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■行政トピックス
1.中医協合同部会12月19日製薬業界、「費用対効果評価は限定的に」

■行政トピックス
1.中医協合同部会12月19日製薬業界、「費用対効果評価は限定的に」

■行政トピックス

1.中医協合同部会12月19日
製薬業界、「費用対効果評価は限定的に」

製薬協の中山譲治会長(第一三共会長)は12月19日の中医協費用対効果評価等合同部会における「関係業界ヒアリング」で、「諸外国においては、日本のような精緻な薬価基準制度が存在しないことから、企業が設定した価格の妥当性や保険償還の可否を判断する手段の一つとして費用対効果評価が用いられている」と指摘した上で、日本で制度化するに当たっては、薬価基準制度との整合性を踏まえ限定的に用いるべきだと訴えた。ヒアリングを踏まえ合同部会では今年度内に検討結果の取りまとめを行う。

合同部会は、18年6月から5回にわたって制度化に向けた具体的検討を行い、取りまとめを前に関係業界からヒアリングを実施した。合同部会では、費用対効果評価の活用方法について「本格導入時点において、保険償還の可否の判断に用いることは実効性に乏しく、当面は時期尚早ではないか」(吉森俊和協会けんぽ理事)などの意見が示され、価格調整に用いることで支払・診療両側の意見が一致。ヒアリングで中山会長も「費用対効果評価の結果を保険償還の可否の判断に用いるべきではない」とした。

試行的導入においては、類似薬効比較方式の品目では、価格調整を補正加算部分にとどめるなどの取り扱いが行われ、倫理的・社会的考慮要素4項目に該当する場合は、1項目該当するごとにICER(増分費用効果比)を5%割り引くなどの一定の配慮を行った。

合同部会では、「試行的導入と同様に加算の範囲で調整することで良いと思う。原価計算方式は透明性が確保されていないということで、類似薬効比較方式と同じように加算部分のみで調整するかということについては、私は少し違うと思っている」(幸野庄司健保連理事)との意見が示された。一定の配慮については、「抗がん剤等の重篤な疾病に対する治療に対しては一律の基準値を使うのではなく、ICERの基準値を変化させるということが諸外国ではされているようであるが、このような方法を日本でも考えていくべき」(同)とされた。

中山会長は価格調整について「算定方式に関わらず、有用性系加算の範囲内にとどめるべき」と訴えるとともに、一定の配慮について「重篤な疾患に対する治療等については、通常よりも高い基準値を用いて評価するという方向性について異論はない」とし、加えて「公衆衛生的観点や追加的な費用、代替治療が存在しない疾患等、ICERによる結果への反映が困難な要素を有する品目については、価格調整において考慮することが必要」とも述べた。

なお、試行的導入においては、価格調整に用いる基準値を500万円および1000万円/QALYとし、500万円/QALYまでは価格を据え置き、500万円/QALYを超えた場合に価格の引き下げをスロープ状で行い、1000万円/QALYで引き下げ率を一定にした(最大引き下げ率)。

しかし、分析に適したデータが複数ある場合などにおいて、品目のICERを一点に決定するためには、検討に大きな労力を要し、労力を費やした場合であっても、必ずしもICERが一定に定められるとは限らないといった課題が浮き彫りに。そこで合同部会では、500万円/QALYと1000万円/QALYの中間に750万円/QALYを新たな閾値として設けることを決定している(図)。
図

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