特ダネ+
特ダネ情報を独自のアンテナでお届け
製薬企業の記者会見やセミナー情報、行政関連情報などを国際医薬品情報からの提供記事として配信。
提供:国際医薬品情報 編集部

facebook facebook

■行政トピックス
1.中医協薬価専門部会 1月11日 「効能追加時点」の薬価見直しも検討課題に
2.中医協総会 1月11日 18年度改定に向け「在宅医療」から議論に着手
■記者会見
1.薬価制度抜本改革論議に積極参画を表明 -製薬協:畑中好彦会長-
■セミナー便り
1.インバウンド減速も25年2兆円市場は「達成可能」-日本OTC医薬品協会:杉本雅史会長-
2.偽造品流通に「大変なショック」-日本保険薬局協会:中村勝会長-
3.リフキシマ「最初から使われることも十分考えられる」-大阪市立大学肝胆膵病態内科学:河田則文教授-

■行政トピックス

1.中医協薬価専門部会 1月11日
「効能追加時点」の薬価見直しも検討課題に

中医協薬価専門部会は1月11日、昨年末にまとまった政府の「薬価制度抜本改革基本方針」を踏まえ、個別課題の検討に着手した。第1回目は、厚労省が来年度早い時期からの実施を目指している「効能追加等に伴う市場拡大への対応」をテーマに議論。市場拡大の実績を踏まえた薬価見直しだけでなく、市場拡大の実績を待つことなく、効能追加が承認されるまでの間に薬価を見直すことを含め、両にらみで検討を続ける方向になった。

「効能追加等に伴う市場拡大への対応」は、「これまでの市場拡大再算定、特例拡大再算定では、柔軟に対応できていない」との批判に応えるもので、オプジーボ高薬価問題の延長線上にある課題。厚労省はオプジーボで取ったような薬価緊急引き下げ措置を繰り返すことがないようにルールづくりの必要性を訴えてきた。こうしたことから、政府の基本方針には、「効能追加等に伴う一定規模以上の市場拡大に速やかに対応するため、新薬収載の機会を最大限活用して、年4回薬価を見直す」ことが盛り込まれ、具体的なルールづくりは中医協に引き継がれた。

この日の薬価専門部会で、厚労省は検討課題として1.対象となる医薬品の範囲 2.薬価引き下げ方法 3.販売数量の把握 4.制度の導入時期 5.留意すべき点(研究開発意欲、在庫価値)-の5項目を提示。中でも委員の意見は1.と3.に集中した。

対象となる医薬品の範囲について厚労省は、効能追加等に伴う一定規模以上の市場拡大がなされた医薬品については1.薬理作用類似薬がなく、新たな医薬品市場が拡大するケース 2.競合品との市場獲得率を変化させているだけで医療保険財政への影響がほとんどないケース-の2つがあると指摘。

これに対し支払側の吉森俊和委員(協会けんぽ理事)は「現行の市場拡大再算定とその特例に該当するものは最低限対象とすべき。競合品との市場獲得率を変化させているだけで医療保険財政への影響がほとんどないケースでは、留意事項通知などによって微妙に市場が違う場合など、完全に同一視できるかどうか、ていねいに検討しなければいけない」と述べた。

診療側の松原謙二委員(日医副会長)は、「医薬品AとBが合計で1000億円を超えるようになった場合には、財政に負担をかけるということで、そのような観点からも十分に検討しなければならないということ」と厚労省の意図を解説。「そういった視点は大切であり、全部で1000億円であれば適用するのか、500億円と500億円であれば適用しないと考えるのか、十分検討した方がよいと思う」と続けた。

専門委員の加茂谷佳明氏(塩野義製薬常務執行役員)は「今回の議論の発端は、国民皆保険の維持であり、競合品との市場獲得率を変化させているだけで医療保険財政への影響がほとんどないケースについては、もとより対象から除外されるべきものと認識している」と主張した。

一方、販売数量の把握について厚労省は、NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)の活用を提案。「日本全国のレセプトに基づくという高い悉皆性があり、再算定を行う立場から公的なデータを活用する方が適切」(中山智紀薬剤管理官)と提案理由を説明した。

これに対して、両側の委員から、1.NDBを活用してどの程度のスケジュール感で販売数量を把握できるか 2.IMSのデータを活用する方が、膨大なNDBデータを分析するよりはるかに効率的ではないか-といった質問があり、厚労省では、スピードや費用について整理して次回以降に提示すると回答した。

このほか、この日の会合では、市場拡大の実績を踏まえた薬価見直しだけでなく、効能追加時点での薬価見直しが検討課題に浮上。これは中川俊男委員による「オプジーボでは、悪性黒色腫から非小細胞肺がんの効能追加が承認されて、自動的に薬価収載されている。その仕組みこそが、これだけの大問題に発展したと思わないか」との問題提起を受けたもの。

さらに中川委員は「オプジーボは効能効果を追加した薬事承認の時点で、新薬と同じような取り扱いにすべきではなかったか。自動的に薬価収載ではなく、最適使用推進GLも併せて、中医協で最終的に効能効果の追加を承認するという仕組みにすべきではないか」と提案。

中山薬剤管理官は「一定の手続きを経て、効能追加が承認されるまでの間に見直すべきということがあり得るかということも議論の俎上に載せるべきだろうということだと思うので、検討させてほしい」と引き取った。

 

■行政トピックス

2.中医協総会 1月11日
18年度改定に向け「在宅医療」から議論に着手

次回18年度診療報酬改定に向けた中医協での議論が1月11日スタートした。初回のテーマは在宅医療。この日は主に医師と他職種の連携やICT(情報通信技術)の活用といった効率性の確保の視点、地方と都市の地域差の視点から意見が交わされた。

前回16年度診療報酬改定における在宅医療(その1)の議論は15年2月にスタート。その際、厚労省は論点として「在宅医療の質と量を確保して、患者のニーズに応えることができるよう、様々な患者の状態、医療内容、住まいや、提供体制を踏まえた評価のあり方についてどう考えるか」と問い掛けていた。

結果的に16年度改定は、「在宅患者の重症度」「単一建物の診療患者の人数」「1カ月当たりの訪問回数」に応じた細やかな評価の導入と、在宅医療の提供体制を補完する観点から在宅医療を専門に行う診療所の容認(要件設定)-が柱になった。

今回18年度改定に向けて厚労省が提示した論点は、「在宅医療の質と量はもとより、効率性も確保しつつ、多様化する患者のニーズに応えることができるような新たなサービス提供のあり方や、地域の状況、個々の患者の状態、医療内容、住まい・住まい方等を踏まえた評価のあり方についてどう考えるか」というもので、「効率性」「新たなサービス提供」「地域の状況」のキーワードが加わった。

意見交換で、支払側の幸野庄司委員(健保連理事)は「在宅医療の需要が増える今後の環境下、それを支える医療資源は限られており、いかに効率化していくかが必要」と指摘。その上で、厚労省が提示した資料「訪問診療対象患者の疾患・医療行為について(n=2681)」では、「健康相談」「血圧・脈拍測定」「服薬援助・管理」にのみ該当が46%に上っている点を挙げ、「薬局や訪問看護ステーションといったコメディカルのスタッフが対応できないか。医師は本当に診察すべき患者を診るという対応が必要ではないか」と問題提起した。

また、幸野委員は「今後の検討に当たっては、対面ではなく、遠隔的な診療を行うといったICT化時代に対応したサービス体系を考えていく必要がある」と提案。

関連して花井十伍委員(日本労働組合総連合会委員)は「医師、歯科医師、看護師、薬剤師といった専門家の連携体制の評価を考えていく必要がある。そこにツールとしてICTが徐々に浸透し、うまく組み込まれれば新しい在宅医療が構築できるのではないか」と述べた。

論点にキーワードとして掲げられた「地域の状況」をめぐっては、「都市型の在宅医療と、そうでない在宅医療では当然配慮すべきだと思う」(万代恭嗣日本病院会常任理事)、「過疎の地域では雪が酷く、往診や訪問診療に行けない事態もある。遠隔診療が有益な地域であれば使えばいいし、過疎地では在宅医療が広げられなくて困っているため、いろんな場合を想定して広く議論していきたい」(猪口雄二全日本病院協会副会長)との意見が示された。

中川俊男委員(日医副会長)は、16年度改定で開設が認められた在宅医療専門診療所について、「在宅医療は日本の地域包括ケアシステムの構築に関して最重要課題であり、在宅専門の、ということに関しては、次の改定では神経質なくらい慎重な議論を進めていく必要がある」と述べた。

 

■記者会見

1.薬価制度抜本改革論議に積極参画を表明
-製薬協:畑中好彦会長-

製薬協の畑中好彦会長(アステラス製薬社長)は1月17日の定例会長記者会見で、「昨年は高額薬剤が社会的関心事となり、薬価・薬剤費をめぐる議論が一段と高まり、製薬業界の在り方が問われる1年だった」と振り返り、年末にまとまった政府の薬価制度抜本改革基本方針を受け、中医協で具体化に向けた議論が始まったことを踏まえ、「様々な課題に対する議論へ積極的に参画していく」と表明した。

畑中会長は、今後本格化する薬価制度抜本改革論議に臨む製薬協の基本姿勢について、「まずは新薬が適切に評価されるところを重視して考えていく。新薬収載時のイノベーションの評価、また新薬創出等加算について予見性が高い、長期の研究開発投資を実現可能にする制度とすることをベースに提言していく」と説明。

その上で、基本方針には、「全品を対象に毎年薬価調査を行い、その結果に基づき薬価改定を行う。具体的な内容について17年中に結論を得る」と盛り込まれたが、「イノベーションの創出や医薬品の安定供給、診療報酬体系とのバランス等の観点から、慎重かつていねいな議論が必要」と指摘した。特に中間年の薬価改定の対象品目について「もともと毎年改定に反対してきた立場もあり、可能な限り対象を絞り込むような方向を提言していきたい」と述べた。

また、基本方針には、中間年の薬価改定の対象品目を「価格乖離の大きな品目」とすることや、「新薬創出等加算制度をゼロベースで抜本的に見直す」と明記されたが、これらに対する製薬協の考え方については「今こういう形にすべきと言うのは時期尚早」「ゼロベースという言葉がどこまでの何を指すのか十分理解しきれていない」などとし、明言を避けた。

米国では、トランプ大統領が1月11日の当選後初の記者会見で製薬業界に厳しい見方を示したり、1月17日には英国のメイ首相がEU離脱計画を発表したり、世界的に製薬業界を取り巻く環境は不透明感を増している。畑中会長は「医療保険制度の持続性と新薬へのアクセス・評価のバランスをどう取るかが各国共通の課題となっている。我々は新薬を出し、それを幅広い患者に適正な価格でどう届けていくかをグローバルマーケットで考えていくことが必要」と指摘。

「確かに価格、償還という意味で予見性は低くなっているが、日本の先駆け審査指定制度、米国のブレークスルーセラピー制度、欧州のPRIME制度の創設や、条件付き承認を認めていこうという意味では、新薬を出し続ける限り、私自身は楽観視している。価値のあるものさえ出していけばさまざまな形でステークホルダーと交渉できる」との認識を示した。

 

■セミナー便り

1.インバウンド減速も25年2兆円市場は「達成可能」
-日本OTC医薬品協会:杉本雅史会長-

日本OTC医薬品協会の杉本雅史会長(武田薬品ジャパンコンシューマーヘルスケアビジネスユニットプレジデント)は1月16日、新年記者会見で「円高で日本での買い物にお買い得感が少なくなったこと、業者買いが減少したことにより、インバウンド需要は低迷している。加えて、夏場の天候不良、秋口の高い気温といった気候変動が影響し、OTC市場は昨年より若干厳しい。が、着実にフォローの風が吹いている。年率5%成長で2025年に市場規模を現在の倍となる2兆円にすることは達成可能だ」と市場見通しを語った。

杉本会長は市場拡大の要因として政府の日本再興戦略2016にOTCに関連して健康立国の実現、観光立国の実現が掲げられていることを挙げ、「健康立国実現のために必要なセルフメディケーション意識の醸成あるいは実践環境が整ってくれば、おのずとOTC市場は加速度的に拡大する。観光立国の実現では爆買いという買い物行動こそ鈍化しながらも安定的に増加を続けるインバウンド需要をしっかり取り込んでいくことが重要だ」と述べた。

17年1月1日に施行されたセルフメディケーション税制については認知度はまだ十分でなく、引き続き認知度向上に努めるという。税制の対象品目が限定されていることから、引き続き第3類以上の一般用医薬品にまで拡大するよう要望するとした。ビタミン含有保健剤の製造販売基準の見直しについては、近くパブリックコメントが発出されれば、効能・効果が消費者にとって使用目的や特徴が分かりやすく伝わるよう書き換えることができるようになる。杉本会長は「新たな訴求ができるようになる。市場活性化に向けて明るい材料となる」と語る。スイッチOTCの促進については「消費者が実際に求めており、消費者のセルフメディケーションに貢献できる成分のスイッチ化を求めていきたい」とした。

 

■セミナー便り

2.偽造品流通に「大変なショック」
-日本保険薬局協会:中村勝会長-

日本保険薬局協会の中村勝会長は1月20日、同協会賀詞交歓会で、C肝治療薬ハーボニーの偽造品が流通している問題について「大変なショックだ。まだ十二分に原因は究明されていないが、今現在、正規の卸から仕入れたのではない変則的なルートから仕入れたという、我々として考えられない情報を得ている。我々は正規の卸の力を借りてなお一層信頼関係を強くして対応していきたい」と話した。経緯がすべて明らかになった際には改めて日本保険薬局協会として正式な見解を発表するとしている。地域包括ケアシステムの推進に関しては「健康サポート薬局は病気の治療のみならず地域における健康管理まで含めた大きな使命を担っている。全力を挙げて卸やメーカーの力を借りて数年以内に実現したい。その前提条件として日本医師会の先生方と処方せんを中心とした信頼関係をさらに深めることによって我々の役割を十二分に果たせるように連携を密にさせていただきたい」と述べた。

会には日本薬剤師会の山本信夫会長も登壇し偽造品が流通しないためには「薬剤師の本来の役割である正しい物を正しいところから買ってきてしかも品質を担保するということがあって初めて実現する」とした上で、今回の件は「その役割をなおざりにした結果、多くの薬剤師や医薬品への信頼を貶めたと認識している」と語った。

 

■セミナー便り

3.リフキシマ「最初から使われることも十分考えられる」
-大阪市立大学肝胆膵病態内科学:河田則文教授-

大阪市立大学肝胆膵病態内科学の河田則文教授は1月18日、あすか製薬主催の肝性脳症における高アンモニア血症改善薬リフキシマ(一般名リファキシミン)に関するプレスセミナーで同剤の臨床的位置付けについて「飲み薬でおそらく下痢もない。使いやすい方が選択されることになるので、ひょっとしたら最初から使われるようになってくることも十分考えられる」と見通しを示した。

肝性脳症は肝硬変に伴う合併症の一つである意識障害。通常、BCAA(分岐鎖アミノ酸)製剤や合成二糖類を主とした治療が行われ、改善されない場合に腸管非吸収性抗菌薬の投与が考慮される。これまで適応症を持つ抗菌薬がなかったのでカナマイシンやポリミキシンが使用されてきたが、リフキシマが承認され、11月に発売された。その上で河田教授によると、抗菌薬をファーストチョイスとすることは考えにくかったが、実臨床でリフキシマの副作用等にあまり注意する必要がないと評価されていけば変わる可能性もあるという。

あすか製薬によるとリフキシマのピーク時売上高は2年度12億円(予測投与患者数1万2000人)。20 年までの中期経営計画では炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群(IBS)への適応拡大を予定している。適応拡大に関する開発スケジュールについては現在検討中。

関連記事-こちらもどうぞ

TOP ↑