では「医療上の必要性が高い」と判定し、中外製薬に開発を要請した経緯がある。これに対し中外製薬は公知申請を希望。同検討会議では、すでに米国、欧州、オーストラリアで承認されていること、国内使用実態調査結果などに鑑み、それを認めた。

今後、薬食審医薬品第二部会における事前評価でも、公知申請が妥当と判定された段階で保険適用となる。

追加される1歳未満の新生児・乳児への用法・用量は、海外に合わせて「通常、1回3mg/kgを1日2回、5日間、用時懸濁して経口投与する」となる。これは現行の1歳以上の幼小児への投与量(1回2mg/kg)より多くなっている。

 

■セミナー便り

1.ワクチン・血液製剤TF顧問の提言を高く評価
-EFPIA Japan:江島伸一バイオロジクス委員長-

EFPIA Japanバイオロジクス委員会は11月17日、記者会見を開催し、同委員会の江島伸一委員長は10月に公表されたワクチン・血液製剤産業タスクフォース顧問からの提言について、「我々の提言要望が多く反映され、高く評価している」と述べた。EFPIA Japanはワクチンでは 1.グローバルサプライチェーンの提案 2.規制要件の国際的調和-の2点を要望。血液製剤では、血漿分画製剤事業がグローバル化の観点で議論されることなど5点を求めていた。

会見ではさらに今回の提言が確実に実行されることを求めた。江島委員長は10月18日の塩崎恭久厚生労働大臣の発言を引き合いに出し、「実現に向けて厚生労働大臣がやりましょうとコミットメントを表明している。この言葉を受け止めてEFPIAとしてもこれらに協力したい」と語った。

ワクチンについては、バイオロジクス委員会ワクチン部会の本田淳部会長が「我々として一番貢献できるのはワクチンの供給だと思う。日本国内で1社でしか供給されていない製剤があったとして、これと同じ感染症のワクチンを海外から供給する。国内は自然災害が多いので、そういう時に備えることができる」とし、「08年に我々がワクチンギャップの見解を発表して、09年にH1N1インフルエンザの世界的流行があった。それをきっかけに輸入ワクチンの承認や定期接種がどんどん進んできたように、今回の様々な問題をきっかけにさらなる進展を期待する」と述べた。

血液製剤については、バイオロジクス委員会血液製剤部会の宮川真琴アドバイザーが「製造・供給能力確保策の検討、原料血漿確保策の検討、製剤にいつでもアクセスできる体制の確保の3つの領域に分けて議論しないといけない」と提案。これら3つで新たな検討会を設立するのと合わせて関係する個々の企業の経営幹部と当局が非公開で個別協議を行うことを求めた。

 

■セミナー便り

2.多発性骨髄腫の治癒が見えてきた
-日赤医療センター:鈴木憲史氏-

ブリストル・マイヤーズスクイブは11月21日、再発難治性の多発性骨髄腫治療薬エムプリシティ(一般名エロツズマブ)のメディアセミナーを開催し、日本赤十字社医療センター骨髄腫・アミロイドセンター長の鈴木憲史氏が講演した。

講演では治療選択肢の増加によっていかに生存期間が延長したかを説明。1980年頃まではMP療法(メルファランとプレドニンの併用療法)しかなく全生存期間(OS)は3年程度であった。そして新三役と呼ばれるベルケイド(ボルテゾミブ)、サリドマイド、レブラミド(レナリドミド)が発売されてOSは5年近くに、さらにカイプロリス(カルフィルゾミブ)、ポマリスト(ポマリドミド)が登場し、7年近くにまでなった。

そして、今回、多発性骨髄腫治療薬として初の抗体薬エムプリシティが承認を取得した。「こうした治療選択肢を上手く使って何とか治癒に持っていくことができないかどうかというのが、いま我々が考えている戦略だ」と述べ、「エロツズマブ、来年あたりに出てくるダラツムマブを上手く使うことで恐らくある一定の数は治ってくるだろう」と展望を語った。

エロツズマブは抗SLAMF7抗体で、骨髄腫細胞表面のSLAMF7と結合することで細胞死を招くプロセスと、NK細胞の表面のSLAMF7と結合することでNK細胞が活性化して骨髄腫細胞を攻撃するといったプロセスの両方で作用する。鈴木センター長によると「SLAMF7は約95%の患者に発現している。これが重要で、まったく効かない人はいない。多発性骨髄腫は成熟分化したタイプと未熟なタイプがあったが、どちらにもよく効くというのが特長」という。一方、安全性では「SLAMF7はNK細胞やごく一部のT細胞に発現していて、それ以外の臓器にSLAMF7はないので副作用が少ない」と話した。抗CD38抗体のダラツムマブはヤンセンファーマが国内第3相を実施中だ。

講演ではさらにエムプリシティの初発の患者への適応拡大への期待を語った。これは現在国際共同第2相試験を実施中である。「初回治療をやって深い寛解に入ることはないので、地固めというのをやる。そこの中に入れた方が有効性が高いと思う。ホスト側の免疫機能がしっかりあるし、そうした免疫をサポートする薬はそういう時期が良いのではないか。まずは再発・難治で使い慣れて、将来的にはそういうところに使えればいい」と話した。

 

■セミナー便り

3.お薬手帳を正しく活用して
-国際医療福祉大:土屋文人特任教授-

国際医療福祉大学薬学部の土屋文人特任教授(日本病院薬剤師会副会長)は、中外製薬が11月9日開催したセミナーで「育薬における薬剤師の役割と製薬企業がなすべきこと」と題する講演を行い、薬剤師にRMP(リスクマネジメントプラン)の理解と活用を呼び掛けるとともに、「今こそ、お薬手帳の正しい普及をもう一度行う必要がある」と訴えた。

2014年に改正された薬事法(医薬品医療機器法)では、「国民は、医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効性および安全性に関する知識と理解を深めるよう努めなければならない」と国民にも求めたため、製薬企業にとって、国民がこうした情報を適切に把握できるように、提供する情報の質が一層問われるようになった。一方で、同じ年に改正された薬剤師法では、「情報提供義務」から「情報提供および指導義務」に変更になった。

さらに土屋氏は、効き目が鋭い薬剤の増加や、添付文書に記載がない有害事象の発生などを挙げ、「薬剤師の役割が大きく変化してきている」と述べ、RMPの理解および活用が重要と指摘。薬剤師は、患者との対面業務のなかで、副作用や有害事象などを発見、確認し、製薬企業およびPMDAに報告することが重要であると強調した。

土屋氏はまた、お薬手帳の意義について言及。投薬している薬剤のシールを貼るだけになっている観があり、本来のメリットである患者が記録するという点が生かされていないと指摘。本来の姿に立ち返って活用することが不可欠と強調した。

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