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■行政トピックス
1.中医協薬価専門部会 8月9日 後発・長期収載品/新薬創出加算セットで議論
■記者会見
1.次期中計、「ラツーダクリフ」対策に全力-大日本住友製薬:多田正世社長-

■行政トピックス

1.中医協薬価専門部会 8月9日
後発・長期収載品/新薬創出加算セットで議論

中医協薬価専門部会は8月9日、昨年末にまとまった政府の「薬価制度抜本改革基本方針」に基づき、年明け1月11日から続けてきた議論の取りまとめを継続した。前半部分7テーマを取りまとめた前回に続き、今回は後半部分「後発品」「長期収載品」「新薬創出等加算」「イノベーションの評価」の4テーマについて取りまとめを行った。

後発品をテーマに取り上げたのは4月26日。厚労省が論点として、▽主として0.5掛けとなっている新規後発品の薬価の在り方▽現在3価格帯ある価格帯の在り方―などを提示したのに対し、支払側から「2価格帯、3価格帯となっているものがどのような価格の動きをしているのか」、診療側から「後発品の米国以外の外国との価格比較グラフを示してほしい」などの意見が出ていた。

これに対応してこの日、厚労省は、後発品の薬価推移について、ドネペジルOD錠5mg、アムロジピン錠10mg、ケトプロフェンテープ40mg、ラベプラゾール錠10mg―の4品目を例に、「薬価の推移には様々なパターンがある」と回答。また、後発品価格の国際的な状況については、クロピドグレル75mg、ラベプラゾール10mg、モンテルカスト10mg、タクロリムス1mg、ドネペジル5mg、ランソプラゾール15mg、アトルバスタチン10mg、アムロジピン5mg、オランザピン10mg―の9品目を例に、「英国の場合は全般的に薬価が低い。ドイツは日本と同等か高め。フランスは日本と同等か低めといえる」と説明した。

厚労省の説明に対し、松本純一委員(日医常任理事)は「日本はなぜ3価格帯なのか。あまりにも品目数が多いから、そうせざるを得ないのかという問題意識を持つ。あまりにも後発品のメーカー数が多い」との認識を示した。

5月31日は長期収載品がテーマ。厚労省は、長期収載品に依存しないための仕組みとして、後発品への置き換えが進まない既収載品の薬価の在り方などを検討していく必要性を示した。

これに対して、支払側からは「5年の間に後発品への置き換えが進まない品目は、どのような理由で、どのような割合であるのか、資料を提出してほしい」、診療側からは「長期収載品や後発品、オーソライズドジェネリック(AG)の違いについて、分かりやすく整理すべき」などの意見が出た。

これに応えてこの日、厚労省は、「後発品への置き換えが進まない品目の割合」を全体、内用薬、注射薬、外用薬に分けて示すとともに、保険薬局調査をもとに「後発品を積極的に調剤していない・調剤しにくい医薬品の種類としては、精神神経系用剤、抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤等が挙げられている。剤形としては外用剤が挙げられている」と説明した。

一方、長期収載品と後発品の違いについては、「一般的に長期収載品の安定供給については、医療機関から継続供給を求める意見が強いことなどにより、安易に供給停止することができない。後発品に関しては、長期収載品に比較してということだが、供給停止を行う場合のハードルが低い」などと説明した。

こうした厚労省の説明に対して、松本純一委員は「後発品への置き換えはかなり進んでいると思うが、使う側としては、いつ供給停止になるか分からないようでは使いづらい」と指摘した。吉森俊和委員(協会けんぽ理事)は「時間軸で見て最初の後発品が薬価収載されてから後発品への置き換え率が70%を超えるタイミングがどのような分布になっているかデータを提示してほしい。後発品が例えば2年で70%を超えるのが多いのかどうかを見て、後発品への置き換え率に応じた追加引き下げルール(Z2)の5年の基準が果たしてどうなのかという議論が深まると思う」と述べた。

6月14日に取り上げた「新薬創出等加算」には、支払側から「革新的な新薬を対象とすべきであり、類似薬効比較方式Ⅱや、新医療用配合剤等は対象から外すべき」「平均乖離率は革新性を示す指標でないため、平均乖離率以外の指標とすべき」「加算額と、控除額・Z2による切り下げは財政中立とすべき」、診療側から「平均乖離率を指標とすることは、薬価の高止まりにつながっており、見直すべき」などの意見が出ていた。この日、幸野庄司委員(健保連理事)は「Z2とか特許が切れた長期収載品をさらに切り下げることで財源を作った上で新薬創出等加算の財源にするようなやり方を考えていかなければならない」との考えを示した。

 

■記者会見

1.次期中計、「ラツーダクリフ」対策に全力
-大日本住友製薬:多田正世社長-

大日本住友製薬は8月3日、都内で記者懇談会・社長会見を開き、多田正世社長は、今年度内に策定する18年度からの中期経営計画について、「19年度対策が大きな目玉」とした。その上で、「今の開発品の上市による売上げ増だけで19年度、20年度を乗り切れるとは思っていない」との認識を示し、「例えば資産の売却、研究開発費の減額、米国事業における費用の減額など、あらゆる手段を取って19年度の谷をいかに浅くするかに全力を挙げたい」と強調した。

同社の今年度売上げ予想は4640億円、うち北米で販売している統合失調症治療薬ラツーダは1692億円で、全体の36%を占める。その稼ぎ頭のラツーダだが、米特許は19年1月に切れる。このパテントクリフを埋めるための対策の筆頭が、がん幹細胞性阻害剤ナパブカシンの開発成功だった。しかし、大腸がんに対する単剤療法(第3 相CO.23試験)の開発失敗に続き、6月には胃がんに対する併用療法(パクリタキセル併用/第3相BRIGHTER試験)の開発失敗を発表した。

中間解析を行った独立データモニタリング委員会の勧告を受け入れたものだが、多田社長は「中間解析でネガティブな結果が出ても、そこで止めるということはもともとの計画にはなかった」と同社が受けた衝撃の大きさを示唆。多田社長の説明によると、独立委員会による中間解析は380例で行う計画だったのが、実際は約500例と最終(570例)に近い形になり、「あと70例増えたところで、恐らくポジティブな結果は出ないと独立委員会が判断した」という。

同社が第3相BRIGHTER試験に進む決断をした前提になったのが第1b/2相BBI608-201試験。評価可能な35 例で、病勢コントロール率(DCR)71%を達成していた。「イーライリリーがサイラムザの第3相RAINBOW試験に進む前提となったP1b/2を見ても大差はなかった」と多田社長。「BRIGHTER試験がなぜうまくいかなかったか、事後解析になるが、層別解析などを行った上で、今年度内にも整理したい」と述べた。

同社は、大腸がん単剤(CO.23試験)、胃がん併用(BRIGHTER試験)の開発に失敗しても、大腸がん併用(第3相CanStem303C)の開発は継続。多田社長によると、前提となったP1b/2試験(BBI608-246試験)では、評価可能66 例で、DCR83%を達成。「FOLFILI療法の治療歴なしの方が効く程度は高いが、FOLFILIで1回治療した患者にもう1回FOLFILIを使っても効かないのが通常といわれている中で、治療歴ありにも効いていることがポイント」と説明した。

また、膵がん併用(第3相CanStem111P)の開発も続ける。前提となったP1b/2(BBI608-118試験)では、評価可能55例で、DCR93%を達成しており、「ベースとして効いているので、今の段階でやめる手はない」と説明した。

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